古代ギリシアの女たち: アテナイの現実と夢 (中公文庫 さ 54-1)
- 中央公論新社 (2010年12月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122054189
作品紹介・あらすじ
古代ギリシアのポリスの中でスパルタと並んで最強の国力を誇ったアテナイは、徹底した男社会であった。本書は、史料に記されたさまざまな事件を照射、検討することによって、繁栄の陰に隠され、抑圧の生涯を強いられたとされるアテナイの女たちの実態とポリス社会の実情を描く。
感想・レビュー・書評
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女性の著者が「女を論じるに男の手になる史料に頼らざるを得ないという制約のもとで」と前置きしながらも・・しっかり女性の視点で書かれています。
わたしにとって難しい言葉(初めて目にする言葉)が多く読みくだくには少し大変でしたが、すごく興味深い内容でした。
古代から近代(それもほんの数十年前)まで、女の地位は男性社会の中でいかに低められていたか痛感しました。
オイコス(家)の後継者を得ることつまり子供をもうけることが結婚の第一の目的とか、
オイコスの後継者となる子供は間違いなく夫の子供でなければならないということから、合意に基ずく姦通より、強姦のほうが相手の男の刑罰が軽いなど女の人格や感情への配慮がまったくない考え方びっくりしました。
挙句の果てには子宮の支配と管理などと!ポリス市民の再生産をするための装置のようなあつかいとも。
それでも、まだ子供を産めるアステ(市民の妻)はいいほうで、もっと辛い人生を強いられる女たちもいたことも確かです。
女の地位が何百年もの長い間そう変化することもなく続いてきたことに驚嘆するばかりでした。
とっても勉強になりました。
そして、この本のあとがきを読んでわかったことですが。
著者は本書が少しでも誤りから免れているとしたら助言者のおかげと述べ、誤りがあるとしたら、すべて自身の責任と述べています。
また、本篇のなかでも、史料上、一方の意見にすぎないとか、少ない史料であるため、これがすべて真実とは言いかねるなどと、慎重な言葉が繰り返し述べられていることから・・
歴史について記すことは、それほど大変な責任がともなうということが伝わってきました。 -
古代ギリシアの女性に関する当時の文献は、悉く男性というフィルターを通してのものであり、その実像に迫るためには、法定弁論の一部や悲劇・喜劇内の台詞あるいは彼女らの遺した織物など、些少な断片の群れから間接的に垣間見るよりほかになかった。ジェンダー理論の発達した今こそ、改めて読まれるべき一冊。
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標題どおり、古代ギリシアの女性がどのような存在であったかに迫る本。
元は同じタイトルの中公新書で、補章が加えられて文庫化されたものです。
古代ギリシア人の結婚観を知りたくて手に取りました。
なかなかの情報量で、いろんな文献から当時の生活を垣間見ることができ、興味深い一冊でした。
また古代ギリシアは民主国家であり、平等であったという単純なイメージがあったのですが、それは一方で完全な男性社会であったことや、在留外国人、奴隷の社会からの排斥を基盤としていたことなど、一側面では窺えない事実を知ることができ、勉強になりました。
古代ギリシアや、ジェンダーに関心がある人にはおすすめの一冊です。私ももっと歴史的背景を勉強して、このような文化史的な知識の奥深さを養いたいなあと感じました。
古代の女性の歴史は、過酷です...
古代の女性の歴史は、過酷ですね。(もちろん、男性も。笑い)
本当の意味での「男女平等」を考えていきたいですね。