- Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122067851
作品紹介・あらすじ
歴史家ミシュレが、大著『フランス史』で描いた人物のなかでも特に愛した〈救国のヒロイン〉ジャンヌ・ダルク。
百年戦争下のフランスを窮地から救いながら、異端者として火刑に処せられる数奇な生涯を、ミシュレはキリストになぞらえ、共感と情熱をこめて描き出す。
〈解説〉佐藤賢一
感想・レビュー・書評
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・ジャンヌの物語にはこんな力がある。それは、うむを言わさずひとの心を捉え、心ならずも涙を流させるほどの力なのだ。巧みに話そうと下手に物語ろうと、読み手が若かろうと年をとっていようと、あるいは人生経験をへてどれほど成熟したひとであろうと実生活に鍛えられたひとであろうと、とにかく彼女には泣かされることになる。男たちよ、泣いたからといって顔を赤らめることはない。男であることを隠すことはない。この場合、涙のもとになったものは美しいのだから。
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囚われてから火刑までに多くの字数が割かれている事からも、ジャンヌが苛まされて死ぬことによって、フランスの聖女となリ得た過酷な事情が示されている様に感じる。200年近く前の作品ながら、現代目にするジャンヌ・ダルクの物語と大差無いのは、本著が史実に沿って書かれたからで、その点貴重。キリスト教の宗教観がベースなので、馴染みない我々には退屈に感じる面が多々あるが、それもまたジャンヌが生きた世界に2世紀ほど近い時代のにおいと言える。
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〈祖国〉はひとりの少女から生まれた――。『フランス史』で知られる歴史家・ミシュレが情熱をこめて描く、救国のヒロインの受難と死。〈解説〉佐藤賢一