メタ認知-あなたの頭はもっとよくなる (中公新書ラクレ, 755)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121507556

作品紹介・あらすじ

自分の頭の中にいて、冷静で客観的な判断をしてくれる「もうひとりの自分」。それが「メタ認知」だ。この「もうひとりの自分」がもっと活躍すれば、「どうせできない」といったメンタルブロックや、いつも繰り返してしまう過ち、考え方のクセなどを克服して、脳のパフォーマンスを最大限に発揮させることができる! 認知心理学、教育心理学の専門家が指南する、より賢い「頭の使い方」。



序 章

第1章 メタ認知の働き

第2章 頭のよさとメタ認知

第3章 メタ認知で頭を上手に使う

第4章 メタ認知で気持ちを整え、やる気を出す

第5章 メタ認知はこうして育つ

終 章 メタ認知は何のために

感想・レビュー・書評

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  • メタ認知とは、思考するわたしを俯瞰して思考すること。世阿弥は“離見の見”と言ったが、この言葉になぞらえると、「離考の考」とでも言おうか。
    メタ認知が高まると、主体的自律的に行動でき、自他資本を有効活用でき、どんな環境でも生き抜くことが出来る。これからの時代には重要で必須なものだと思う。

  • 「メタ認知」について、歴史的背景、注目されるに至った経緯、育て方まで書かれた入門書的な一冊。

    自分の関心事がメタ認知の育て方なので、その部分を時間をかけて読んだ。

    以下、雑感
    ▼メタ認知を育てる人的環境として「可能な範囲で、生徒や部下に、自分で考え、自分のやり方を工夫・改善する機会を与えること」「まずは、自分で考え、自分のやり方を工夫・改善することを奨励する雰囲気、風土、文化」が大事とあり、これはビジネス用語で言う「エンパワーメント」の発想と共通しているのではないか?
    大枠を決めた上で、その枠の中では生徒に自由にやってもらい、タイミングを決めて、こちらからのフィードバックをするのが効果的なのではないか?
    ▼大人がメタ認知しているところを見本・デモンストレーションとして見せることが効果的というのは興味深い。
    ▼「メタ認知を助ける人間関係」として「仲間」に活躍してほしいとあった。これは「ピア・サポート」に繋がるのではないか?
    メタ認知を促す忌憚ない意見を言い合える関係づくりが前提にあるため、その関係づくりを勉強したい。
    ▼「メタ認知を促す意見文作成トレーニング」を普通の公立中学校の日常的な国語の授業で実施するためのアレンジ案を考えたい。

    思考が促される良い本でした。

  • 認知心理学、教育心理学が専門とされる著者。頭のよさ=「知能」という概念で定義を記してくれています。
    ①知能とは、学習する能力である
    ②知能とは、抽象的に考える能力である
    ③知能とは、環境に適応する能力である
    もう、学校での学びから解放されていいんだなと感じる人も多いのではないかと思います。

    そして、スタンバーグ、ガードナーと心理学者、研究者の概念を挙げながら「眠ることが大好きな私は‥」と著者の体験に戻っていく筆致は読んでいても飽きさせません。読みやすい!

    単純に「メタ認知」とはなにか、という本ではなく、「〇〇すればメタ認知力は獲得できる」という本でもなく、メタ認知という概念を生活の中での扱い方を理解させようとしてくれているような。きっと、第5章の「メタ認知はこうして育つ」が理解できているから、十分にわたしのメタ認知も育っているのではないかな。それはメタメタ認知では、そうではないかもなので、修正が必要かな!

  • 知りたかったメタ認知の内容が誠実に書いてある本だと思いました。気になるトピックや大げさな見出しで興味を引くような本とは違い、理路整然と時に学術的な知識も踏まえメタ認知についての解説がなされています。

    内容はメタ認知とは何か、その働きついてのことはもちろん、頭の良さとの関係、歴史、実践的な話など。特に実践的な話に関しては教育の現場で著者が試されてきたこと踏まえ解説されています。

    本への評価になりますが、全編通して著者の言葉で書かれているような信頼感があり、且つ読みやすいです。非常に説得力があり、他の、専門家ではない作家の書いた論文の寄せ集めのような本とは一線を画しています。内容的には入門書だと思うのですが、専門的な知識を持ち合わせた方がここまで噛み砕いて一冊の本にしてくださっているのは珍しい気がします。

  • 前半は、学者の先生の著作らしく、メタ認知の歴史など基本的な紹介で、後半からが本書のメインテーマです。

    「頭がよい」とは、得た知識を活かすことができることであり、生まれながらの能力ではなく、誰でも訓練で、高めることができるもの、と捉えました。

    訓練の方法としては、自分でよく考える→他人の意見を聴くことで考えの幅を広げていくのが有益とのことです。
    本書では、メタ認知を鍛えるための教育的実践についても紹介されていますが、若いころにこのような教育を受けるのは、大変よい経験だと思いました。

    本書は、頭を良くするための新奇な方法が記載されているわけではありません。
    メタ認知が、変化の激しい現代を生きていく上で、必須のものであることは間違いないので、そのことと、メタ認知能力の鍛え方を知識として得たのは有益でした。

    ただ知識を得るだけであれば、本やネットでも可能ですが、(できれば)対面で多くの人と接し、色々な考え方に触れることの重要性を改めて認識しました。

  • メタ認知とは?から始まって頭の使い方について紹介されていました。

    特にメタ認知を活用して、
    効率よく学習をする方法なども紹介されています。

    賢く頭を使う方法が分かりやすく書かれているので、何か学習に取り組んでいる人や教師や親の立場の人にもかなりオススメです。

    【感情は出来事をどう捉えるかによって変わる】
    というのが印象的で、メタ認知で自分の状態や捉え方を見極めることが大切だなと思った。

    生き方にも活用できそうな内容で、読んで良かったと思いました。

  • 自分の頭の働きを“もう一人の自分”が客観的・俯瞰的にとらえる「メタ認知」を使い、頭の働きをよい状態に保ち、効果的な学びを実現する方法を解説

    第1章、第2章で知能研究の歴史をたどり、第3章では日常に生かせるメタ認知的知識を指南

     理解・納得こそ最高の記憶術
     文脈化と脱文脈化が応用力を生む
     テストの知られざる効用
     メンタルブロックを崩す
     興味・関心が学びの原動力になる

    など、頭のパフォーマンスを最大限に発揮するヒントが紹介されている

    副題は「あなたの頭はもっとよくなる」

    著者は大阪大学、鳴門教育大学名誉教授
    専門は認知心理学、教育心理学
    2022年2月刊

  • 知能とはさまざまな考え方があるが、知能の中のメタ認知力が社会で生きていくためにはとても重要だと思った。それは民主主義、グローバル社会、多様性という社会の構造による。自己ー他者ー構造(大局的な見方)の3つの視点、認知、感情まで広く深くとらえながら他者とコミュニケーションがとれるのが理想。また、メタ認知の資源を確保するためにも、ポジティブや失敗から学ぶチャレンジ精神といったことが大切。

  • 危険な本ともいえる。

    文章がわかりやすいため、一見入門としてはいいかもしれないが、初心者が読むとわかった気になって結局何も身につかない典型本。

    内容が体験談に基づく具体的な内容が多すぎて
    殆ど抽象化されていない。
    つまり、メタ認知をかじってる人が読むと、新しい気付きはなくただの楽しい読み物となる。

    後この少ないページ数で歴史的な部分はいらない。

  • メンタルブロックはまさに
    崩していかないといけないですね。

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著者プロフィール

大阪大学名誉教授、鳴門教育大学名誉教授。専門:認知心理学、教育心理学。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。1985年学術博士(大阪大学)。鳴門教育大学助手・講師・助教授・教授、大阪大学大学院人間科学研究科教授を経て現在に至る。主要著書:『メタ認知:あなたの頭はもっとよくなる』(中央公論新社、2022年)、『メタ認知で〈学ぶ力〉を高める:認知心理学が解き明かす効果的学習法』(北大路書房、2018年)、『誤解の心理学:コミュニケーションのメタ認知』(ナカニシヤ出版、2017年)など。

「2023年 『学習の環境』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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