おまえなんかに会いたくない (中公文庫 い 124-3)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 294
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122074132

作品紹介・あらすじ

十年前、高校を卒業した元クラスメイトたちに、校庭に埋めたタイムカプセルの開封を兼ねて、同窓会開催の案内が届いた。SNSで高校生活の思い出に花を咲かす彼ら。だが、いじめが原因で転校した生徒の名前が書き込まれ……。近づく同窓会。はたして、タイムカプセルの中には何が!? モモコグミカンパニーとの対談を収録。〈解説〉一穂ミチ

感想・レビュー・書評

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  • 学校という狭い世界での暗黙のカースト制度が生々しく描かれていて、クラスで浮いていた者としては見事に心抉られるものがあった。

    そしてカーストエラーと評されていた三井ちゃんみたい子、実際にいたなあと細い目しちゃった。個人的にカースト上位にいる子よりも彼女みたいに分け隔てなく接せれる人間に憧れを抱いていたのも思い出したのと同時に、いい歳こいた大人になった今でも憧れてる部分は大いにあるなって。それに対して今の私は彼女みたいになれてるかといったら全くもってそうじゃなくて。そんでもってやはり10代の時に感じるヒエラルキーならぬカースト制度って辛い思いをしていた人間の心にはどす黒くその後に残っちゃうものなんだなって。再度痛感させられました。そんな私は岸本ちゃんに脱帽。

  • 同じ高校生なのに、カースト上位だのなんなのというようなくだらない思考、そして卒業してから10年経つにもかかわらず、その思考のままの彼らが痛々しく、そして呆れる。
    けれど、その思いは自分がさらに歳を取った今だから言えるわけで、その渦中にいた自分も確かにそんな思考はあったかもなぁ~、なんて思い出した。
    そうやって、青春時代は過ぎていくんだなぁ。

  • スクールカーストと言われる、学生間の権威主義によるいじめを描いた作品。若さゆえの無知によるルッキズムやエイジズムがしつこかった。読み出しから藤宮先生がいじめられていた張本人であることはすぐに推察されるけど、主要な生徒の数だけ視点を変えて語られることでミステリーっぽい構成になっている。なってはいるが別段ラストがスカッとするわけでもなく、長いわりにはスクールカーストを盲信する若者達の語りばっかりであんまり面白くなかった。卒業して10年経っても反省してない人たちが一堂に会するだけで突然過去の過ちを認めようとしておりその都合のよさに違和感。加害度合いの強い者ほど逃げる傾向にあるけどいじめられた本人は一生忘れない傷を負うんだよっていう当たり前のメッセージは読み取れるが、それ以上でも以下でもなく…という感じ。

  • 読み出しから岸本と藤宮が同一人物だということはわかっていた。最後に毎日自分の準備室に来ていた生徒が友達ができて、離れていく、安堵と寂しさ、いや裏切りにも似た寂しさが滲み出ていて、この誰もが抱くであろう気持ちが凄く分かる気持ちがした。
    いろんな出演者による作風は楽しかった。コロナ、SNS現代の言葉から戦争中の都市伝説まで楽しかった。(楽しいと言うのはおかしいが。)
    岸本の相手、藤宮さんがどのような人なのか。非常に興味がある。

  • 肩透かしの復讐劇。
    短い一つの言葉が、人の思念を支配したりされたりする。

  • スクールカーストという言葉を自分の学生時代には考えたことがなかった。(大昔だからかな)
    自分の子どもたちが学校に通っていることで、少し重ねて読んでしまいました。
    カースト上位のグループ、その次、おたく、同人誌、その他諸々…コロナなんかもなるほど。
    恐らく、今はこんな教室あるんだろうなと感じることができました。

    視点が変わって進んでいく感じですが、少しずつ接点があったりするのも面白かったのと、最後もドロドロせず、私の中では現実でもあり得る日常というか。

    感想としてはおかしいかも知れないですが、もう一度学生生活を過ごしてみたいとも思いました。

  • 職場で、最近の中高生は大変だという話を聞きリサーチ気分で本書を読んでみました。
    スクールカーストの話です。

    気分のいい話ではありませんが、現実的には中高生のクラス内でこういうのあるんだろうなーと。
    ただ、本書のように、何年も前に卒業しているのにいまだ当時のカーストを引っ張っているというのは??と思ってしまった。
    大学デビューとかあるし、社会人になれば世間も知るし、そんな幼い考え方をいつまでもしているものですかねえ。
    ま、イヤミスで終わらなかったあたりが、(読み物としては中途半場だったけれど)土壇場での彼らの成長、なのかもしれませんね。

    あ、あと、登場人物については誰も好きになれなかったけれど、唯一現在の磯部君には同情しました。。三井は他意がないだけにある意味罪が重いわ。

  • 長々としてるけどラストがスカッとする感じ、割といいかも。

  • 高校時代のカースト最下層の意識過剰気味な女子が同窓会で一軍に復讐する話。
    コロナと遺言墨っていう都市伝説が絡んで皆んなおかしくなっていく。結果反省する人は反省して、追い詰められて宗教にハマる人もあり。
    私の身近でイジメはなかったと思ってるけど、もし仲間外れにされたと思っている子がいたとして、ずっと同級生を恨んで生きていたら、それは時間の無駄でしかないと思う。やった方はそんなこと忘れて生きている。すぐに転校とかするのがいいのかな…
    学生のカーストは見た目でほぼ決まるけど、結局1番強いのは皆んなに分け隔てなく明るい人。明るい人には勝てん。

  • 登場人物に自分の高校時代のクラスメイトを重ねて考えた。当時もカーストが辛かったし、思い返せば自分もカーストに支配されてて、下に見ていたクラスメイトに酷い接し方をしていたと猛省した。
    自分にとっては些細なことでも相手にとっては何年も記憶に残ることもあるから、軽率な考え行動は許されないし、謝りたい気持ちでいっぱいになった。
    でもそれと同時に、今謝られても困るだろうなと思った。なので、これから先自分と関わる全ての人に誠実に向き合いたい。

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著者プロフィール

乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。

「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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