公共哲学 (16)

制作 : 稲垣 久和  金 泰昌 
  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130034364

作品紹介・あらすじ

宗教間対話の可能性をめぐる多様な立場からの討論の記録。果たして異なる宗教間の理解は可能なのか。キリスト教、イスラーム教、神道、仏教などを取り上げ私と公そして公共の世界における宗教の意味を探る。

感想・レビュー・書評

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  • まず、「公共」という言葉に違和感を持つ方もおられるだろう。「公」という響きは画一的な価値観を押し付ける国家権力をイメージさせるかも知れない。しかしここで論じられている公共は、いわゆる公(国家)とは似て非なるものである。それは元来、市民社会の政治学の中から出てきたもので、国家と個人の間にある「社会」の豊かさを表そうとする概念だ。しかし近年、政治学にとどまらず様々な学問領域で注目されるに至っている。
    本書は多様な(プロテスタント、カトリック、クエーカー、仏教、神道、イスラム教、そして無宗教という信仰の立場において多様な、そして神学や宗教学、哲学や政治学など専門分野において多様な)人々による共同討議の記録だが、そのこと自体が公共を体現している。そこで提起された公共とはすなわち、多様性を積極的に評価しつつ、他者と対話することで自他共に変えられ、互いに高め合うことを目指すものなのだ。本書は各発題とそれを踏まえた討議も収録されており、参加者の息づかい溢れるその現場に読者を誘ってくれる。
    なお本書は多様なテーマで論じられている公共哲学シリーズの1冊であり、キリスト者が公共哲学の世界に分け入るよすがとなるだろう。

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