- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122071919
作品紹介・あらすじ
阿片に溺れた友人の謎、遺書が語る恋と殺人、妻への妄執が生んだ惨劇――。江戸川乱歩が「大正期文壇の一角に燃え上がった、かくの如き犯罪と怪奇への情熱」と評した幻のミステリ特集――『中央公論 秘密と開放号』(大正七年七月臨時増刊)を現代に復刻。七篇の創作と佐藤・乱歩の随筆を収録したアンソロジー。
ミステリ作家・北村薫氏が、収録作について刊行当時の作家たちの生活や『中央公論』編集長・滝田樗陰との関係に触れつつ語る解説「大正七年 滝田樗陰と作家たち」を収録。
◆目次
・一般文壇と探偵小説/江戸川乱歩
・指紋/佐藤春夫
・開化の殺人/芥川龍之介
・刑事の家/里見弴
・肉屋/中村吉蔵
・別筵/久米正雄
・Nの水死/田山花袋
・叔母さん/正宗白鳥
・「指紋」の頃/佐藤春夫
・解説 大正七年 滝田樗陰と作家たち/北村薫
感想・レビュー・書評
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明治大正に活躍した作家が書いたミステリ作品をまとめたものです。
まだ推理小説やミステリといったジャンルや作家が、現代のように確立されていない頃の作品が集まっています。
現代と違ったミステリ作品。
味わい深い文章を読むことができます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミステリアスと言えば、ミステリアス。
でも、ミステリかと言われれば…うーん。
夏目漱石の『こころ』のように
自分の罪におびえる心のうちを描く
…みたいな感じのものが多いように思いました。 -
私の学がないために、純文学の読解が出来ないので評価出来ません。
前半はほぼ読みづらさと、何となくの掴みのみで
芥川氏の作品読んだ時点で心折れた…。
諦めようかと思ったけど、後半は読み易い文体が続き、
何とか完読。
結構本読んだからそろそろ純文学行けると思ったけど甘かった…。
読み解きもだけど、読書を苦に思うことは自分的に悲しい。
読み易いものでも面白さが解らなかったり…。
もっと書物漁ってみよう、まだまだだという励みにもなりました。
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2022/04/17読了
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文章を読みやすく編集してあるので、思ったよりもスイスイ読めた。
有名な文豪の作品は、何となく読まずに来てしまったけれど、今作で興味を持った作家の作品を読んでみようと思う。
北村薫氏の解説を読み、収録作の背景などの理解が深まった。 -
乱歩の評論で、探偵小説隆盛前、一般文壇において谷崎、芥川、佐藤春夫らが探偵趣味の小説を書いていて、それに刺激を受けたということは読んだ記憶があった。
そこで取り上げられていたのが、大正7年夏に発行された、中央公論臨時増刊「秘密と開放号」。
本書は、増刊号掲載の創作8作から、谷崎の「二人の芸術家の話」を除いた7作と、ボーナスとして乱歩と佐藤春夫の関連する随筆2篇を収録したものである。
"乱歩も耽読した異色の競作が、一〇四年の時を超えて甦る!"というオビの煽りがまたすごい。
読んだことのあったのは、佐藤春夫の『指紋』だけ。芥川の『開化の殺人』さえ、タイトルしか知らなかった。それ以外は初めてのものばかり。
『指紋』は再読になるが、初読のときは映画でクローズアップされる指紋を見てその一致が分かるものかと、設定の不自然さが気になったが、阿片に惑溺する人間であればあり得るかもしれないと思わせる筆力はさすがである。
里見弴の『刑事の家』は、確かに秀作。別荘に避暑を決め込んだ主人公たちに対し、その留守番役の警察官一家。ところが、どうも米が盗まれているらしい。盗っているのは誰なのか。真相が明らかにされそうなときに、意外なラストが。
中村吉蔵『肉店』。作者は島村抱月の芸術座にも作品を提供していた戯曲家。嫉妬に狂った肉屋主人の過ちが明らかになっていくところはドラマティックなのだが、グロテスクさが際立ってしまい、作品からカタルシスを受けないのが難点か。
田山花袋『Nの水死』。花袋と言えば、『蒲団』、せいぜい『田舎教師』くらいしか読んだことがなく、こういう作品も書いていたのかという感想。秘密を抱えた主人公が、死に際して妻へ告白をする。その内容自体はかなり早くから予想できるのだが、この告白は妻に対する関係ではどうなのだろうか?
正宗白鳥『叔母さん』。主人公と叔母さんの、それぞれに対する気持ちが、分かったようで良く分からない。
解説は北村薫さん、今回もいろいろなことを教えてくれる、とても勉強になる内容満載。 -
佐藤、芥川、里見に久米。乱歩が耽読した幻のミステリ特集が、一〇四年の時を超えて甦る! 「犯罪と怪奇への情熱」に彩られた全九篇。〈解説〉北村 薫