窯変 源氏物語〈3〉 花宴 葵 賢木 (中公文庫)

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  • 中央公論新社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (433ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122024984

感想・レビュー・書評

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  • 光源氏、ぶいぶい言わしてる。
    幼い少女を自分の好み通りに育てようとしてみたり、政敵となる右大臣の娘で、春宮(次期天皇)の妻となる予定であった女性を求めてみたり、、、やりたい放題な一方で、自分の言う事を聞かない疎遠な妻との別れや、マザコン的な気持ちの対象となっている藤壺との別れなどもあり話は盛り上がる。
    でも、なんか源氏の行動は子どもっぽいとも感じる。

  • いいぞ!もっとやれ!いいところで次号へ続く。
    妻が亡くなり、左大臣邸を去る、帝が亡くなる。誰も彼も別れ際に心の内を見せてくれるが遅すぎるということもあり、切なくなる。
    不仲は源氏が家族というものを知らなかっただけ、単なる誤解だったと気づく。

    が、そこは源氏。喪が明けると再び「いらんこと」をやらかしだす。うじうじ陰のエネルギーで他人の気を引こうとする女たちより、ここぞと狙って必殺技を繰り出し悦にいる源氏は見ていて気持ちがいい。
    源氏の一人称語りにした窯変を、初めて読む源氏物語にして正解だった。

    美は最大の力、嘲笑という攻撃から守るべき者を守る行為を後見という。少なすぎず、出過ぎず

    花宴…朗々と 危険な行路の花吹雪
    葵…さらば妻よ さらば家族よ 孤独の前で時代は変わる
    賢木…それでも私は進んで行く!

  • 第三巻です。花の宴、葵、賢木が収録されていました。

    この辺りは有名なだけあって色々と盛り上がる帖ばかりなのですが、私が今回注目したのは桐壺帝の在り方です。
    上皇になって、急に生臭くなるという桐壺帝の描き方が面白いなあと。
    そしてそれに気付く源氏は、帝からの寵愛は勘違いだったと認識し、更に帝に一族としての扱いを受けたことがなかったことにも気付くのです。

    左大臣家の没落と右大臣家の台頭について、様々な角度からゆっくりと権力が移行していく様を細やかに描いていてゾクゾクしました。

    ここで源氏が怖いもの知らずなのがにくいわ。。

  • 花宴◆葵◆賢木

    著者:橋本治(1948-、東京)[東京大学文学部国文科]小説家

  • 橋本治 窯変 源氏物語 3/14 花宴 葵 賢木

    3巻は ドラマが多い。再読価値あり。

    人物の心理や政治の背景が理解できると 面白い。源氏物語は 貴族社会での戦いの物語。源氏物語が平家物語と比較される理由がよくわかった

    花宴
    *花の宴の艶やかさと 弘徽殿の女御のイライラ感の対比
    *源氏の 右大臣や弘徽殿の女御への対抗心
    *頭の中将の源氏への対抗心
    *平和な時代の愚かさ
    *源典侍(老女)の哀れさ〜源氏と同じ源姓なのに滑稽

    「藤と番える花軍(はないくさ)〜出かけよう、藤の一族の花を究めに〜私は藤の一族藤原氏ではない〜花を纏った光源氏だ」

  • まさかこんなに早く葵の上。
    これは予想外。
    そしてそのあともう紫なんですか、相変わらずすごい人。
    いや、すごい時代なのかな。
    いまのところ朝顔さんの対応が好き。

  • 葵の上はかわいそうでした…これから仲良くなれそうだったのに。若紫がようやく紫の上に。強引な源氏には驚きましたが、若紫もショックだったことでしょう。源氏も失脚フラグが立って、続きがますます気になります。

  • 花宴、葵、賢木が収録されています。
    葵の上が亡くなるシーンは感動しました。幸せになってほしかったです…。
    藤壺は光源氏視点だとひたすら光源氏が可哀相に見えてしまいます。藤壺だって大変だったんですよね…。

  • [花宴]
    怖い御婆さまのお話(笑)
    六十近いのによくもまぁ...と。
    辟易しながらも「この人は自分をいつまでも若いと思っているのだ」
    と哀れがる光源氏は、優しい人なのかも
    伏線っぽい感じで源氏は朧月夜の姫とも関係を持ちます。



    [葵]
    前半は六条の御息所と葵の上との間のいざこざの話。
    六条の御息所はどんどん恨みがたまっていき、ついに葵の上に生霊として取り憑く。

    生霊に取り殺されて徐々に衰弱していくってどんな感じなんだろう。
    亡くなる直前でようやく今までの蟠りがとけ、微笑みあうことが出来た2人が
    なんだか切なかったです。
    その後の源氏の後悔の様子も…

    でも源氏って割とリアリスト。
    悩みつつも、終わったことは終わったこととして、心を整理しようとしてました。
    葵の上が亡くなったことで、左大臣家は傾いていきます。

    心がぽっかりと空いたような源氏は、そのまま若紫がいる、二条の邸へ。
    そこで穏やかな日々を過ごし、自らの心が休まるのを感じます。
    ある日源氏は、“三日夜の餅”と呼ばれる新婚の礼をひっそりと執り行い、
    若紫を名実ともに“紫の上”にします。
    13歳と22歳という、なんとも微妙な年ではあるけれど、
    なんだか微笑ましい2人でした。



    [賢木]
    政権交代の話。
    桐壺院が亡くなり、それまであった朝廷内の均衡が一気に崩れました。
    左大臣家はほぼ没落状態に。
    代わって右大臣家の天下になります。

    源氏は、憎き弘徽殿の女御に一矢報いようと、
    その妹の朧月夜の姫との関係を続けようとします。




    源氏物語は恋の話だけでなく、
    権力の推移の様子などがこと細やかに描かれていて
    とても興味深い作品に仕上がっているなぁ、と思いました

  • 内容紹介:千年の時の窯で色を変え、光源氏が一人称で語る橋本源氏―絢爛豪華に登場。(「BOOKS」データベースより)

    資料番号:011220126
    請求記号:F/ ハシモ/ 3
    資料区分:文庫・新書

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著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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