ピアニストが見たピアニスト: 名演奏家の秘密とは (中公文庫 あ 64-2)
- 中央公論新社 (2010年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122052697
感想・レビュー・書評
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リヒテル、ミケランジェリ、アルゲリッチ、フランソワ、バルビゼ、ハイドシェックの、陰に隠れたプロフィールとでも言えようか。
薦められるままに読んでみたら結構面白かった。
ピアノ曲にそれほど造詣があるわけでもないから、引用されている曲のそれぞれの部分を俄にアタマの中で思い浮かべるのは無理ではあったが。
普段ぼくらが垣間見ることのできない、有名ピアニストの私的な部分を様々な切り口から見せてくれる。伝記物とはまたひと味違った趣。
傲慢そうな演奏をする(とぼくには思える)アルゲリッチが、実はステージに出るのをたいそう怖がっているという下りには、「へぇー!」だった。
最後のハイドシェックの項が、多分著者が一番思いを込めて書いているように感じられる。
頻繁に出てくる「ルバート」という語をぼくは知らなかったが、文脈から「自由に」という意味合いだろうと見当を付け、怠慢なことに、読了するまで遂に辞書を引かなかった。 -
ピアニストたちの超人ぶり、また弱さ、ナイーブさを抱えた面が印象に残った。子ども時代にはピアノを習っていなかったリヒテル。プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番の演奏を寝ながらにして聴いて覚えたというアルゲリッチ。しかしリヒテルもアルゲリッチも舞台で失敗する怖さをいつも感じていたとのこと。それが逆に霊感に満ち、神が降りてきたような演奏をしていた!ミケランジェリは暗譜が苦手、完璧で冷静な演奏で有名になったが、若い日には実は情熱的な演奏を行っていた。ジャズを弾き、そしてショパン・ドビュッシー・バルトークなどにジャンルが偏ったサンソン・フランソワ、ヴァイオリンのクリスチャン・フェラスとの長年のデュオの始まりと解消、そして硬質な音楽とされたピエール・バルビゼ。貴公子と鬼神の両面で日本で人気があったというエリック・ハイドシェックが晩年18番だったハンマークラーヴィアで演奏会中に止まり、うつ伏して泣いたというお話。リヒテルの章で紹介されているが、暗譜がクララ・シューマンから始まり、当初は作品に対する冒とくだと受け止められていたとは驚きの事実である。また絶対音階が狂ってきたために瞬時に半音階を上げ下げした演奏をするそのテクニックは奇跡としか思えない!この6人の他にもホロヴィッツ、コルトー、ポリーニ、バレンボイムその他随所にピアニストの演奏の解説が楽しい。
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100602
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リヒテル、ミケランジェリ、アルゲリッチ、フランソワ、バルビゼ、ハイドシェック。
名演奏家にモノ書きピアニストがせまるエッセイ。
私のショパンとの出会いは、サンソン・フランソワだった。
レコード屋であれこれ見て、チョイスしたのは、まぁ多分サンソン・フランソワが男前だったからなんだろうww すりきれるほど聞いて、結局のところ私はショパン嫌いになっている。いや、聞くのは好きなんだけど、自分で弾くのは嫌なのだ。
よーするに、フランソワを聞きすぎてあれ以外のショパンはどうしたって違うものに感じられて、嫌ってことなのかもしれない。と、これを読んで思い至ったのでった。
サンソンの孤高は、<絶対>の領域なのだ。
ピアニストのテクニックを特に手や指に焦点をあててるのは、興味深かった。これは、やっぱり著者がピアニストであるゆえに書けるものなんだろう。
全体的には伝聞が多くて…。
実際に周知であるハイドシェックの項との温度差がちょっとありすぎたかな。
ともあれ、うまくまとまってて、<よくできました>って丸したい感じでしたww -
マルタが丸太。お父様おちゃめ。確かに。
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ピアニストの天才ぶりと苦悩