文と本と旅と-上林曉精選随筆集 (中公文庫 か 95-1)

著者 :
制作 : 山本 善行 
  • 中央公論新社
3.23
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本棚登録 : 165
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122072282

作品紹介・あらすじ

文章、本(古本)、旅、そして酒……。生誕120年を迎えた私小説作家・上林曉が愛し、書き綴った題材を、全生涯にわたるエッセイから精選。井伏鱒二、太宰治をはじめ、阿佐ヶ谷文士たちとの交遊、禁酒生活、思い出の本など、上林随筆の魅力が詰まった珠玉の一冊。愛書家の心に染み入る随想集。文庫オリジナル。

目次より

[文]文学の二十年*/私の小説勉強/嘉村礒多の葉書/僕の文学開眼/武蔵野文章/まともな文章*/私小説十年/本気の勉強/作家の心

[本]荻窪の古本市*/ブランデン氏の記念品/大正の本/古本漁り*/本道楽*/故郷の本箱*/座右の書*/「神曲」が三冊揃う話*/全集について/なつかしき思い出の本/「薔薇盗人」について

[旅]金桁温泉と奴留湯/法隆寺の敬礼/野に出て/甲州御坂峠*/木曽馬籠*/京都の思い出*/旅行上手と旅行下手*/旅の絵葉書*/鎮西遠望*/「イタリアの旅」まえがき/四万十川の舟遊び/伊豆での正月

[酒]古木さん/我が交遊記/文壇酒友録*/阿佐ヶ谷案内*/阿佐ヶ谷会/酒わすれ*/酒解禁*/一酒徒*/二級酒*/酒のこと

[人]酒匂郁也君を憶う/署名帖/山のホテルの人々/川端康成/宇野浩二/正宗白鳥会見記/斎藤謙太郎君の思い出/梅雨――太宰治のことなど/律儀な井伏鱒二/浜本浩との因縁/追憶(堀辰雄)/高根の花/「枯木のある風景」の出来るまで

(*は五月書房版『文と本と旅と』の収録作)

感想・レビュー・書評

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  • 文と本と旅と : daily-sumus2
    https://sumus2013.exblog.jp/32744342/

    古書善行堂
    http://zenkohdo.shop-pro.jp/

    文と本と旅と -上林曉 著/山本善行 編|文庫|中央公論新社
    https://www.chuko.co.jp/bunko/2022/07/207228.html

  •  私小説作家上林曉の多数の随筆の中から、「文」、「本」、「旅」、「酒」、「人」のテーマ立ての下、編集した随筆集。

     「文」では、文学への目覚め、私小説作家としての歩みの振返り、改造社に入社して記者となり、新雑誌(文藝』の創刊に携わったこと など。
     「本」では、自ら道楽と自称する古本屋巡りの楽しさ、東京大学時代の恩師エドモンド・ブランデン氏が帰国時に蔵書を学生たちに分け与えた時にヂョン・クレアの詩集を頂いたこと など。
     「旅」では、それ程多くの旅行をしたのではないが、「大根は旅行が好きである」という著者の日本各地を訪れた紀行や、作家等から送られた絵葉書の想い出 など。
     「酒」では、飲み仲間との交流や各人の飲み方の特徴、病気のため3年間禁酒したことや復活後の飲み方の変わったこと など。
     「人」では、著者が出会い、濃淡はあれ付き合いのあった作家等、川端康成、正宗白鳥、宇野浩二などとの思い出 など。

     物事や人物の良いところを見る、著者の真っ直ぐで温かい文章は読んでいて気持ちがいい。各編とも比較的短い文章が収められているので、手軽に読めるのもありがたい。

  • 電車の中で、船の中で、旅先でゆっくり読む。なんでもない随筆集だけど、心に残る。また読みたくなる一冊。
    個人的には「高嶺の花」が好き。

  • 私小説。この作家のことを全く知らなかった。驚きだ。これを読んで、すぐさま同著者『聖ヨハネ病院』を買った。タイトルにそそられて買ったが、入口としてはとても相応しかった。この作家が書く私小説は、他と異なる。この本をとって、読書が本道に乗った。当時の文豪、川端康成、太宰治、井伏鱒二、横光利一、宇野浩二など、今でも色褪せぬネームがある作家との談話などあり。

  • 自宅周辺の古書店や古書市を楽しみ、旅をし、文士たちと酒席を囲む。淡々とした筆致で、日々の生活が綴られるのが心地よいです。他者を尊重しながらお付き合いするのがとても上手な方だったんだなと思いました。編集者出身というのが大きいのかな。

  • 上林さんご本人曰く「本来の文章道則って、相当正しい文章」は、読んでいるとスルスルっと頭の中に入ってきて、心地よく読むことができました。

  • 文章、本(古本)、旅、酒、そして人……。私小説作家上林曉が愛した題材から、全生涯にわたる名文を精選。その魅力が詰まった珠玉の一冊。文庫オリジナル。

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著者プロフィール

上林曉
一九〇二年、高知県生まれ。本名・徳廣巖城。東京帝国大学文学部英文科卒。改造社の編集者を経て、作家の道に進む。精神を病んだ妻との日々を描いた『明月記』、『聖ヨハネ病院にて』、脳溢血によって半身不随となった後に発表した『白い屋形船』(読売文学賞受賞)、『ブロンズの首』(川端康成文学賞受賞)など、長きにわたって優れた私小説を書き続けた。八〇年死去。

「2022年 『文と本と旅と 上林曉精選随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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