- Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122044944
作品紹介・あらすじ
『六韜』は"武経七書"の一書に選ばれ、『三略』にならぶ兵法学の名著として古今東西の武将たちに読み継がれてきた。前漢の軍師張良が黄石公より譲り受け、我が国では藤原鎌足が暗記するまでに愛読し、源義経が密かに戦術の奥義を学んだなどと語り伝えられる。戦術論のみならず、人心掌握法や組織を率いる心構えを余すことなく説いた、今もなお貴重な示唆を与える組織論の名著。
感想・レビュー・書評
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太公望と王様の問答集、文韜、武韜、竜韜、虎韜、豹韜、犬韜の六つからなる。
人徳や信賞必罰なんかの帝王学。自然に任せることをよしとする内政方針。人事について。細かな軍の編成や戦略・戦術論。そんなのが主な内容。最後の兵書としての要素が強い部分は孫子なんかと違って具体的過ぎて現代にそのまま応用することが難しいだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんでだろうか、あまりぴんと来なかった。僕が人の上に立つような人間ではないからだろうか。あるいは好みの問題だろうか。とりあえず三略も読んでみよう。
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兵法書の1つではあるが、孫子に比べるとちょっと落ちる。
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著者不詳
訳者:林 富士馬
解説:竹内 実
カバーデザイン:山影 麻奈
【メモ】
・底本は、教育社1987年刊。
・ウェブ漢文大系
https://kanbun.info/shibu02/rikutou00.html
【目次】
目次 [003-008]
六韜について [011-015]
■第一巻 文韜 017
第一 文師(文王の師) 019
第二 盈虚(国家の治乱) 025
第三 国務(政治の基本) 029
第四 大礼(君臣の礼) 032
第五 明伝(至道を伝う) 035
第六 六守(仁義忠信勇謀の守り) 037
第七 守土(国土の防衛) 040
第八 守国(国家の保持) 043
第九 上賢(賢者を尊ぶ) 046
第十 拳賢(人材の登用) 051
第十一 賞罰(功を賞し、罪を罰す) 054
第十二 兵道(用兵の要道) 055
■第二巻 武韜 059
第十三 発啓(民を愛する政治) 061
第十四 文啓(文徳の政治) 066
第十五 文伐(文をもって人を伐つ) 070
第十六 順啓(人心を重んず) 075
第十七 三疑(三つの疑問) 077
■第三巻 竜韜 081
第十八 王翼(王者の腹心) 083
第十九 論将(大将を論ず) 088
第二十 選将(大将を選ぶ) 092
第二十一 立将(大将に大事を命ず) 095
第二十二 将威(大将の権威) 099
第二十三 励軍(軍卒を激励する) 101
第二十四 陰符(主君と大将の契り) 101
第二十五 陰書(密書) 106
第二十六 軍勢(敵を破る勢い) 108
第二十七 奇兵(臨機応変の戦術) 112
第二十八 五音(五つの音声) 117
第二十九 兵徴(勝敗の前兆) 121
第三十 農器(農具と兵器) 125
■第四巻 虎韜 129
第三十一 軍用(軍の器具の効用) 131
第三十二 三陣(天陣・地陣・人陣) 139
第三十三 疾戦(速攻戦術) 140
第三十四 必出(脱出戦術) 142
第三十五 軍略(軍事謀略) 146
第三十六 臨堺(敵陣攻略法) 148
第三十七 動静(敵の動静を探る) 151
第三十八 金鼓(防禦戦術) 154
第三十九 絶道(糧道を絶つ) 157
第四十 略地(敵地攻略) 160
第四十一 火戦(放火作戦) 163
第四十二 塁虚(敵陣探察法) 165
■第五巻 豹韜 167
第四十三 林戦(林間作戦) 169
第四十四 突戦(奇襲作戦) 171
第四十五 敵強(強敵対抗作戦) 174
第四十六 敵武(衆敵対抗作戦) 177
第四十七 鳥雲山兵(山岳作戦) 180
第四十八 鳥雲沢兵(水辺作戦) 182
第四十九 少衆(衆寡、敵せず) 186
第五十 分険(険阻の攻防) 189
■第六巻 犬韜 191
第五十一 分合(分散集合作戦) 193
第五十二 武鋒(精鋭奇襲作戦) 195
第五十三 錬士(勇士の錬成) 197
第五十四 教戦(戦法の訓練) 199
第五十五 均兵(兵力均分法) 201
第五十六 武車士(車兵登用法) 205
第五十七 武騎士(騎兵登用法) 206
第五十八 戦車(戦車戦法) 207
第五十九 戦騎(騎兵戦法) 211
第六十 戦歩(歩兵戦法) 215
六韜 読下し文 217
文韜 219
武韜 249
竜韜 265
虎韜 301
豹韜 331
犬韜 349
解説 竹内実(二〇〇四年 甲申 十二月) [368-381] -
『武経七書』の一つ、『六韜』の口語略です。『三略』とは違い具体的な戦術が多いのが特徴です。日本に伝来当初から秘蔵とされていたらしく、『三略』と共に、義経が兵法の師の鬼一法眼の所蔵する本書を見るために師の娘を利用したとの伝説が残ります。しかし本書を実践で使い勝利を得るには、将に器量が必要です。【第3巻竜韜、第19論将(大将を論ず)】また臨機応変に戦うこととあります。【第3巻竜韜、第26軍勢(敵を破る勢い)】もし将に器量があれば本書は非常に役にたったと思います。義経の時代には、むしろ平家の方に読む機会があったでしょうが、義経に対抗できる将がいませんでした。因みに本書の【虎韜】は虎の巻の語源です。
全編に勝利のヒント(苦戦を勝利に変えることも)があります。王からの質問形式を採っており、読み易く、おすすめします。 -
六韜は、中国の最も有名な兵法書の一編である。太公望の言葉と周の文王・武王のやりとりとして書かれているが、後世の誰かの作らしい。君主の治世の在り方や戦争における戦術の他、敵国を弱体化させる謀略や策略について記されている。相手を欺く方法や奇計謀計について多く触れている点で、三略とはやや趣きが異なっている。また、記されている戦術の内容も具体的で細かい。孫子や三略と比べるとリアリスト的である。
君主は人民や部下を愛し、賞罰を公平にし、広く施しを与えるべしという考え方は、三略と同じだった。勉強になったのは有能な臣下の5つの資質、10の欠点という部分である。5つの資質とは、勇・智・仁・信・忠である。欠点は、自信過剰、臆病、短気、欲深さ、狭量、優柔不断などである。この部分は、そのまま現代人にも当てはまる部分だろう。時代は違っても、優秀な人間、優秀なリーダーはこうした資質を満たしているような気がする。
人は相手の欠点には良く気付くが、自分のこととなると気付かずに誤りを犯しがちである。この分析を日頃の自分の行いに対して加えてみることは大変有益なことだと思う。 -
六韜は孫子と並んで、中国のすごい兵術書ランキングに入ってる兵術書。
質問厨と化した武王(周という国のいい王様。殷という国のわるい王様を倒したヒーロー)と、その質問に対して懇切丁寧に答えてくれる太公望(周の軍師。とても頭いい)との問答集。
問答といっても、武王は質問して解説を黙って聞き、聞き終わったら「なるほど」「たしかに」しか言わないので、ほとんど太公望の独白に近い。
前半部分には、将軍とはどうあるべきか(戦時に限らない)、兵と将軍ならびに将軍と君主の関係、よい軍隊の作り方といったことが書いてあります。
このへんは現代社会にも通じる考え方があって、たいへんためになります。
孫子と似たような方向性の考え方ですが、六韜は孫子よりも「リーダー向け」の色合いが強いという印象。
リーダーが質問してるわけだから、そりゃそうなりますわな。
後半部分は、ひたすら戦術の指南や軍隊の構成についての具体的な解説が展開されています。
このあたりは、一般人にはやや退屈かもしれません。 -
士農工商や五人組といった江戸時代の制度が既に定められているのに驚いた。
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「人民は、いうなれば牛や馬のようなものであります。」
張良も参考にしたと言う本。
なんと言っても本そのものが美しい。
軍事的助言が多く乗っている。
やはり中国の古典は読んでい面白い。