赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫 A 6)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122000063

感想・レビュー・書評

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  • 2冊あり

  • 庄司薫氏の私小説的な青春小説。

    特に大きな出来事は起こっていないのだが、
    その語り口にぐいぐい引き込まれていき読み進めるのが楽しかった。

    女医さんとのあれこれはなんとも刺激的であった。

  • (2005.01.06読了)(2003.08.06購入)
    ピアニスト中村紘子の本を何冊か読んだ後、そういえばだんなは小説家だったなと思い、読んでみることにしました。

    大学紛争で、東大の入試が中止になったのは1969年だったろうか?
    主人公は、日比谷高校3年生の薫君。東大法学部を目指していたが、なんと入試が中止になってしまった。そこで、進学をやめてしまったという。周りは、東大をあくまで目指すために浪人するつもりらしいとしか思ってくれない。それが不満らしい。

    書き出しは有名らしい。
    「僕は時々、世界中の電話という電話は、みんな母親という女性たちのお膝の上かなんかに載っているのじゃないかと思うことがある。特に女友達にかけるときなんかがそうで、どういうわけか、必ず「ママ」が出てくるのだ。」
    (今はみんなケータイを持っているからこんな文章は成り立たなくなってしまった?)
    女友達の名前は由美ちゃんという。幼友達だ。
    「僕は小さい時から彼女と一緒に過ごすたんびに、百回のうち99回までは腹を立てたり苛々させられたりして帰ってきたものだし、そのうち50回は、もう会うものかと思ってきたに違いない。ただ問題は、その残り一回なのだ。どうしようもないおかしな魅力を見せる残りの一回があるので困ってしまうのだ。」

    薫君は、由美ちゃんに一番大事な事は、真っ先に話したいし、由美ちゃんも面白い話や大事な話は薫君に話したいと思う。なんともほほえましいかぎりだし、うらやましくもある。
    「例えば小学校六年生の春のことだが、ある夜十時過ぎてから彼女はうちへやってきて、僕を呼び出して、その日彼女は始めてメンスがあって、僕に教えに来たわけなんだ。」
    「中学二年生のときの夏休み、両方の母親も一緒に四人で河口湖で半月過ごした時、彼女はある夜僕にこっそりボートをこがせて湖の真ん中まで行かせた。それから、突然着ていたカーディガンの胸を開いてその膨らみ始めた乳房を見せてくれたのだ。」

    薫君の親父が子供に言う事は、「したいようにしなさい。ただよく考えろよ」だけだ。
    母の方が言う事は二つきりない。「薫さん、自分の事は自分でしなさい」と「薫さん、人に迷惑掛けちゃ駄目よ」。

    薫君の将来。「中村紘子さんみたいな若くて素敵な女の先生について優雅にショパンなど弾きながら暮らそうかなんて思ったりもするわけだ。」
    (これを書いていた時、将来中村さんと暮らすことになるなんて考えていたんだろうか。)

    著者 庄司 薫
    1937年 東京生まれ
     日比谷高校卒業
     東京大学法学部卒業
    1958年 「喪失」で第三回中央公論新人賞受賞
    1969年 「赤頭巾ちゃん気をつけて」で第61回芥川賞受賞

    (「BOOK」データベースより)amazon
    「たとえば知性というものは、結局はなにか大きな大きなやさしさみたいなもの、そしてそのやさしさを支える限りない強さみたいなものを目指していくものじゃないか…。」東大入試を中止に追い込んだ既成秩序の崩壊、そして「昭和元禄」とよばれた大衆社会化の騒乱のなかでひとり静かに戦った若い魂の物語。「やさしさ」という言葉の原点となった青春文学の永遠の名作。

  • 福田章ニががらりと作風を変えて語った青春小説四部作の一冊目。

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