1979(底本1953)年刊行。
戦中、近衞文麿の秘書的役割と、高松宮と近衛との連絡役を果たした著者による日記。全2巻中の第2巻。叙述時期は、昭和19年8月から21年10月まで。
色々あるが、サイパンが陥ち、東条内閣が倒壊した後なので、方針転換できず、日本の対外像を客観的に自己分析できず、またソ連の意図を知らずに逡巡する様が見て取れるのみだ。
一方で、海軍が強調してきたラバウル決戦の荒唐無稽。補給路を断ち制空権を握るだけで、同基地を戦わずして無力化させたのは、戦術の優劣か、力の優劣か。
一方で、米の攻撃拠点たるトラック、マリアナの呆気ない陥落。
和平派、軍批判派への憲兵圧力。陸軍を主とする抗戦派の自己過大評価。虚心坦懐とは程遠い状況が日記上で散見されるが、ここまでとは、と言いたくなるが、やはり軍の無謬性への挑戦・否定になるから?。
しかも、戦後、国民生活の窮乏にほぼ無関心。
君主制≒天皇主権への、論理的とは思えない傾倒。華族を含む当時の政治権力者の正当性の淵源なのか?。