学歴と格差・不平等: 成熟する日本型学歴社会

著者 :
  • 東京大学出版会
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130501668

作品紹介・あらすじ

格差社会の語られざる本質。高学歴化の終焉、大卒層の閉鎖的再生産など、新たな「学歴社会日本」の姿をとらえる。

感想・レビュー・書評

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  • 社会

  • 2006年刊行。著者は大阪大学大学院人間科学研究科助教授。苅谷東京大学教授の論考と被るが、本書も、計量社会学の観点から学歴格差の固定、収入格差の固定を論じる。丁寧な説明は良。個人的には好きな書である。

  • この手の本はどうしても苅谷さんの本がとにかく有名だが、吉川さんのこの本も良書だった。あわせて読まれたい。

  • Education and Social Inequality:
    Contemporary Educational Credentialism in Japan ―
    http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-050166-8.html

  • 日本は確かに学歴社会だが、諸外国ほどではない? 福沢諭吉の「学問のすすめ」の「天は人の上に人を・・・」が民主主その後に続く「学問を勤めて物事を良く知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり」ということば!現在の学歴社会を象徴する私学トップの慶応義塾の創始者であり、1000円札の顔である人物が勝ち組・負け組の思想、拝金主義、学歴ブランド主義を助長するような言葉を残しているというのは、現代の格差社会を容認している故であると思わざるを得ませんでした。しかし、日本は身分・階級が重んじられることはなく、学歴がそれに代わるものになっているというのは確かにその通りだと思います。
    現代は総中流意識が崩れ、2極分化が進んでいると言われますが、「高学歴化」の傾向が初めてストップした、つまり高原化した時代として、流れが変わったことによるということもこの本を読んでいると肯けるように思いました。つまり坂の上の雲を見る時代が終わったということなのでしょう。

  • 久しぶりに、専門外の専門書読んでみました。
    「ニート」や「格差社会」でベストセラーの先生方とはちょっと違った視点で興味深かった。

  • 12月?
    学歴と格差・不平等という言葉につられて購入。筆者も述べていることであるが、下流社会を論じる際に、学歴分布や学歴の不平等に関して従来目配りがされていなかった。その中で、筆者の主張として新しい格差・不平等の背景には、成熟学歴社会の進展という変化があることが透視できるという。では、成熟学歴社会とはなんなのか、それの特徴を挙げると、?同一教育システムの長期間継続を基にしている?高学歴化の終焉と高原期の継続、これらにより?大卒・非大卒の境界線の重大性を生み出している。すなわち、高校進学率がほぼ1全入に近い中で、学歴に関する格差、不平等の争点は大学進学の機会一点に絞られてくる。また学歴水準の高原期が続くことにより、?学歴経験の世代間の同質性をもたらす。これにより、親世代の学歴は、子ども世代のスタートラインになりうるという認識が成り立つ。そこで、?学歴の世代間関係の不平等が論点となってくる。そこで考慮すべきなのが?学歴下降回避のメカニズムである。人々は、学歴の世代関係が下降しないことを選考するという合理選択理論の流れを汲む考え方である。
    こういった条件があるという。
    なにより、成熟学歴社会という概念を導入し、格差を考えるという手法は目新しかったが、統計的データに基づきしっかりとした仮説に基づき検証を行っており論の展開には、説得力があった。

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著者プロフィール

大阪大学大学院人間科学研究科教授

「2021年 『少子高齢社会の階層構造2 人生中期の階層構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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