アメリカズカップのテクノロジー

著者 :
  • 東京大学出版会
3.50
  • (0)
  • (2)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 14
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130638029

作品紹介・あらすじ

148年間にわたる伝統ある“アメリカズカップ(AC杯)”に1992年,初めて日本が参加し,そして2000年の第30回ニュージーランド大会では日本艇のすばらしい活躍に参加国が注目するまでになった.ニッポンチャレンジの戦闘機のような「阿修羅」「韋駄天」は最速のボートだった.科学と情報工学で武装した若い技術開発チームは,ほとんどアメリカズカップに手をかけていたのだった.本書は技術全般を統括した著者による艇完成までの苦労話から,先端技術を駆使した各国の技術競争の現状や勝つためのレース運営上マネジメントの大切さ,レース戦略など,AC杯にまつわる興味深い話題を綴る.

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 世界で最高に豪奢で無駄で精緻なヨットレース、「アメリカズ・カップ」!参加各国がシンジケートを組んで資金と技術を湯水のごとくつぎ込み、しかも得られるものは、優美ではあるがただの銀のカップ(予選のスポンサー、ルイ・ヴィトンのケース付き)と名誉のみ…というこの世界最大の酔狂なヨットレースに、日本が参加していた時期があります(家人が「いよいよ日本がエントリーする!」と熱狂していて私にもそれが伝染した)。その艇設計に関わった研究者のかたの記録本です。理系の研究者さんの手になる本だけあって、テクノロジーの部分はもちろんのこと、開発以外のチームマネジメントなども端正に書かれています。レースのルールがきちんと分かった本はこれが初めて(笑)。いっぽうで、才能を各界から結集して機会を与え、伸ばしていくようなチーム作りには日本の教育や企業は向いていない、ともチクリ(結局、優秀な大学院生を何人も休学させてつぎ込まざるを得ない、など)。開発側のかたなので、敗因などに「艇が悪いのではなく…」のような書き方もないわけではないのですが、それはF1やオートバイなど、他のスポーツにだってよくあることなので許して(筆致の誠実さがそうさせるように思います)読みました。結局、日本はバブル後の不景気がたたって撤退してしまいます…お金の問題が第一ですが、ヨーロッパのお遊びの根本にある、豪奢なおバカ全開っぷりが日本人には合わなかったのかもしれません。人としてのいい悪いは別にして、私はこういうエレガントな無駄は結構好きなので、少し残念です。控えめながら造本もきちんとしており、好感の持てる端正な本です。しかも、手になじむ絶妙な厚さ!ここまで設計ずみ?ってことはないのですが…。それに、中古で譲ってくださったかたから「大事にしていただければ」とのメモが添えられていたので、微妙にお気に入りです(笑)。大事にしちゃいますわよ♪

全1件中 1 - 1件を表示

宮田秀明の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×