人生教習所(下) (中公文庫 か 74-4)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122058033

作品紹介・あらすじ

引きこもりの東大生、元ヤクザ、内気な女性ライター…選抜をくぐり抜けた「落ちこぼれ」たちは、ユニークな講義によって新たな視点を獲得し、過去の挫折をとらえなおしていく。そして、最大にして最後の教材は、開催地・小笠原そのものだった。その美しい自然と数奇な歴史に織り込まれた真理とは?謎のセミナー、感動の最終章へ!

感想・レビュー・書評

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  • 前半の予想から大外れはしないものの
    研修の中身(島の歴史や島民の暮らし)が
    割合に重くて、ただの娯楽小説では
    なかったのかぁと少し驚いた。

    巻末の謝辞によれば小笠原の歴史や自然、
    日本への返還前後の話は実際の話を聞きながら
    書かれたものとあり、今まで知らなかった
    多くの歴史に触れた。
    日本への返還と言えば沖縄のことしか
    考えが及ばなかったが、小笠原に
    激変の時代があったこと、その歴史的背景
    を受けての観光産業の在り様、
    読み始めの印象とは大きく変わって
    考えさせられることが多かった。

    セミナー後の登場人物の変化も楽しい。
    主人公が語る、今の日本ではどういう生き方だって
    自由だ。でもそれと引き換えに覚悟が必要だ。
    過去をなげかず、未来も恐れず。

    ”自分の人生が、周りにいる人々の人生の断片で成り立っているということ。そしてそれを自覚すること。”
    今後は私も胆に銘じてみよう。

  • で、下。

    セミナー最後まで良心的だし。
    なんか最後にウラがあってどんでん返し的な・・・・、と思ったら、いい人たちじゃないかー。
    登場人物もキャラに好感が持てるし、読後の清涼感がなかなか良いです。

    小笠原の歴史もよくわかります。
    沖縄などとはまた違う、独自の戦中戦後の歴史があったのですね。

    あと、垣根センセはやっぱ車好きなのだ。
    どんな脇役(?)車両にも手を抜かず、車種や車名やなんかを描写しておられます。

  • 垣根 涼介さんの作品ひさびさに読みました。

    やっぱり好みなかんじ。


    人間って大変。生きるって愉快だなと。

    いろんなひとがいて
    境遇や環境に左右されて、見失いがちなことを、
    講習によって正しそうな(何が正しいかはひとの価値観によるけど、
    一般的にみて正しいという人が多そうな)方向に向けられる。

    この話では、研修の主催の意図も、善意のものだったし、
    受ける側も自分の価値観や芯みたいなものもあって
    良い話で終わったけど、違ったら洗脳や詐欺的な宗教にもなり得る
    怖い話だと思う。

  • 2021年9月5日読了。

    全国紙の新聞に5段抜きの広告が出る。
    「人間再生セミナー」、小笠原諸島で2週間、料金は50万円(交通費、宿泊費込み)

    一次選考で落ちると帰りの船で帰ることとなり、残りの日程分の料金は返還される。

    休学中の大学生、元ヤクザ、定年退職した男、フリーライター他が参加する。

    セミナーの内容がいい。
    また、小笠原諸島という環境もいい。

    小笠原諸島に住んでいる人が経験した戦前、戦中、戦後の歴史もわかる。

    垣根涼介作品は名言が多い。

  • おもしろく読み進めていたのですが、最後はあっけなく…ちょつと物足りなかったです。
    この研修が、彼らのその後の人生にどう生かされたのか生かされなかったのか、そのあたりがもっと深く書かれると思っていたのですが。

  • 本書を読んでで、小笠原での滞在を疑似体験した感じがする。スマホで小笠原の画像を見ながら読んだので、小笠原の自然をより鮮明にイメージできた。小笠原の歴史も知ることができた。

    ストーリー的には、特に心動かされるものはなかったのだが、淡々とした展開も、それはそれで読んでいて心地よかった。

  • 評価は3.

    内容(BOOKデーターベース)
    引きこもりの東大生、元ヤクザ、内気な女性ライター…選抜をくぐり抜けた「落ちこぼれ」たちは、ユニークな講義によって新たな視点を獲得し、過去の挫折をとらえなおしていく。そして、最大にして最後の教材は、開催地・小笠原そのものだった。その美しい自然と数奇な歴史に織り込まれた真理とは?謎のセミナー、感動の最終章へ!

    ここまで長く引っ張る内容か?とは思ったが、しかも読了までに何度もギブしそうになったが何とか読了。
    小笠原諸島へ行きたくはなったが、今ひとつセミナーの必要性が理解出来ないまま終わった。

  • 安定の面白さ

  • 感想は上巻に記載しました。

  • 結局、小笠原諸島の歴史案内書?

  • 微妙。小笠原の紹介小説。小笠原の欧米系島民の事が知れたのはまあ楽しかったんだけど、本編は中途半端。うーん。



  • 引きこもり東大生、元ヤクザ、内気な女性ライター...
    小笠原諸島で行われる人間開発セミナー。

    小笠原諸島についての歴史や、その魅力が描かれる。

    非常に穏やかな作品でした。物語の抑揚が良い意味でない。垣根氏は人間を描くのが非常に上手い。

    しかし、コロンビアの例の男が登場するが、垣根作品を読んでる者としては懐かしい。別作品のキャラがでてくると嬉しいね。

  • 小笠原の自然と歴史に触れることで人生を見つめ直す登場人物たち。
    誘導でも強制でもなく、自発的な気付きによる変化の描き方が巧みです。
    いい話だった。

  • 小笠原の歴史が理解できて面白かった。一度行ったことがある人なら面白さが倍増すると思う。

  • 上巻に同じ

  • 小笠原諸島が風光明媚で魅力ある場所であり、戦後にアメリカ領から日本領に変わった歴史を持ち、住民が突然の国籍変更に翻弄され、苦労した事は分かった。

  • 人生の教習所は、日常の中にある非日常を見出すことができれば卒業だ。小生は日々の生活に汲々として惰性の中に埋没している。旅にでるか、金がない。本の世界で我慢する。

  • 上巻と比べると小説としてのおもしろさはトーンダウンしたと思います。より小笠原の民族史の要素が強くなり、ドキュメンタリーっぽいおもしろさが際立ちました。
    いい学びになる話だと思います。

  • 垣根作品の中ではイマイチ

  • 小笠原の良さはわかったが、話はあまり盛り上がらなかった。

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著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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