昭和史の大河を往く1 - 「靖国」という悩み (中公文庫 ほ 1-14 昭和史の大河を往く 1)
- 中央公論新社 (2013年4月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122057852
作品紹介・あらすじ
政治や外交の思惑がからみ、近年ますます複雑化する靖国問題の本質とは何か。歴代首相の発言と参拝、土台となる歴史解釈の違い、宮内庁長官のメモに残されたA級戦犯合祀に対する昭和天皇の思いなど、現在の状況を昭和史の枠組みで実証的に検証する。巻末に半藤一利氏との対談「昭和史を再考する」収録。
感想・レビュー・書評
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一番の「悩み」は、本書のように事実に基づいた真面目な論考に触れず、小泉元総理のような「可視史観」、あるいはただ中韓に対する安っぽいショーヴィニズムから参拝を肯定する日本人が、大勢現れていることなんだろうなぁ……。本書で検証されている事実を踏まえた上でも、中・韓・米に対し申し訳の立つ参拝のロジックは建てられそうなものなのに、なぜ政治家たちは「個人的な問題」「他国に文句を言われることではない」とバカの一つ覚えで唱え続けるのだろうか。不思議でならない。
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14柱の合祀を決断した松平宮司の「正式な終戦はサンフランシスコ平和条約調印時だから、東京裁判は戦時中の出来事になり、処刑された方と戦死者は同じ」(要旨)という理屈が印象的。
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文章は難しくないけど、読むのはしんどいかもしれない。だけど、読まなければいけない。知らなければいけない。何より、考えなければいけない。
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靖国神社はA級戦犯を合祀するとかしないという問題ではなく、旧体制肯定(遊就館に展示されているような)の思想運動だと言う点に問題がある。
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主に小泉元首相の靖国参拝に関して批判的な見解を整理したもの。
(平成18年当時に雑誌等に連載されたものを纏めたもの)
現在もそうだが賛否の論点が嚙みあっていないところを如何に解くのか。
冷静に且つ客観的に論点を整理していけば自ずと道筋を立てることができるのではないか。
靖国の問題は対アジア諸国だけでなく日本自身にとっても問題を先送りすべきではないと思う。
最後に著者と半藤一利との対談(「昭和史を再考する」)が含まれているが、昭和まで続く”薩長”政治を批判的に捉える考察として興味深い。
例えば、陸軍、海軍のお偉方が圧倒的に薩長閥で固められていたとする実証。また、陸軍では長州閥に批判的な陸軍の若手が成績至上主義を導いた。