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- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121701916
感想・レビュー・書評
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中公文庫
源了圓 「義理と人情」
義理人情を主題として、日本的心情を論じた本。
文庫サイズの本を読むのに これだけ時間がかかったのは 初めてだが、義理人情を通して 日本的心情が 体系化されていて面白い。
西欧キリスト教世界のヒューマニズムとの違いは なるほどと思う。文学に描かれた義理人情を日本人の思想的理想と捉えた上で、西鶴と近松で異なる義理人情を指摘した点も面白い
義理の現代的な意味は 義務に近づいているように思うが、著者は 義理を 自分に向けられた好意や信頼に対する呼応であったり、自己の体面や意地を保つための態度 と見ている
「冷たい義理」と「温かい義理」という分け方から、義理と人情が対立したり、同一化する現象を解説した部分も なるほどと思う
近松における義理の類型
*近親関係により生じる道徳的義務
*世間の義理、習俗化し形式化した義理
*人間として他人に行うべき道(儒教における義理)
*人間関係の信頼、約束、契約に応える義理
近松文学
*庶民芸術に流れていた宗教的対象への帰依、一体感
*自己と対象との境界を越えて、対象と一体となろうとする愛
*近松における愛の中核が 情け
近松「薩摩歌」情けをもつゆえに人間は人間であり〜情けは「心の花」である
*情けは 人と人とを結びつけ、そこに共感の世界を成立させる心の働きである
*情けは 道徳より根源的な、美と善とが未文化な世界であり、人間を人間たらしめるもの
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