国家の哲学: 政治的責務から地球共和国へ

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  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130311892

作品紹介・あらすじ

個人は国家に対して義務を負うか? 負うとすればその根拠は何か?——ソクラテス以来の根本命題への対峙にはじまり,世界秩序構想へ辿り着く思想の成長物語.アリストテレス,ホッブズ,カント,ロールズ,サンデルなど,古今の思想の渉猟を通して国家の存在意義を解明する.【推薦文(井上達夫先生)】「 本書は,国家の存在理由および政治的責務・遵法義務の根拠と限界という,法哲学・政治哲学の根本問題と真正面から向き合い,これを原理的かつ徹底的に解明しようとする野心的な力作である.現代の理論家の議論と,ホッブズ,ロック,ルソー,カントを中心とする古典的思想家の議論を,それらの理論的位置が明確になるよう体系的に整理した上で,包括的に検討し,カントを継承発展する法的状態実現義務論を擁護している.さらにこの立場が世界統治構造の問題についてもつ含意として,地球共和国の理念も末尾で試論的に提示している.本書の結論に賛同しない者,本書によって批判されている者(例えば,この推薦者)も含めて,本書の多面的で豊富な議論から多くを学ぶことができる.また文章はきわめて平易明晰で,専門的研究者だけでなく初学者にも開かれた書物である. 惜しくも数年前に没した法哲学界の巨星ロナルド・ドゥオーキンは,メタ倫理学や概念分析に回帰し瑣末化する近年の一部の理論傾向を憂えて,「法哲学は面白くなければいけない(Legal philosophy should be interesting)」と言った.本書はまさに「面白い法哲学」の見事な一例である.多くの人々が本書を読んで,法と政治の問題について哲学することの快楽を味わい,その必要性を理解することを望む.」

感想・レビュー・書評

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  • いただきもの。分厚い(字も小さい)が、国家とは何か、なぜ国家に従うべきなのかについてのおもしろいテーマが論じられている。割当責任論のようなグローバルジャスティスの議論もあり。救助主義のあたりを中心によく読もう。

  • 国民は政治的責務(国家の政治制度を支持し遵守する責務)、遵法義務を負うべきかについて、カント、ホッブスをはじめとする様々な哲学家の思想を参照して検討している。自分にはやや難解ではあったが、法の支配の下、遵法義務を当然視していた、「悪法もまた法なり」が、法哲学にとってはそうではないことが分かり、興味深かった。

  • 東2法経図・開架 321.1A/Ta72k//K

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著者プロフィール

東京大学教授

「2023年 『リーガル・ラディカリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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