- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122044074
作品紹介・あらすじ
二十一世紀は二十世紀の続きなのか?政界における多数派シンドローム、企業の膨張至上主義、崩壊する安全神話、続発する警察の不祥事…。日本の行き詰まった状況をウィットとユーモアあふれる語り口で浮き彫りにする痛快エッセイ。
感想・レビュー・書評
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十数年前に書かれた時事エッセイ集。でも全然古さを感じない。特にロシア危機なんてまさに今も通ずること。人間は進歩しているようで同じところをグルグル回っているだけなのかもしれない。
定期的に米原万里ブームが来る。この本も図書館で借りたの何回目だろう。(いい加減買えや) -
政界における多数派シンドローム、企業の膨張至上主義、崩壊する安全神話、続発する警察の不祥事…。今も変わらないテーマを縦横無尽に語りつくす時事エッセイです。「21世紀は20世紀の続き」かの知れません。
この本が出版されたのが2001年なので、書かれている時期は20世紀の終わりから21世紀のはじめの出来事が中心となっています。ここに書かれているのはいわゆる「時事ネタ」要するにそのときの時事を基にしたエッセイですが、今読んでもその内容がまったく古びていないということに、僕自身驚きを隠せません。
この本のコピーにいわく「21世紀は20世紀の続き?」という言葉が、重い意味を持っていると思うのはきっと僕だけではないと思います。企業が内部留保を持ちながらもリストラまたリストラを繰り返していることに怒り、ロシアのボリジョイが市場経済を意識したがゆえに肝心の芸術のクオリティが下がりっぱなしなことに憤りを感じ、天変地異の続く中で保険の契約に関して疑問の声を上げる。
しかし、そんな「お堅い」話が続く中でもロシアの文豪であるトルストイが
「セックスほど罪深いものはなく、子供を産む目的以外でするものではない」
と書き残していながら、自身は「お盛ん」だったという話などもあったりと、彼女が以下に教養人であったかということが文章の節々から感じることができて、あっという間に読み終えることができました。
彼女は2006年にがんで56歳の若さで逝去されてしまったと、「異能の外交官」という異名を取った佐藤優さんの本で知ることになったのですが、彼女がもしまだ存命だったらどのようなことを発言していただろう…。そんなことを考えています。扱っている話には時代を感じさせますが、その考察には現在も十二分に納得できるものが多いので、面白いと思います。 -
2023年1月15日机の下の段ボール箱を整理してたらポロっとこの本が出てきた。
整理の手を止めて、懐かしく拾い読みを始めたら、大部分を読んでしまった。
短い文章の中に鋭い警句、社会批判をふんだんに取り入れた米原節が心地よい。
いま、これだけの率直さでものを書く人は、残念ながら見当たらない。 -
著者が色んな雑誌などに寄稿したエッセイのまとめ本。
時事問題がいっぱいで同時の世相が思い出せる。
今の時代を見たらなんて言うんだろうなと。 -
米原さんの考え方にはいつもなるほどぉ〜と唸らされる。自分ももっと物事を深く考えられる人になりたい。
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2018年1月12日高橋
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日本で生まれて日本で育ったことを、恵まれているとは思いつつも、どこか不完全感をぬぐえない自分が生まれてくるよう・・・
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米原さんってものすごく頭のいい人だったんだなあ。日本を客観的に見たり、世の中の先を読んだりすること、そしてそれを読みやすい形で表現することに長けている人。これ読んで、日本の立ち位置が分かったような気がする。10年以上前に書かれたものなのに、ちっとも古さを感じなかったなあ。現代も斬ってもらいたかった。惜しい方をなくしたなと思った。