ボヴァリー夫人 (中公文庫 コミック版 い 3-17)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122030282

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  • なるほどボヴァリー夫人というタイトルは彼女にとっては桎梏でもあったわけだ。

  • いがらしゆみこの描くボヴァリー夫人。
    里中満智子の『花影』といい、少女マンガ界の重鎮の絵を続けて読んでいます。
    原作は知っていますが、コミック版を読むのは初めて。

    ヒロインのエマは、本を読んで空想を膨らまして少女時代を送った世間知らずの夢想的な性格で、読書好きの陥る罠が書かれているため、読むたびに我が身に置き換えて、心が痛くなります。
    現実との折り合いができない、かわいそうな夢見るヒロイン。
    尊敬できない夫を持った不幸が、じわじわと彼女に襲い掛かります。

    エマは、好き嫌いがはっきりしていますが、当時の女性の運命は夫次第。
    エマも夢見るだけで、全く自立ができていません。
    うまく現実との折り合いをつけていければ幸せな一生を送れたはずなのに、現実に歩み寄って満足することを拒み、夢想世界にこだわり続けます。

    レオンへの失恋が浪費のきっかけ。
    つまりは憂さ晴らしから始まった凋落の兆し。
    それでも、いつだって一人の男性しか愛せない純粋さを持ち続けている彼女。
    それから、遊び人ロベルトと出会い、不倫に溺れていきます。
    ロベルトの方が飽きて、アデューと手紙をしたため、彼女の元を去っていきました。

    永遠の愛は、彼女の手に入りません。
    レオンとの再会で、愛が燃え上がりますが、もはや贅沢と愛を切り離せなくなっているエマ。
    夢のような幸せを夢見ながら、結局俗世の幸せを求め、金を湯水のように使って破滅していきます。

    盲目的で短絡的なヒロイン像は、読んでいて痛々しいものがあります。
    作者フローベールが「ボヴァリー夫人とは私だ」と発言したり、ボヴァリズムという言葉もあるくらいですから、私だけでなく、だれもがはっと自問しなくてはならない話。
    お金が好きだったわけでも特別に贅沢がしたかったわけでもなく、ただ無心に愛に生きたかったはずなのに、悲劇の道を進んでいってしまったとは。

    原作だと、彼女の愚かさばかりが見えてしまって、かなり読んだ後味が悪いのですが、コミック版だと、醜悪シーンが抑えられ、美しく描かれているため、ヒロインの哀れが浮き立ち、いとおしさも感じられました。
    原作に忠実に描かれた作品です。

  • ポルトガル、ポルトなどを舞台とした作品です。

  • 電車の暇つぶしに借りました。
    どんなドラマチックな人生の話かと思ったら、何だか
    自分にはさっぱり理解できない話で・・・

    美容院にある女性雑誌に載っているマンガのような印象

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著者プロフィール

いがらしゆみこ

1950年、北海道旭川市生まれ。漫画家を志し単身上京、東京の高校に編入する。1968年、高校3年在学中にデビュー、その後、少女漫画誌「なかよし」の専属作家として活躍する。75年以降、精力的に長篇を発表し、77年、第1回講談社漫画賞受賞。漫画家生活20周年を契機に文章を書く仕事も始め、漫画の原作および少女小説も執筆。主な作品に『キャンディ・キャンディ』(原作・水木杏子)、『ジョージイ!』(原作・井沢満)、『ムカムカパラダイス』(原作・芝風美子)、『メイミーエンジェル』『赤毛のアン』『ロミオとジュリエット』『おーい!動物キャラバン』他多数ある。画業50周年を契機に「週刊女性自身」に「エレクトラ」(原作・佐藤博之)を執筆中。

「2020年 『ワイド版 マンガ日本の古典13 とはずがたり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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