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- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122008427
感想・レビュー・書評
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『〝クジラ〟強調月間始めました!』9
第9回は、宇能鴻一郎さんの『鯨神』です。
60年前(1962年)の作品です。昨年、新潮文庫から『姫君を喰う話 宇能鴻一郎傑作短編集』が出版され、「鯨神」も収録されていますが、中公文庫版の古書を購入しました。
宇能鴻一郎さんが、官能小説へ舵を切って行く以前の純文学作品で、第46回芥川賞を受賞しています。全四編の短編集です。
表題作は、巨大な鯨と一人の若く勇敢な刃ザシ(銛師)との壮絶な死闘の物語です。
祖父・父・兄の復讐、備前和田浦集落の存在理由を賭けた闘いの描写が見事で、先に読了した伊東潤さんの『巨鯨の海』を思い浮かべ、双璧をなすと感じました。
冒頭の「鯨絵巻」伝承や終末の「鯨神と一体になる幻想」に見る展開の構成、並びに登場人物の役割と個性設定が素晴らしく、短編ながら読み応えがありました。
他3編の中に、もう一つ「地獄銛」という鯨漁の刃ザシの物語があり、こちらも秀作でした。いずれも後世に残すべき名作で、多くの方々に読んでいただきたいと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
芥川賞、解説:武蔵野次郎
西洋折りの女◆地獄銛◆光りの飢え◆鯨神(芥川賞)
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