- Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122065666
作品紹介・あらすじ
失意の銅山経営から帰国した是清は、実業界に転身。銀行業界に入り、正金銀行頭取を経て、日銀副総裁へと出世する。折しも日露戦争が勃発、是清は祖国の命運を担い、外債募集のため、アメリカ、そしてイギリスへと赴くが……。破天荒な青春を経て財政の神様となった明治人の生涯。〈解説〉井上寿一高橋是清(1854~1936)安政元年(1854)、江戸・芝露月町の幕府御用絵師の家に生まれ、生後間もなく仙台藩士の高橋家の養子となる。慶応三年(1867)、藩命によりアメリカ留学。明治六年(1873)文部省に出仕し、その後、農商務省特許局長などを務める。明治二十三~二十四年にかけてペルーに渡り鉱山経営に携わるも失敗。帰国後、日本銀行に入り、日露戦争時は副総裁として英米にて戦時公債の募集に尽力。その後、日銀総裁を経て、大正二年(1913)、立憲政友会に入党。第一次山本権兵衛内閣蔵相、原敬内閣蔵相を経て大正十年、内閣総理大臣に就任、政友会総裁を務める。昭和二年(1927)田中義一内閣蔵相として金融恐慌の沈静化に手腕を発揮。その後も、犬養毅内閣、斎藤実内閣、岡田啓介内閣で蔵相を務めるが、在任中の十一年、二・二六事件に倒れる。
感想・レビュー・書評
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是清人生のハイライトの1つ、日露戦争の戦費獲得のため外国を飛び回る。そこでこの自伝は終わる。52歳。81歳まで生きてるから先を知るには続編の自伝を読まなければならないようだ。
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高橋是清の半生記を読了。ここで終わるんだという驚き。でも、これはこれでありなんだろう。滑って転んでの前半とは大きく変わり、国際金融のプロとして活躍する姿が、いかにも格好が良い。学校の教科書には出てこない、歴史を興味深く、読むことができた。
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波乱万丈の高橋是清の半生を描いた口述自伝。ペルー銀山の開拓に失敗しどん底から実業界に転身した是清が、着々と立身を重ねついには日露戦争における資金調達という国運を左右する大仕事に挑む下巻。
上下巻通して読んでいてまず感じたのは、その桁違いの馬力。常に無私の境地でものごとを押していく感じの凄さがあった。そしてリレーション力。主にロンドンにおける日露戦争間後の外債発行においても、光明を見出すきっかけとなったユダヤ人アメリカ金融家シフとの出会いを始め、各国の要人とするすると関係を築いていってしまう。自身の口述ゆえ淡々と描かれているが、この人以外にはできない芸当だったであろうことが伝わる。歴史を紐解くと時たま、その時代が呼び寄せたヒーローと思うような人物が見つかるけど、その類だったんだろう。この自伝は第五回外債発行に成功するところで終わっているけど、数十年後、「財政の神様」として昭和恐慌下に陥った日本をもう一度救うことになる。 -
失意の銅山経営から帰国後、実業界に転身。やがて日本銀行に入る。そして日露戦争が勃発、祖国の命運を担い、外債募集の旅に赴く。〈解説〉井上寿一