三千円の使いかた (中公文庫 は 74-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122071001

感想・レビュー・書評

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  • お金も絡む家族のお話6話収録
    どの話もなるほどと思ったり、考えさせられたり
    がある内容でした
    どこの家庭にも家族にも起こりえることだし
    他人事でもないなぁと思いながら読んでいました

  • 『節約』家族小説。テレビ化される前から読みたかったが、やっと読破。成人した孫娘2人、母、祖母、三世代4人の女性に訪れる人生の節目。どうやって乗り越えていくか。基本的に節約話が盛り込まれているが、もっと三千円の使い方が書いてあっても良かったかな。

  • 「人は三千円の使い方で人生が決まるよ、と祖母は言った。」

    から始まる三世代のお金にまつわるお話。

    祖母、母、孫娘とそれぞれのお金の使い方がある。私が共感したのはやっぱり年が近い母だ。私より少し上の世代かな。夫が亭主関白であることに、ナチュラルに気付いてなくて。なんとなく存在をないがしろにしていることに気付いてなくて。相手に対して最善を尽くしていると思ってる。

     祖母はそんなことからは、とっくに卒業してて、アドバイザーとして彼女たちの話を聞いてるけど、心のうちは、年金ともう少しお金があったら楽なのになあと考えているけど、言い出せない。けど、思い切った行動に出る。

     この祖母みたいな大人になりたいなぁって思った。そして、お金にまつわる話とは、生きる話なんだな。有り余るほどあるわけじゃないお金を、何に使うかの優先順位をつけること。生きるために、何を選ぶのか?選択をしている。

     たかが三千円、されど三千円。自分なら何に使う?と考えてみる機会になった。私なら?滅多に買わないお花を買うとか、一人でそっと美味しいもの食べて、お酒飲んじゃうとかかな。

  • 読み終えて真っ先に思ったことは、三千円の使いかたについてはあまり書いてなかったなという感想でした。タイトル詐欺といえばそうかもしれません。しかし、妻が読んだあとに「秀逸なタイトルの付け方」だと言っているのを聞いて、そんな感想もあるのかと思いました。
    確かに同じような内容でも『〜の生活』とか『〜の家計簿』とかよりも、よっぽど具体的でタイトルのセンスがいい。内容が面白くてもタイトルのセンスのなさで読者を逃している作品が少なからずあることを考えると、なんだか違った意味で考えさせられる本でした。

  • 市場原理が国民生活の隅々にまで浸透すると、パートナーを見つけたり、子供を授かったりするのにもコスパを考えるようになるのだろうか。

    好きな人と結ばれたとしても、お金は尺度で比較可能だから、そんなつもりがなくても自分と他人を比べて心がザワついたりするのだなあと思った。

    思うに日本人はお金に関して不安感が強い気がする。自分が日本人に対して感じる、基本的に善良だが冷淡という性質は不安感のアンビバレントな表現なのかなと。
    お金に対する不安感は最後までぬぐえないものの、琴子の発案で翔平に「投資」するのを決めたのは、違和感よりも、こうあるべきという感心がやや勝った。

    あとは、自分も「黒船スーコさん」にお金の相談をしてみたくなった。

    併せて読みたい。
    『波のうえの魔術師』石田衣良

  • どの年代の読者でも、うむむと考えさせられるのではないか。生きていく上でこんなにもお金の事を考えねばならないのかと、ため息が出る。

  • 同じ三千円でも、人によって何にどう使うか。
    ホントに人それぞれだなあと思います。
    御厨家の人々を通じて自分自身のお金に対しての感じ方を 子供のとき、学生時代、社会人になってから、そして家庭を持ってから、子供が出来てからと思い出してました。
    その時代毎に有意義に使えてたのだろうか?
    今思えば無駄遣いが多かったかな。
    最後の美帆の彼氏翔平の奨学金返済についての話は、翔平の家庭のようなところも実際にはあるんだろうな、同じように心配したりするんだろうな と思いました。子供に関われる時間は少ないというのも確かに。
    でも、しっかりした彼氏であり、御厨家のみんなで良かったです。

    • nawomiさん
      牛乳プリンさん
      こちらこそありがとうございます
      プリンさんの本棚みて、「三千円…」のあとに「赤と青と…」が来ていて、私の本棚とちょうど同じで...
      牛乳プリンさん
      こちらこそありがとうございます
      プリンさんの本棚みて、「三千円…」のあとに「赤と青と…」が来ていて、私の本棚とちょうど同じでびっくりして、とても共感いたしました!
      また新しい本などぜひ参考にさせてくださいませ(*^^*)
      2022/04/23
  • 御厨(みくりや)家の人々にまつわるお金の話し。
    表題の〝三千円〟について、あれこれ語る価値観の話しだと思っていたのだけれど、平均的な家族の平均的な問題を取り上げたホームドラマ。

    証券会社を退職し家庭に入り子育てをそれなりに楽しんでいたはずの真帆。ある日、タワーマンションで新婚生活を始めるという玉の輿婚する友人の大きなダイヤモンドに劣等感を抱いてしまう。

    智子は子どもたちが独立し、夫婦二人になった矢先に癌が見つかり入院。無事退院はしたけれど、家事をいっさいしたことがない夫の言動に不満を抱えていたところ、友人が熟年離婚することを知る。

    73歳の琴子は貯金1,000万円が生きる心のよりどころ。
    この先、介護が必要になるのか、ならないのか。何歳まで生きるのか。そんなことを考えているうちに不安にもなる。そんな時、ふとしたことから働きたいと思うようになる。

    美帆は結婚を考えるパートナーと出会ったけれど、彼の家族の金銭感覚のズレに戸惑う。
    夢がある。だけど彼と一緒になるということは、その夢が遠くなる。正しい答えはあるのだろうか。また娘の幸せを願う家族はその時…。

    近からず遠からずなわりと平均的な家族が直面する、平均的な問題にお金を絡めてわかりやすく進む物語り。
    愛だけじゃない。情だけじゃない。お金はやっぱり大切なのです。

    今年の6冊目
    2022.2.6

  • 読む前に『知識がついて元気が出る!絶対“元”がとれちゃう』という新聞広告を見てて何だかハウツー本みたいに思っていたけど、なんだ、ちゃんとした小説じゃないか。

    就職して一人暮らしを始めた社会人2年目の美帆(24歳)が犬を飼える一戸建て目指して貯金に目覚める「三千円の使いかた」
    結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(29歳)が子育てしながらプチ稼ぎをする「目指せ、貯金一千万」
    人生の節目と、生きていく上で切っても切れないお金の話題がうまいことリンクして話が進む。
    それぞれ最後には前向きな感じで話が締まるところもいい感じ。
    その中に挿まるプチプチとした小金を貯める方法が、『固定費の見直し』だの『家計簿で計画や予定を立てる』だの、いちいち納得してしまうし、その気になればすぐ出来そうなところも良い。
    『比較的変動の少ない株主優待銘柄を時期を見定めながら』とか『ある程度確実に株価が上がるとわかっている、利益確定日の2ヶ月くらい前』とか、ちょっとその気にさせられてしまう。

    少なくない貯金はあるものの老後の資金が足りなくなることを恐れ仕事を探し始める祖母・琴子(73歳)を描く「七十歳のハローワーク」
    もはやサラリーマン生活が終わりに近づき年金生活に突入しようとしている者にとって、年金・預金額vs寿命の天秤は他人事ではない話。神様が寿命を教えてくれれば…とは確かに思うよねぇ。
    職探しにあたって『まずはなんで働きたいのか、どうして働きたいのか、ということをご自分の中で整理することが大切です』は、当たり前のようだけど正に至言(最近うちの会社でも入社してすぐに辞めちゃう人が多いもんなぁ)。

    とは言え、気楽に読んでいたのだけれど、親友が熟年離婚をすると言いだしたの母・智子(55歳)を描く「熟年離婚の経済学」になって心中の雲行きが一変。
    長年連れ添った夫に対する智子の思いが吐き出されるところに、これまでを省みて、いや、ちょっと辛くなった。
    我がことを責められているようで、だからと言って、仕事を辞めたら料理を教えてくれとかも言えない自分がいて、妻に対して本当に申し訳ないと思いながらも、、、
    今、私が読み終えたこの本を読んでいるけど、どう思っているかなぁ?
    この本みたいにちゃんと話せたらいいんだけどなぁ。

    御厨家の女性以外にフォーカスした「費用対効果」「節約家の人々」はあまり面白くない展開だったが、それでも智子に責められた美帆の父・和彦が最後に父らしいところを見せたのは良かった。

  • お金の使い方って、どう生きたいか、その人の価値観を表すなぁと思いながら読んだ。
    ライフステージによって変化していく心情も、うまく描かれていたと思う。

    御厨家の人々の、よくあるような人生を切り取って描いているけど、みんなそれぞれに誠実に生きていて最後は感動した。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2005年『リトルプリンセス2号』で、第34回「NHK創作ラジオドラマ大賞」を受賞。07年『はじまらないティータイム』で、第31回「すばる文学賞」受賞。他の著書に、『母親ウエスタン』『復讐屋成海慶介の事件簿』『ラジオ・ガガガ』『幸福レシピ』『一橋桐子(76)の犯罪日記』『ランチ酒』「三人屋」シリーズ等がある。

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