- Amazon.co.jp ・本 (562ページ)
- / ISBN・EAN: 9784124006698
感想・レビュー・書評
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▼ 編者・上山春平の趣味のおかげで、論理思想に偏った選集になっているようだが、これはこれで貴重だと思う。
▼ 解説によると、パースとデューイの論理思想が、「すくなくとも結果的には弁証法的論理を科学的ないし経験的な方法で再編成するという共通の問題にかかわっていることは否定できない」(46頁)とのこと。この人はマルクス主義的な弁証法論理への応用を期待して、パースやデューイを読んでいるようだ。
▼ ちなみに、岩崎武雄も『世界の名著 35 ヘーゲル』の解説で、デューイの考え方とヘーゲルの弁証法との親近性を指摘している(この解説は今では『カントからヘーゲルへ』に再録)。
▼ 目当てのデューイ『論理学』(1938)。当時まだ勢力があった論理実証主義者やラッセルなどによる感覚与件論を強く批判しているわけだが、これは今でも読める代物かもしれない。
▼ 「原子命題にかんする現代理論の形成にあたって、実際に生じたことは、ある特定の心理状況をとりあつかうことによって達した心理学説の結論を、まるごと論理学に移し替え、存在とかかわりをもつ原子命題にかんする理論全体の基礎としたことである。 命題という論理学理論の重要な分野の基礎として、心理学上の結論をこのように無批判にとりいれたことは、この道を進んだ論理学者たちが、論理学を心理学の問題から完全に解放する必要性をことさら力説しているにもかかわらず生じたのである。」(539頁)
▼ また、疑念から信念への到達、というのがパースの言う「探究」だったが、「信念」や「知識」といった言葉は、多義的だし、探究の終了といった含みがある。それらの代わりに「保証つき言明可能性 warranted assertibiliy」(397頁)と呼ぶ方がよい、とデューイは言う。この用語だと、ある探究の結果が、次の探究の手段になったり、将来どこかで改訂を受けるかもしれない、といった含みを汲み取ることができるのだ、と。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
世界の名著シリーズ59
パース ジェイムズ デューイ -
目次
プラグマティズムの哲学 上山春平
パース
論文集(抄訳) 上山春平,山下正男訳
Ⅰ 現代論理学の課題
第1章 探究の方法
第2章 概念を明晰にする方法
Ⅱ 記号論の哲学的基礎
第3章 直観主義の批判
第4章 人間記号論の試み
Ⅲ 歴史哲学の構想
第5章 精神の法則
第6章 進化の三様式
Ⅳ プラグマティズムの諸問題
第7章 プラグマティズムとは何か
第8章 プラグマティズムの問題点
ジェイムズ
哲学の根本問題 上山春平訳.
Ⅰ 序論
第1章 哲学とは何か
第2章 形而上学の諸問題
Ⅱ 哲学の根本問題
第3章 存在
第4章 知覚と概念(一)
第5章 知覚と概念(二)
第6章 知覚と概念(三)
第7章 一と多(一)
第8章 一と多(二)
第9章 新しさ
Ⅲ 副次的問題
第10章 連続と無限(一)
第11章 連続と無限(二)
第12章 原因と結果(一)
第13章 原因と結果(二)
補遺 信仰と信じる権利
デューイ
論理学-探究の理論(抄訳;1章~8章) 魚津郁夫訳.
Ⅰ 探究の基盤
第1章 論理学のテーマの問題
第2章 探究の現実的な基盤―生物学的な側面
第3章 探究の現実的な基盤―文化的な側面
第4章 常識と科学
第5章 論理学に必要な改革
Ⅱ 探究の構造と判断の構成
第6章 探究のパターン
第7章 判断の構成
第8章 直接的な知識―理解と推理
年譜