- Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122056312
感想・レビュー・書評
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日本近代に取材したノンフィクションであるが、猪瀬の手法は通常の社会派を名乗るノンフィクションライターとは異なり、<u>歴史の大きな流れを押さえた中で、ある事件と事件のつながりや意味付け、必然性を探る</u>というもの。今現在の目に映るものしか興味の対象として取り上げ得ない凡百の一発屋ノンフィクションライターとは教養の厚みが違うということだろう。「昭和」が定められる際のスクープ騒動、森?外の「元号考」への執着、元号や詔勅に関わる学者の背負う重さ、国家の自浄機構としての刑務所、恩赦の問題を扱いながら、猪瀬は、<b><span style='color:#ff0000;'>歴史を知ることの大切さ</span></b>を説いているのだと思う。戦後教育を受けた世代には、実感として掴むのがなかなか難しいのではあるが、日本という国のシステムの深層にある天皇の存在を無視することはできない。この<u>システムは気が遠くなるほどに積み上げられた歴史を内包しており、その慣性は一個人でどうにかできるような小さなものではない。</u>元号は、システムが実世界に接続するインターフェースの一つであるが、システムの重さからフリーではありえないので、例えば機に臨んで新元号を定めるようなときには、その任にあるものは歴史の重圧に翻弄されるであろう。しかしながら、現代の政治家や財界人は歴史を軽視しすぎる。あるいはまったく無知に過ぎる。今の諸問題を<b><span style='color:#ff0000;'><u>現在という微分的な情報処理だけでなんとかできると思うのは愚かである。国の行く末を考えるべき立場にある者は、このことを知るべき</u></span></b>である。
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元号制定の経緯、八瀬童子の役割、最後のクーデター。うーん、知らなかったことばかり。こんな文章書く人だっだんだ。