- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122053199
作品紹介・あらすじ
高揚した帝国主義時代のヨーロッパに、突如として現れた黄色人種脅威論。この漠たる不安が「黄禍論」として政治スローガン化し、各国を席巻した背景と経緯をたどる。膨大な資料をもとに欧米人の複雑な心理を明らかにし、豊かな歴史タペストリーとして織り上げた画期的労作。
感想・レビュー・書評
-
ドイツ歴史家 ゴルヴィツァー 「 黄禍論 とは何か 」
黄禍論を西洋人のメンタリティから説明した本。黄禍論とは 西洋人が持つ 日本 中国 脅威論。差別というより 不安から出た不条理
黄禍論の特徴
*日清戦争、日露戦争の勝利→日本の軍事力に警戒
*アジアの工業化成功→西洋の経済力の減退
*中国の人口増加→中国に警戒
アナトールフランス
*白禍が黄禍を生み出したのである
*人間の最高の価値は 人間そのものにある
日本と中国が 黄禍論の中で 同盟を組んだら、世界史は 大きく変わっていたのか と思わせる本だった詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新書文庫
-
黄禍論の起こりや国ごとの世論、主張を豊富な資料をもとに解説する。
とにかく資料が多種多様で、様々な角度から
黄禍にまつわる当時の意見を知ることができた。
意図的に少数派の主張やゴシップ的な内容も取り上げており
結局全体として社会の風潮はどうだったのかを見失いがちだが、
一個の意見を全体のものと誤認しないためのフォローは適宜なされる。
また巻末に付された解説は本書をうまくまとめた上で、
現在の国際社会に触れていて分かりやすい。 -
ヨーロッパにおける帝国主義全盛期に、盛んに流布された「黄禍」という言説を、当時のジャーナリストや通俗哲学者の議論を分析して詳細に論じている。
-
白人が我々黄色人種をどう見ているのかを知りたくて読み始めた。ところが、100年前に欧米を席巻したというこの黄禍論の主張は、実は現代の日本(特に製造業)にも当てはまると気がついて、むしろその視点で最後まで読んだ。
『極東の国々にヨーロッパの機械を輸出して、彼らに西洋の技術を学ばせてみるがいい。やがて俺たちは安い外国人労働者のすさまじい圧迫を受けるようになり、しまいにヨーロッパは廃墟になってしまうだろうよ』
ヨーロッパを日本に、極東を中国などの新興国に置き換えれば、まさに日本の製造業が直面している課題じゃないかこれは。技術は全部盗まれて終わりという。でも20世紀後半の日本の台頭で欧米が廃墟になったわけではないことを考えると、黄禍論も杞憂だったということなのだろう。というわけで、日本も将来を悲観せずがんばる。