- Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121600653
感想・レビュー・書評
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もう随分前のことだが、ある知人の建築歴史専門家(建築史家という)とたった二人だけで論争をしたことがある。
文化の発展についてである。
私は「文化は発展する。正確にいうと発展するということがある。」
彼は「文化がどんどん発展するものではない。変化はある。昔の方が優れていることもある」
私は「どんどん」などとは言っていないので、完全に屈折したすれ違いの論争である。文化は衰退し、滅亡することもある。しかし質的な変化→発展という概念も、時として当てはまると私は主張していたのだが。
内藤湖南「東洋文化史」を読んで、彼はひょっとするとこの本を読んでいたのではないかと思った。
中公クラッシック、新書で442ページの大作。礪波護責任編集。
この本の中で、湖南は文化について以下のように述べている。
「ある時代にある種のものが非常に絶頂に達するまで発達した以上は、そのことについてはその以後の時代にはもうそれ以上発達しないものではないか、それ以後の時代において発達するのは、その発達すべき種類が変わってくるのであって、その文化の高さのレベルからいったら、ある時代に絶頂に達したものはそれぎりになるのではないか」
例として、天平文化と江戸時代の文化をあげ、この二つは別の種類としている。
なかなか面白いが、「それがなぜか」はうまく説明していないように思われる。
この本の最初の章、礪波護による「東洋文化史家の内藤湖南」を読むと、内藤湖南の人となりがおおよそ分かる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
興味深かったです。分析も的を得ていてさすがだと思った。