- Amazon.co.jp ・本 (625ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122052895
作品紹介・あらすじ
人類誕生の地であり、悠久の歴史をもつアフリカ。多様な民族を関係性から読み解き、西洋やイスラームとの出会い、信仰や慣習から、人々の暮らしを浮き彫りにする。人類学の成果を得て、躍動する大陸の歴史を詳述する。
感想・レビュー・書評
-
NDC209
目次
第1部 自然と民族のアフリカ(自然と人間の共生史と矛盾;民族誌からアフリカ史を発掘する;多様な民族の生成と戦略)
第2部 都市と王国のアフリカ(アフリカ理解のために;王国のアフリカ;都市のアフリカ―地域間の交流;外部世界とアフリカ)
第3部 イスラームのアフリカ(人類学的イスラーム史叙述に向けて;セム的一神教の普及と土着化;イスラーム改革の胎動;「近代化」のなかのイスラーム復興)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人類誕生の地であり、悠久の歴史をもつアフリカ。多様な民族を関係性から読み解き、西洋やイスラームとの出会い、信仰や慣習から、人々の暮らしを浮き彫りにする。人類学の成果を得て、躍動する大陸の歴史を詳述する。
-
アフリカ大陸の歴史は民族学や考古学的アプローチが欠かせず、「復原」されなければならない無文字文化である。しかし口承などで蓄積された知識体系(特に家畜などに対する)の水準は高い[p102]。多様な民族、部族が入り乱れており、殺人などはよくあること[p139]で、大きな権力は生まれにくかったのであろう。
しかし、ポルトガルと接触したゴンゴ[p175]などのような王国は割拠していた。その制度の中に奴隷制度もあり、後の欧州の奴隷貿易をスムーズにさせたかもしれない[p276]。
また、イスラーム教やキリスト教との接触が土着化する傾向があったとはいえ(コプト・キリスト教[p324]など、シンクレティズム)大きく世界史の中に巻き込まれた要素だろう。やがて、ワッハーブ派やネオ・スーフィズム、マフディーなどの流れにつながり、植民地支配へ根強い抵抗を示すようになって行く(ナショナリズム?)。
アフリカは決して未開ではなく、植民地化以前に多様な都市、文明は存在していた。その多様性がイスラーム教などの宗教との混交(シンクレティズム)や、植民地政策への反発などと複雑に絡み合って、現代につながっているのがわかる。