歴史の「常識」をよむ

制作 : 歴史科学協議会 
  • 東京大学出版会
3.38
  • (2)
  • (2)
  • (8)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 89
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130230667

作品紹介・あらすじ

日々新しい成果が提示される歴史学.近年,一般に知られている歴史像とは異なる新しい知見も数多く示されている.日本列島の原始・古代から現代までの歴史をめぐり,いま知っておくべき新たな研究成果を紹介する.歴史の「常識」とされている事象を,歴史学研究の側から再点検し,学問の最先端としての最新の日本列島の歴史を提示する.

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • (関連)歴史をよむ 県立

  • 辛かった~~・時代区分論1(日本の封建制成立は?)・時代区分論2(いつから近代・いつから現代)・Ⅰ伝統的農村風景を疑う(桃太郎に出てくる柴狩りは元は草刈で刈った草を肥料にしていたのであり,山は丸裸になり木材輸出のために杉を植林したのであって,日本が昔から自然と共存していたというのは幻想)・旧石器時代を考える(捏造でめちゃめちゃ,でも落とし穴の化石があるんだよ)・農耕文化の複合体(農耕の最初は弥生時代じゃなくて縄文早期の麻・ エゴマ)・聖徳太子という虚像(中大兄は蘇我王権の改革の最終段階で等の高句麗攻撃から始まる東アジアの激動に乗じて権力を奪い,藤原不比等に実権はあったが,幼帝と女帝では創作された)・遣唐使の政治性(遣唐使の派遣目的は文化交流だけではなかった)・大化の改新の意義(律令制国家成立と別の文脈で考える)・律令制をアジアの中で考える・道鏡が目指したもの(実証が難しい権力欲)・性差を超えた女帝論(六人八代で繋ぎの意味)・悪女(ぼさぼさ伸び放題の髪・赤ら顔・才槌頭・目立つ喉仏・麦歯・雄々しい声・高い鼻・濁って明瞭でない目・口やあごの細い毛・筋くれだった骨・黄ばんだ髪・肉付きの悪い体・太く強い陰毛・逆さに生えた多量の陰毛・このような女性と性交すると男は皆身体をこわしてしまう)・Ⅱ開発領主の出自(まあそういう人もいただろうけど,一族で開発したのだ)・武士の実像(中世武士像は多様である)・寄進地系荘園論(荘園と武士を関連づけなくても良い)・平家の政権・源平合戦観の克服(結果として源頼朝が勝ち残った)・偽文書・肖像画(神護寺に残された足利義満像や源頼朝像は多分別人物だが,神護寺再興を有利に進めるためだったが,らしさという厚いマントを纏っている)・都市鎌倉(中世武家都市の典型例)・元寇の神風・中世の貨幣(市場の自立的力が貨幣を維持した)・木綿(古代中世では麻・苧麻が利用され,火縄にするために木綿が栽培されたのは戦国期)・戦国仏教(鎌倉仏教から顕密仏教へ)・ 戦国百姓たちの戦場(戦国の戦争には季節があり農閑期の仕事で落ち武者狩りも当然)・アイヌ文化(アイヌ語族の歴史から考える)・琉球王国(琉球は東アジアにおいていかなる位置にあったか)・Ⅲ織田信長とキリシタン(保護政策は存在しない)・李舜臣と亀船・江戸幕府と藩(将軍への結集と共存する大名の自立)・近世の名君像(仁政)・近世の領主と領民・天草四郎(抵抗のシンボルは大量の犠牲者も生んだ)・近世の身分(身上がりは憧憬)・近世百姓の日常生活(慶安触書は百姓身持之覚書が1830年に岩村藩で配布され,慶安二年二月二十六日と版木に刻まれた)・村の鉄砲(江戸時代の村に武器があった)・出版文化・江戸文化の浮世絵(菱川師宣が挿絵を独立させ絵暦から錦絵に発展,美人画はいうなれば週刊誌のグラビアだった)・村の紛争解決(吟味筋と出入筋・内済と済口証文)・近世の民衆運動(百姓一揆1430件の内,武器携帯使用の記録があるのは14件で19世紀に集中)・江戸幕府の宗教統制(一家の中でも宗旨が異なるなど宗教活動は多様)・Ⅳ産業革命(通商条約でも外国人の国内通商を認めなかったから)・日清戦争(中枢は国際法を守らせようとしたが実際には帝国主義下の戦争)・中国人留学生(日本料理が口に合わなくて)・韓国の「親日派」(いまだに行き辛い)・東京の生い立ち(三重行政を解消しようとして今の形になったのだから,二重行政解消のためでなく,大阪や名古屋の主張は通らない)・近代の女性・近代日本の米食(都市では白米オンリー・地方では麦飯)・近代日本の貿易(総合商社史研究の到達点…三菱商事はどうやって三井物産の牙城に食い込んだか!)・戦時下の民衆生活(なぜ戦争に協力したのか・社会的格差が縮まったからかも)・十五年戦争時の中国共産党(日本と闘ったのは国共合作の時だけ)・エネルギー革命(公害問題と品質管理の限界が来ていた)~所詮私に歴史は理解できない…特に国史。日本史の授業・講義のつかみに使ってね!っていうことらしい

  • 「聖徳太子という虚像」「大化改新の意義」「「寄進地系荘園」論」「元寇の神風」「天草四郎」…
    「常識」とよばれているものが現在の研究でどのようになっているかを語る一書である。

    高い専門性に裏打ちされた新たな研究動向を手軽に知れる、というのは非常にありがたい。ただ「どうしてその項目なのか」の必然性が述べられていないのが気になる。まあ、執筆者が先に決まっている部分が大いにあるのだろうけど…。

    しかしそれ以上に気になるのは、近代のところ。「なぜその項目なのか」以上に、維新期の記述が全然ない。項目数も少ない。この点、非常に消化不良という感じがする。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:210.04//R25

  • 「社会通念化している歴史の常識を検討することによって、歴史研究の現状と課題を自己点検しようとする試み」(本書のねらいより)
    1項目4~6P(1P2段)構成なので読みたいところから読める。全時代にわたって何かしら項がある。

  • <目次>
    第1章  原始・古代
    第2章  中世
    第3章  近世
    第4章  近現代

    <内容>
    いわゆる歴史の「常識」(教科書に書いてあることと考えていいか)は、現在の学会ではどのように論じられているかを最新の研究を元に分担して書いたもの。なかなか刺激的である。
    古代なら、”大化改新”や”律令制”、中世なら”荘園制度””武士”、近世なら”農民の生活”…。詠みやすいわけではないが、授業を組み立てるのに参考になりそうだ。

  • 20150426朝日新聞、広告

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1967年4月、全国各地の自主的な歴史諸団体が結集して結成された協議団体(2008年に一般財団法人格を取得)。加盟組織は現在11団体。会誌『歴史評論』を年12回発行し、市民向けの講座やシンポジウムを開催するなど、歴史を学ぶすべての人に開かれた学会として活動している。

「2019年 『歴史科学の思想と運動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×