忍ばずの女 (中公文庫 た 46-7)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122056381

感想・レビュー・書評

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  • 一流を愛し、一流を目指し、一流になった人。

    努力も、ものを、人を見る目も
    並々ならぬものと、改めて感嘆。
    これは、女優を目指すものでなくとも、
    気づき、学びがあると思う。

    生ぬるい自分の物事への向かい方を
    大いに反省させられた。

  • 親子って難しい
    愛しかたがわからないと愛せないものなのよねきっと
    んでたりないからずっと欲しがるのだ
    都合のいいときだけべったりしたり、要らないときは邪険にして、うまくいかない

  • 2013.7.3~6 読了
    役に取り組む姿勢がまさにプロ、原作は三回読む、台本に書いていないが演じる人のキャラクターは全て考えておく、その人生に成り変わるように・・・必ず相手役を立てるところもさすが。宝田明とのエピソードもふむふむだねぇ。シナリオ「忍ばずの女」、古典的な人情モノではあるが完成度が高い。石井ふく子、伊志井寛、石井のぶ子(君鶴-三升延)の関係を始めて知った。

  • 有馬稲子さんや池辺良さんなど、かつての映画スターさんには、文章の達者なかたが多い。高峰秀子さんもその類なのだろうと、いつものように興味先行で手に取りました。

    高峰さんが映画の道に踏み込んだきっかけと、映画界で生きるようになってからの周りのあれこれをからめ、自分の演技・作品についてまとめたエッセイ。池辺さんの作品に見られるある種の軽やかさとも、有馬さんの巧みさとも違った、ちょっとゴツい筆致だと思う。自分の周りを書きとめる際に情緒に流れることはほとんどなく、着実そして的確に、書きたい感情と事実を連ねていく。直球勝負の文章といえるかもしれない。

    私は舞台・演劇には昔から憧れがあり、「その世界に身を置けたら」と思った瞬間もあったくらいで、今でも好きだけれど、俳優だけは観賞専用と思っていた。だから、彼らがどのように役作りをし、撮影に臨み、出来上がった作品との距離をどう取るかにはほとんど興味がなかった。原作を3度読み、細かいQ&Aを積み重ねて…という、高峰さんの一連の役作りプロセスは、形や深さこそ違え、今の俳優も行っていることだと思う。でも、高峰さんの役作りは、もっと引いて考えられた要素が多いように感じる。自分の中にある才能だけで勝負することを望んで役に入り込むというのではなく、設定に設定を重ねて仕上げた役を演じる。もともと、視野の広いかたなのだろう。声の不足を補うために最高の声楽家に師事し、老け役・死に役を演じるときには、整形外科の医師に意見を訊くといった、必要な要素をピックアップし、演技に集約するのが巧みな俳優さんだと思うし、演技から距離を置いたのちに文筆に行きついたのは、夫君が脚本家でなくても当然のことのように思う。

    バックステージものとして楽しめる章も多いけれど、「『放浪記』後日譚」が抜群だと思う。アクの強い林芙美子像を創造したことや、相手役に求めたことについては、感覚的に書かれたものではなく、実に明晰。完成した作品に対する批評へのカウンターパンチもクリアにヒット。そうだよね、別にドキュメンタリー撮ったんじゃないから、「似てる」「似てない」の問題を出されたら、俳優としては立つ瀬がない。

    筆が立ち、撮影も演技も把握している人間として、「書いてみれば?」と勧められたシナリオ『忍ばずの女』については、花柳界の女三代ものとしてはオーソドックスだと思うものの、どの女の目線に重きを置くかという演出によっては、地味ながらも濃いドラマになるんじゃないかと思った。個人的には、その下敷きになった実話を読むほうが、はるかにスリリングではあったけれど。

    銀幕のスター女優さんの思い出話?との予想を裏切り、はるかにストロングで演技に対する真摯な考えが読めたので、この☆の数です。

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著者プロフィール

高峰 秀子(たかみね・ひでこ):女優、随筆家。1924年北海道生れ。5歳のとき映画『母』で子役デビュー。以後、『二十四の瞳』『浮雲』『名もなく貧しく美しく』など300本を超える作品に出演。キネマ旬報主演女優賞、毎日映画コンクール女優主演賞ほか、受賞数は日本映画界最多。55歳で引退。名随筆家としても知られ、『わたしの渡世日記』(上・下、新潮文庫)で第24回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。2010年12月28日死去。享年86歳。

「2024年 『高峰秀子 夫婦の流儀 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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