- Amazon.co.jp ・本 (661ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122000506
感想・レビュー・書評
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私の学部時代のとある教科のテキストだった本。
学生には非常に衝撃的な本だった。
フロイトだと『夢分析』のほうが入っていきやすいかもしれない…
でも、これを学生の時に通ったから物事をこう考えられるようになった、っていうのはあるかもしれない。
(ちょっとうまく言えないけど…)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読むのが苦しくて一時中断していたが、やっと読み終わる。神経症のことがたくさん書いてあったが、この本を読んで神経症になる人もいるんじゃないかとすら思う。
フロイトの言っていることが完全に正しいとは思わないが、少なくともある程度の真理は含まれているはずだ。それがこれ程気分を悪くさせるものだとすれば、真理というものは人を苦しめるものなのかもしれない。
近代科学の基礎となったのは、ダーウィン、マルクス、そしてフロイトであると何かの本に書いてあり、少なくともこの3人の本ぐらい読んでおこうと、まずフロイトを読んだ。しかしフロイトがこれほど負担だったとすると、ダーウィン、マルクスを読むのがちょっと怖くなってきた。調子のいいときに読もう。
私にとってこの本が苦しかった一つの理由は、やはりキリスト教に関係がある。科学は、神の名によって説明されていたことを、神の名を用いずに説明しようとする。時には、神の名によって良いとされていたことを否定する。それを聞くのは苦しいが、しかし科学を否定してはならないと思う。神なしで説明できることは、神なしで説明するべきだと思う。本当に神の名によってしか説明できないことは何なのかを知るために。 -
言い間違いから夢分析、最後に神経症に焦点が当たる構成になっている。専門用語も文脈にそって出てくるので難解でなく、翻訳が日本度として破綻していないために、スラスラと読める。
無意識のドライブが自我の検閲、省略、主体の入れ替えという加工を経て、現実に現れるというフロイトの発想は、後の文学理論に大きな影響を与えるという意味でも、現代の古典といえよう。 -
夢という眠りと覚醒の狭間における分析は、我々を性の欲動の秘密へと誘う。性とは種の存続に欠かせないものであり、だからこそ古代の記憶、いわゆるイェイツのいうところの大記憶から呼び覚まされるのである。いうなれば共通記憶からの引き出しであり、フロイトが述べるところの基礎言語とは、人類という種が手に手を携え、無意識に護り続けてきた記憶なのである。
古代の記憶を呼び覚ます夢とは、まさにコールリッジやロレンスの詩に読み解くことができるような「生と死の狭間」である。ふんだんに顕れてくる大記憶がもたらす象徴は、人を心的現実のみが真実となるヒステリーへと誘う。
忘れてはならない。思い出さねばならない。これは胎児のみる夢の話である。固体の原始である胎児は、それと同時に人類という種の原始でもあるのだ。胎内で、あるいは幼児期に、フロイトが述べるとおり、なんらかの形で大記憶を呼び覚ました幼児は、心的現実の核をたずさえて健忘に陥るのである。まさに、ドグラマグラである。 -
しくじり行為、夢に関してはなるほどなという感じ。
日々のしくじり行為や夢に対して、違った視点が持てるようになったと思う。
ノイローゼやらの話はイメージがわき辛く、理解度が低かった。 -
精神分析学のフロンティアであるフロイトが行った大学での講義を書籍化したものであります。
生まれたばかりの精神分析学ですから、フロイトも試行錯誤を繰り返したようですが、そのあたりのことを考慮しないフロイト批判が多い訳で、この本を読むとフロイトのすごさというか、フロンティアならではの苦労というものが読み取れるのであります。
とはいえ、やはり東洋の心の探求と比べればお話にならないくらい稚拙なもので、ようやく西洋文明に内面世界を科学的っぽく表現する手法が生み出されたと判断するべきことなのかもしれません。
まあ、それはともかく、当時の西洋文化の中ではかなりセンセーショナルな登場だったのだろうし、特に性的エネルギーに気づいたのは、大批判を受ける種にもなってはいるけれど、大きな功績ではあると思います。
正解ではないけれど、かなりいいところまで行ったという感じがします。
レベル:246
点数的にはまだまだって感じですね。真理にはかなり遠いということになります。 -
この分野の代表的著作ということで手にとりました。フロイトの大学での講義をもとにした本なので、比較的読みやすかったです。
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随分前に読んだ。
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フロイトがウィーン大学で行った講義の記録である。
当時は精神分析が徐々に 発展し、広まってきたとは言え、
まだ風当たりの強かったと推測される。
その時、一般向けの公の場で精神分析の講義をするということで、
フロイトも精神分析を広めれるという気持ちで
張り切っていたのかもしれない。
内容を読んでいると、そのようなフロイトの
張り切り具合が感じられるとともに、
精神分析をあまり知らない一般の人に分かり易く
丁寧に説明していこうという一生懸命さも伺える。
上巻の内容としては「錯誤行為」「夢」「神経症」について書かれており、
今まで公にされた「日常生活の精神病理」「夢判断」を
中心とした論文をコンパクトにまとめ、整理し、分かり易く解説している。 -
S.フロイト『精神分析学入門』。R.ベイカー『フロイト その思想と生涯』。20世紀の哲学や文学に影響を与え続けているフロイトが創始した精神分析の思想。私は、この二つの文章を読んで、とても親近感がわいた。思想にも、人間にも。それは、彼の思想が、「苦しむ自己に問いかけていく」ことで積み上がっていっていたから。かつ、これが出来るからこそ、他者の心にも問いかけられたことを確かめられたから。前者は、フロイト自身が行った講義録。しくじり行為から、夢分析、リビドー、エディプス・コンプレックス等々、重要な諸概念が網羅されている。20世紀の古典。後者は、伝記作家が書いたフロイトの生涯。多面的に、人間フロイトの形成と遍歴を描いている。自伝とはまた違うのだろうね。