老後の資金がありません (中公文庫 か 86-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122065574

感想・レビュー・書評

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  • 「江戸っ子は宵越しの金を持たない」なんてのは、馬鹿らしい見栄っ張りなんです。その見栄っ張り故に、せっかく貯めた老後資金を失うことになって、おたおたする話です。

    垣谷美雨さんの描写にはいつも頷いてしまいます。特に夫婦関係ですかね。ノー天気な夫が出てくるのも相変わらずですが、妻側も自分の欠点を見つめる賢さ、困難にめげずに立ち向かう姿が好もしいのです。これってわたくしのことかしら?と思わせる術は大したものです。ま、状況は全く違いますけど。それに夫側にも言い分はあるでしょうし、面白くもないでしょうが。

    後半、金策のために良からぬことにはまりそうになるところがこの空想物語の醍醐味でしょう。そして収まるところに収まる。そうでなくっちゃ、やってられませんよね。

    それにしてもネット情報には老後の資金問題の記事の多いこと、もう完全老後のわたくしでさえおもわずクリックしてしまいますよ(笑)

  • 面白かった!

  • 最初は数字とケチケチおばさんの話かとちょっと外しちゃったかなぁ~と思ったけれど、
    も~う、面白かった!主人公の篤子さんは、おばさんあるあるで親近感湧いたし、出てくるキャラがまた面白い。お姑さんも嫌な人なのかしら?ドロドロしてくるのは苦手だなと思ったらこれまたいい意味で凄いキャラ笑。最終的に気持ちが温かくなる本です。映画は観てないので、観るのもアリかな?と思っています。

  • 私なら親の豪華ケアマンションのために
    毎月九万円の仕送りなんて無理!
    子供の結婚式六百万円の半分を出すのも無理!
    もちろん、家族で助け合いはアリだけど
    援助ありきの贅沢な計画や生活は
    するのもされるのも、私は無理かなあ。

    篤子も、ちょっと自分本位だったりして
    良い人悪い人ではないリアルさが面白かったです。
    お花の先生は衝撃的でしたが…。

    お金が必要。
    でもまずは、自分の人生を笑顔で自分なりに生きよう!と思います。

  • 怒涛のように次々と色々なことが次から次へと押し寄せてきて、自分がこんな事に巻き込まれたら、どう対処したら良いのだろう、と思いました。
    1千万以上あった貯金が、みるみる減っていく様子は、恐怖でしかなかったです。
    でも、子どもが成人しても、色々な場面でお金がかかってくるものだな、と感じました。
    夫婦のお金の価値観が違うと(相手がお金にルーズだったり、見栄っ張りだったら)本当にストレスになりそう。
    よく耐えた、篤子! よく乗り越えた、篤子!
    こんなに色んな事が起こったら、精神的に参ってしまいそう。
    ザ・エンターテイメント小説。
    自分が体験するのはゴメンですが、話としては読みやすく、飽きずにスピード感があって面白かったです。
    お金、何に使うかは人それぞれだけれど、メリハリつけてしっかりした芯をもたなければ、お金に見放されそう。気を付けようと固く誓いました。

  • 途中まで読んでて辛くなった。なんでだろう?自分の老後も想像したからか。非正規雇用の危険性、非正規でなくても章さんの会社はなくなってしまった。舅、姑の生きているだけでお金がかかる。(いや、生きてくれていることはいいことなんだろうけど。)舅姑だけの問題ではなく自分たちも長生きすればお金がかかり、先立つものがなければ生きていくのも辛い・・
    後半、姑との同居のあたりからハラハラはしたがちょっと明るくなって、娘の件も事情がわかって、ラストはちょっと安心した。

  • 自分にはまだまだ先のお話。
    だけどとってもリアリティーがあって、今からでも将来の為に出来ることはしないとと思った。とりあえずジムは休会にする。ほとんどいってないんだもの。

    節々に共感できるところがあったり、人物描写が巧みで主人公に共感できたり、逆に主人公の考えに何だか靄っとしたり。
    すっかりこの小説に自分の心が踊らされ、夢中で読み進めてしまった。いやあ面白かった! とっても。(ちなみに途中から湯船で読んだので、最後はのぼせ気味でした)

    それぞれの登場人物にちょっとおやっとなるところがあるのが、逆に人間らしいなって思った。それでも、何とかその苦しい時にお互い助け合って、その後の人生に繋げていく。大切なのは苦しい時に助け合える友達や家族だったりするのかなと思う。大事にせねば。

    ちなみにこの話を読んでいて一番気になった事は、主人公の夫に対するヘイトの高さでありました。同じ男として、自分もいずれ年を取ったら、愛する人からああいう風に思われてしまうのでしょうか。
    きっとこのレビューを読む僕の彼女さん。どうなんでしょう、教えて欲しいです。やっぱりジムは休会せずに頑張った方がいいのでしょうか、いやそれ以外の方が絶対に大事ですね。分からないけど、ひたすらに年を取ってもずっと仲良くやっていきたいなあと思いました。
    脱線しました。色んなムムムとなるシーンはありましたが、最後でそこそこには晴れやかな気持ちで終われたし、色んな勉強になる本でした。

    老後の資金が無くても、老後の知己はあって欲しいものだと思います。

  • 面白くてほぼ一気読みしてしまった!!

    ただでさえ旦那や小姑に振り回されて貯蓄がすり減ったところでお嬢様育ちの姑と同居なんて、お先真っ暗…と思いきやここから面白くなるからたまらない。
    お嬢様お嬢様といっても老舗和菓子店の女将を務めていた女性な訳で。庶民の食事にも文句言わず食べてるし何なら自分で作っている姿を見ると、今まで散々浪費してきたのは姑の意志というより「自分たちは老舗和菓子屋の子供だ」というプライドを捨てられない旦那と小姑の働きかけだったのではとも思える。姑には鹿児島の知覧茶を買えと無茶言ったりしてるし。だって姑自身は役に立ちたいと主張しているんだもの。

    主人公に対しても、地元の友達に何でも話したくないし呼びたくないというのは別にプライドゆえとは思わないけれど(誰彼構わずべらべら喋って噂話する人間を自宅にあげたくないし、お金が心もとないときに観光案内するのもつらかろう…)我が子に対しては正直に「そんなお金はありません!」って言うスタンスで来た方が良かったのではとは思う。結婚資金三百万を出さないと娘が肩身の狭い思いをするのでは…っていう心配も、それはもう娘の問題なんだから割り切るべきでしょう。結果娘は主婦としてしっかりしても実家のものはなんでも持ち帰っていいと勘違いしてるままだし。

    それにしても五十を過ぎてから旦那の嫌なところがまざまざと見えてくるって、老後の資金がない以上にある意味怖い話だ。

  • 物語を通じてお金の勉強しましょう的な本かと思って油断してたら、後半いきなりの大展開&きっちり伏線回収で面白かった。天海祐希さん主演で映画化も決定しているそうです。著者・垣谷美雨さんの本は初めて読んだけど、他にも面白そうなのいっぱいあるので、これからしばらく楽しめそうです。

  • 今や誰でも興味があり、心配の種となっている老後問題。
    それを面白く描いている。
    だけど、結構リアルでもある。
    子供の結婚費用や親の葬儀費用。
    せっかく自分達の老後に向けて集めた資金がどんどん無くなっていく恐怖に不安が止まらない主婦の篤子。
    そこに追い討ちをかけるようなリストラ…
    みんな老後を考えていないわけじゃない、ただお金ってなかなか貯まらないものなんですよね。
    どこにどれだけ使えばいいのか、使うべきなのか、色々考えさせられる作品。

    2019.12.13

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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