義理と人情 復刻版: 日本的心情の一考察 (中公新書 191)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121701916

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  • 中公文庫
    源了圓 「義理と人情」 

    義理人情を主題として、日本的心情を論じた本。


    文庫サイズの本を読むのに これだけ時間がかかったのは 初めてだが、義理人情を通して 日本的心情が 体系化されていて面白い。


    西欧キリスト教世界のヒューマニズムとの違いは なるほどと思う。文学に描かれた義理人情を日本人の思想的理想と捉えた上で、西鶴と近松で異なる義理人情を指摘した点も面白い


    義理の現代的な意味は 義務に近づいているように思うが、著者は 義理を 自分に向けられた好意や信頼に対する呼応であったり、自己の体面や意地を保つための態度 と見ている


    「冷たい義理」と「温かい義理」という分け方から、義理と人情が対立したり、同一化する現象を解説した部分も なるほどと思う


    近松における義理の類型
    *近親関係により生じる道徳的義務
    *世間の義理、習俗化し形式化した義理
    *人間として他人に行うべき道(儒教における義理)
    *人間関係の信頼、約束、契約に応える義理


    近松文学
    *庶民芸術に流れていた宗教的対象への帰依、一体感
    *自己と対象との境界を越えて、対象と一体となろうとする愛
    *近松における愛の中核が 情け


    近松「薩摩歌」情けをもつゆえに人間は人間であり〜情けは「心の花」である
    *情けは 人と人とを結びつけ、そこに共感の世界を成立させる心の働きである
    *情けは 道徳より根源的な、美と善とが未文化な世界であり、人間を人間たらしめるもの















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著者プロフィール

1920年、熊本県生まれ。1948年、京都大学文学部哲学科卒業。日本女子大学教授、東北大学文学部教授、国際基督教大学教授などを歴任。2020年没。
【主要著書】『義理と人情』(中公新書、1969年、のちに中公文庫として2013年刊)、『徳川合理思想の系譜』(中公叢書、1972年)、『型と日本文化』(編著、創文社、1992年)、『横井小楠研究』(藤原書店、2013年)

「2022年 『佐久間象山』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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