新選組挽歌 - 鴨川物語 (中公文庫 し 15-17)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122064089

感想・レビュー・書評

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  • 子母澤寛の最後の新選組ものが中公文庫から復刊されてたので久しぶりに新選組小説を読む。とはいえ、実はそれほど新選組メインではない。もとのタイトルも「鴨川物語」だけで、それに勝手に新選組挽歌と名付け、三部作の番外編等とコピーを付けるのは単にそのほうが売れる、という出版社側の戦略だろうなあ(邪推)まあいいや、踊らされてあげよう。

    冒頭、主役は河原で髪結いを営む三兄弟、長男は佐幕派、三男は勤王派で、それぞれスパイのようなことをやっている。さらに幕末京都の暗殺史では必ず被害者の一人として名前のあがる「目明し文吉」とその娘たちが活躍、新選組はなかなか出てこない。結構ちらかった構成で、主役かと思ったこの髪結い三兄弟は途中からぶっつり出てこなくなり、新選組のエピソードが主流になるかと思いきや、後年語られた当時の芸者の証言等をもとにした、伊東俊輔(博文)や井上聞多、岩崎弥太郎等のいわゆる勤王の志士たちの女遊びエピソードが本筋とは無関係に挿入され、また思い出したように新選組の話に戻る、というようなことの繰り返し。

    ゆえに500頁のボリュームがありながら、長編小説というよりは、幕末こぼれ話~志士と女たち~的な雑学本を読んだような読後感。新選組の部分も非常にざっくりしており、歴史の教科書に載っているような事件よりも、近藤さんの女遊びの話、いかに彼がモテたかの話などのほうが多分作者の書きたかったことっぽい(笑)

    子母澤寛は祖父が幕府の御家人で上野の戦争にも行ったということもあり新選組贔屓、まだ新選組が時代劇で鞍馬天狗にやっつけられる悪役みたいな扱いしか受けていなかった時代に、勝てば官軍の言葉通り勝った倒幕側が歴史をゆがめ自己を正当化した裏で実はいかに卑劣なことをしてきたか、負けた幕府側の新選組側のほうが誠実だったということを書き続けてきた人だから、今作でももれなくその部分は強調されている。

    もともと新選組小説ではあまり良く書かれない桂小五郎のみならず、坂本龍馬も高杉晋作も山師あつかい、しかしなぜか伊藤俊輔のことだけべた褒めなのは謎だけど。というわけで、オリキャラと歴史上の人物と聞き書きが三つ巴になった本作、分厚さのわりに気楽には読めました。

  • 作者最後的新選組長篇。故事一開始是髮結三兄弟(長兄支持幕府,小弟支持勤王都當密探),但連載沒多久馬上轉為新選組為主角,因為時間上(昭和37)正好是作者全集出版+新選組ブーム,似因此而有方向轉換。不過雖說新選組物,作者身為代表格但可看出很刻意地盡量不要讓寫過的軼事重複,大量引用他人取材的口述記錄,因此內容讀起來也頗為新鮮。只是主角與其說新選組,不如說比較像幕末志士女性關係談,尤其是勤王方特別是伊藤、井上等人的花街風雲錄。特別是長州人那如湯水班的錢(怎麼來的?????),伊藤井上雖說有去英國留學已經有點超越自己原本的身分,但到這種每天在花街一擲千金的程度也讓人覺得有些離譜(明治之後當然另當別論)。書裡提到薩摩人聽說很節儉,西鄉本人也只喜歡仲居而不是光鮮亮麗的芸者,因此這本書裡倒是沒有薩摩相關的豔聞。而當時志士在花街女性間很搶手,還有女生倒貼的,大概就是當代跟名人交往那種自豪感吧,例如井上被砍跟井上女人的名聲也會水漲船高@@。這本新選組物語大概主要篇幅都快被長州人跟花街軼事搶走,因此被切得很細碎不連貫,但子母澤寬所刻畫的新選組員像,一句句的對話就是給人無比的安定感(果然是本家),終究現在對組員的想像也多半植基於他的作品。只是....關東人就另當別論,京町人的關東語調還是有點詭異。

  • 鴨川の三条河原で髪結床を構える三兄弟を中心に、動乱の京を血に染める勤王志士と新選組、そして彼らに関わる遊女や目明かしたちの生と死を描く幕末絵巻。

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著者プロフィール

子母澤寛

明治二十五年(一八九二)、北海道生れ。本名、梅谷松太郎。明治大学法学部卒。新聞記者を経て文筆業に。昭和三年の『新選組始末記』に始まる新選組三部作の実録や時代小説を多数手がけ、戦後は『勝海舟』『父子鷹』『おとこ鷹』『逃げ水』など徳川遺臣と江戸への挽歌ともいうべき諸作品を発表。昭和三十七年に菊池寛賞受賞。随筆の名手としても知られ、『味覚極楽』『ふところ手帖』(正続)など。昭和四十三年(一九六八)没。

「2021年 『愛猿記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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