経営人材育成論: 新規事業創出からミドルマネジャーはいかに学ぶか

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  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130403016

作品紹介・あらすじ

経営人材の育成は最重要経営課題である.ミドルマネジャーが新規事業創出経験によってそれまでの思考様式・行動様式を学習棄却し,新たなパースペクティヴ「他者本位志向」「リーダーマインドの獲得」「経営者視点」を獲得しながら経営人材へと育つ実態を実証研究から明らかにする.

感想・レビュー・書評

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  • 【非連続な組織変革】
    1.ゆさぶり
     1)将来の中核技術・市場分野への無理とすら思えるような資源豆乳
     2)大幅な機構改革による人的資源の傾斜的な再配分
     3)経営トップによる現状否定・経営トップの交代
     4)極めて挑戦的な全社目標・部門目標の設定
    2.ミドルによる突出
    3.変革の連鎖反応
    4.新しいパラダイムの確立

  • ミドルマネージャーの育成論。
    研究。学術的。
    経営人材を得るのに新規事業を例に学習プロセスを整理している。
    実際に新規事業から人の成長に経営視点が入るだろうと直感的に思うことを
    仮説を立てていく様が読み解ける。が、かたい。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50265462

  • ■経営人材の育成に資する職務経験の特徴
    ①小さくてもよいので、一国一城の主を経験させること
    ②修羅場を経験させること
    ③事業、機能、地域等、様々な軸で異なる経験を積ませること
    ④保守本流よりも傍流・外部を経験させて外から客観的に自社を見る視点を養うこと

    ■新規事業創出が経営人材の育成に資する有用な経験であると考えられる理由
     新規事業の「不安定性」「スピード感の早さ」「組織の未成熟さ」

    ■事業化段階におけるミドルマネジャーの役割
    ①新規事業に向けられる利害関係者からの批判や反対に対して防波堤の役割を果たすこと
    ②新規事業部門のメンバーや外部支持者の支援を継続して得られるように、関係者に対して重要な情報を積極的に開示し、新規事業に対する当事者意識を醸成させる努力を継続すること
    ③新規事業の推進において障害となり得る組織内の規則や慣習の変更を図ったり、経営トップの干渉に対して「干渉フィルター」としての役割を果たすこと
    ④新規事業の進捗と成果を定期的に外部に情報提供すること

    ■事業創造経験者に共通する思考特性
    「良き世界への信念」「経験に裏打ちされた自負」「強烈なゴール志向」「高速前進志向」「粘り強さ」

    ■新規事業創出経験を通じたミドルマネジャーの学習に関する概念・カテゴリー
    ・他責思考期
    1.他責思考の強化
     ①他責思考の強化/責任の所在を他社に向けた思考・態度を強めること
    ・現実受容期
    2.働く理由の探索
     ①働く目的の振り返り/一個人として働く目的や動機を改めて問い直すこと
     ②新規事業を担う個人的な理由の再認識/新規事業に関わる自分なりの理由を改めて問い直すこと
    3.事業価値の探索
     ①事業価値の探索/顧客にとっての体験価値を前提に、新規事業の存在意義を問い直すこと
    4.鳥瞰的視点での現状認識
     ①他者からの支援に対する自覚/上司や家族など自分を支えてくれている他社の存在を自覚すること
     ②不条理な現実に対する客観的な
    ・反省的思考期         
    5.自責思考の獲得
     ①失敗原因の自分事化/他社からの助言をきっかけに、不条理な現実を自分の問題として捉えること
     ②能力不足に対する自己認知/新規事業創出に関する自分自身の知識・スキルの不足を認めること  6.自分本位志向の反省的思考
     ①独善的なマネジメントに対する反省的思考/独りよがりなマネジメント行動を批判的に省みること
     ②既存事業への高圧的態度に対する反省的思考/既存事業に対するトップダウン的な言動を批判的に省みること
     ③経営陣・上司への自分勝手な提案に対する反省的思考/経営陣・上司に対する身勝手な提案活動を批判的に省みること
    7.フォロワーマインドの反省的思考
     ①信念の欠如に対する反省的思考/強い動機や意志がないことを批判的に省みること
     ②受動的なマインドセットの反省的思考/与えられた課題を解決することに終始するマインドセットを批判的に省みること
    ・視座変容期
    8.他者本位志向の獲得
     ①スティクホルダーを巻き込む実践知の獲得/共通善を訴求してステイクホルダーの理解と協力を得る方策を理解すること
     ②組織力学を動かす実践知の獲得/会社を動かす上での暗黙的な力学を知り、キーマンとの関係性を強めること
     ③既存事業に対する肯定的な見方の獲得/これまで当然視していた既存事業の社会的な意義を再認識すること
     ④メンバーの自主性を引き出すマネジメント観の獲得/メンバーの強みを引き出すマネジメントの重要性を認識すること
    9.リーダーマインドの獲得
     ①志を軸にしたリーダー観の獲得/個人的な思いを起点に新規事業をリードすることの重要性を認識すること
     ②失敗を恐れないマインドセットの獲得/失敗を当たり前のものとするマインドセットを持つこと
     ③腹を括る態度の獲得/様々な葛藤を乗り越え、新規事業に全力を注ぐ態度になること
    10.経営者視点の獲得
     ①経営者視点の獲得/管理職の視点から、経営職の視点へと視座が変化すること


    ■ミドルマネジャーの学習を促す新規事業創出経験のカテゴリー・概念・定義
    1.既存事業部門とのコンフリクト
    (1)既存事業部門とのミスコミュニケーション
      既存事業部門の組織力学を理解できず、必要な支援を得られない経験
    (2)既存事業部門からの批判
      既存事業部門から新規事業に対して懐疑的・否定的な意見を受ける経験
    2.経営陣・上司から受ける理不尽なマネジメント
    (1)経営陣の反対
      経営陣から新規事業の可能性に対して容赦ない指摘を受ける経験
    (2)上司による場当たり的なマネジメント
      上司の決裁基準や評価基準が不明瞭で、一貫性に欠けたマネジメントを受ける経験
    (3)上司による必勝前提のマネジメント
      新規事業の特性を無視した管理型マネジメントを受ける経験
    3.戦力不足なチーム のマネジメント
    (1)戦力人材を確保できない状況下でのマネジメント
      人事上の制約から、即戦力となる人材を確保できない経験
    (2)後手に回る部下の育成
      プレイヤーとしての業務に追われ、部下の育成に対する優先順位が下がる経験
    (3)モチベーションの低い部下のマネジメント
      新規事業に積極的ではない部下をマネジメントする経験
    4.プレイヤーとしての挫折失敗
    (1)新規事業プランを生み出せないジレンマ
      新規事業のアイデアをゼロから生み出す難しさに直面した経験
    (2)過去の成功体験に基づく思考体系の適用と失敗
      既存事業の思考体系を新規事業でそのまま活用しようとして失敗する経験
    (3)新規事業部門の解散または解散の危機
      所属していた新規事業部門が解散するまたは解散の危機に直面する経験

  • https://cool.obirin.ac.jp/opac/volume/877770

    千駄ヶ谷にもあります

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著者プロフィール

立命館大学教授

「2024年 『〈学知史〉から近現代を問い直す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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