再読。
淑夜と無影の再会がハイライト。処刑するため淑夜を取り戻そうとしている、というのはもはや成立しない見方。無影の周囲の人材不足が深刻すぎるうえ、それ以上に無影自身が孤独にすぎる。無影自身の性格も問題には違いないけど、これはそもそも衛という国の状況がまずかったと思う。既得権益を守りたい士大夫層を相手取って、上から下からの改革では、無影に限らず淑夜も羅旋も魚支吾も匙を投げたいレベルでは。軍事力をトップが掌握するか、最低でもトップが独自に使える軍事力を増大させるでもしない限り詰んでる。トップがだらしないうえ、下は下でけだもの揃いだから無影がトップに成り代われたのも事実なだけに救いがない。時間をかければあるいは、とはいうけど、それにしたって無影の意思、衛の未来図を知る者が他にいないからこれも先がない道理。あれ、結局無影の性格に戻ってきた。
もしも今頼んだら、という言葉が含むものに色々集約されていた。そういうとこだぞ。肯定されたら「どうだか」って冷笑、否定されたら「だろうな」って韜晦。そうそう信用もできなければ、信用したくても裏切られるのが怖いから、いっそ誰も容れずに、というのはわかるだけに哀しい。