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- Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122017986
感想・レビュー・書評
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またしても鎌倉文士ものを。
立原正秋は日本庭園について書いた随筆しか読んだことはない。その時の感覚が後をひいて、軽い気持ちでは読んではいけないと考えていたが、改めてその気持ちを深くする。
美意識と端正な生活と、その喧嘩ぱやさと…。読まなくちゃねぇ…今後のためにも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
立原正秋の近くにいて長くその人となりに接してきた著者による回想録です。
イタズラ好きで癇癪持ちでありながらも、多くの人びとから敬愛されるような立原の人物像が、身近な人の視点から生き生きと描かれています。著者は、立原が2度までも芥川賞の候補になっていながら『白い罌粟』で直木賞を授賞し、その後流行作家になっていったことに触れて、その経緯を目にしてきたと述べていますが、あくまで立原という人間を示すエピソードを紹介することに努めており、そうした身の諸仕方を選んだ立原の内面に踏み込んで分析をおこなうことをあえて控えている印象があります。
おもしろく読んだのは、立原と後藤明生、高井有一との交流に関するエピソードです。流行作家としての立原正秋のイメージが強いせいか、「内向の世代」である後藤と長い付き合いがあるということは意外に感じてしまいます。
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