連弾 (中公文庫 さ 83-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122070875

作品紹介・あらすじ

都内の小さな公園で死体が発見された。警察は殺人事件と判断し、特別捜査本部を設置。捜査一課の音喜多弦は、音楽隊志望という少し変わった所轄署の刑事・鳴海桜子と捜査を開始した。遺留品にクラッシクコンサートのチケットがあったことから、関係者を訪れる二人だが……。時を超えた愛憎と狂気が渦巻く、慟哭の傑作ミステリ。 文庫書き下ろし

感想・レビュー・書評

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  • 鳴海桜子がとても面白い。

    観察力がずば抜けていて、ちょっと抜けているのかと思うと、「全て計算なのか?」と思わせる桜子。今まであまり読んだことのないキャラクターが癖になる。

    音楽隊志望なのに刑事に配属される理由がよく分かる。でも誰が音楽隊への志望を握りつぶしているのか。続きを読みたくなる。

  • 初作家さん。面白かった。

    都内の小さな公園で、死体が発見され、捜査一課の音喜多弦は、玉堤署刑事、鳴海桜子と捜査を開始した。

    鳴海桜子は、絶対音感の持ち主で音楽隊志望のちょっと天然な刑事だが、見かけによらず、職質のスペリャリストと呼ばれていた。

    被害者の遺留品にクラシックコンサートのチケットがあった。
    国内でもトップレベルの演奏技術を持つといわれる東亜フィルハーモニーオーケストラ、その指揮をするのは、今や、人気絶頂の篁奏。二人は、彼の元を訪れる。

    現在と過去が、交互に書かれて、最初は、あれあれ?状態だったが、物語が進むにつれ、過去バージョンで、事件の内容が解明されてくる。

    それにしても、相貌失認とか、ディスレクシアとか、障害を持つ人間が多すぎる。

  • 過去と今とが交互に語られ
    交差と別離を繰り返す
    「連弾」そのもの

    警察音楽隊志望の鳴海桜子と
    捜査一課刑事の音喜多弦のコンビが最高

    ベートーヴェンに魅せられ
    愛されることを知らない
    男の狂気が痛々しく悲しかった

    文庫書き下ろしで
    ちょっとボリュームある作品ですが
    スピード感がありほぼ一気読みです
    今年の私の選書は図らずも
    「嘘つき」と「ベートーヴェン」が
    キーワードになっているようです

  • 2作目を予約しようとしてしまい、慌てて1作目を予約しました。

    面白かったです。
    過去と現代が徐々にリンクしてきてどんどん引き込まれました。

    一風変わった警察音楽隊希望の鳴海と組むことになった音喜多刑事。捜査会議とか挟まれるわけではなく現代は2人で事件に迫っているので、冗長的にならず良かったです。

    少し「砂の器」を思い出す、そんな作品です。

  • 佐藤青南『連弾』中公文庫。

    恐ろしく観察力が鋭く、警察の音楽隊志望という変わり種の所轄署刑事・鳴海桜子が主人公の書き下ろしミステリー。身元不明の男性の他殺事件が驚くべき過去と関連していく過程は見事であるが、少しストーリーが複雑になり過ぎた感じがする。また、楯岡絵麻ほど鳴海桜子のキャラが立っていないのが残念。

    都内の小さな公園で身元不明の男性の他殺死体が発見される。捜査一課の音喜多弦は、鳴海桜子と共に事件の捜査を開始する。男性の遺留品のクラッシクコンサートのチケットを手掛かりに関係者を訪れた2人は事件を巡る驚くべき過去と対峙することになる。

    本体価格740円
    ★★★★

  • 佐藤青南氏の作品。
    警視庁捜査一課の音喜多刑事とタッグを組むのは、警視庁音楽隊を目指す音大出身の所轄の鳴海 桜子。

    一風変わった経歴の鳴海たちが向かうのは、公園で発見された男性の遺体。
    遺留品にあったクラシックコンサートのチケットから、音楽関係者を訪れる二人。
    そこには、はるかな時を超えた愛と憎悪が隠れていた...

    表紙の『連弾』とは、そういう意味なんですね。
    悲しい過去の話に、ウルウルします。

  • 音喜多・鳴海のシリーズ1作目。
    2作目の「人格者」から読んでしまったので、なかなか意志の疎通が出来ない音喜多と鳴海に、ちょっとイライラした部分もあったが、2作目の「人格者」とは違い、公園で殺害された身元不明の男性の素性を明かしながら、並行して長崎県五島市での少年・少女の様子が描かれる。
    捜査の進み具合はサクサクっという感じではないが、別パートで描かれる弥生と亘の物語は、どこか東野圭吾の「白夜行」を思わせる内容だった。
    弥生がピアノをやっていたこと、弥生と亘を繋いだのが、昼休みの連弾であったことから、このタイトルが付けられたと思うが、2つの物語が混じり合いながら進む様子は、作品自体も「連弾」になっていて、非常に凝った構成だと思った。
    軸となる事件自体は、一人の男性のエゴであり、何でも自分の思い通りになると思っている犯人の性格は、読んでいて気分が悪かった。
    プロットが良かった分、ラストの常軌を逸した行動でまとめてしまったのが勿体なかった。
    個人的には2作目の方が面白かった。

  • 公園で発見された死体の殺人事件から始まる物語。
    時系列に物語は進み、現代とリンクした時様々な謎が明らかになる。
    少年と少女のピアノにおける様々な出来事。
    彼らが大人になり再会した時に、心に歪みが発生して。
    彼らに関する出来事があまりにショッキング過ぎて事件の事は印象に残らない程に。
    歪んだ愛憎劇といった内容。
    不幸しかない物語だったと思います。

  • 警察音楽隊採用の刑事ときたか。うーん斬新!要所要所で声楽家ならではの視点で解決に近づいて行くところが良い。ただ今回は犯人の怪物ぶりが際立ったかな。家庭環境によって怪物になる素養は出来上がっていたのかもしれないが、何気ない一言とベートーベンの魔力が作り上げてしまったように思う。次回作に期待。

  • 愛され方を知らずに育った登場人物が
    愛し方も分からずに人を愛し続ける悲劇の切なさ
    相変わらず脳内映像が鮮明に映し出させる作品
    物語の展開はわかりやすいが深さが感慨深い

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著者プロフィール

佐藤青南
一九七五年長崎県生まれ。「ある少女にまつわる殺人の告白」で第九回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、二〇一一年同作でデビュー。一六年に『白バイガール』で第二回神奈川本大賞を受賞。ドラマ化された「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ、「白バイガール」シリーズ、絶対音感刑事・鳴海桜子が活躍する『連弾』『人格者』『残奏』など、著作多数。近著に『犬を盗む』『ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻』『ストラングラー 死刑囚の逆転』がある。

「2023年 『残奏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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