言語学バーリ・トゥード: Round 1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか

著者 :
  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130841016

感想・レビュー・書評

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  • バーリ・トゥードって何?
    と思ったら、プロレス用語だそうで。
    著者がプロレス好きだから。

    副題になっている
    AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか
    …に興味を持ったので読んでみた。
    ざっくり、おもしろかった。
    ものすごい量の情報を学習させたら
    いつかは理解できるのかもね。
    人間の脳の働きってすごいなぁ〜。

    あと、私も間違っていた
    『恋人は/がサンタクロース』問題!
    確かに一字違いで大違いだ。

  • 書店でなんとなく表紙が目に留まり購入。そんな感じで紙の本を買うのも最近では珍しい。
    言語学者が身近なテーマを言語学っぽく面白く説明してくれる。素人にも非常に興味が湧いた。言語学に次いでプロレスの話が多いのでプロレス好きならもっと楽しめたと思う。
    「一般化しすぎる私たち」、「あたらしい娯楽を考える」、「草が生えた瞬間」が特に印象深い。本筋から逸れるが、若い言葉や最近の流行りにも詳しいのは流石言語学者だなあと思った。

  • 『自動人形の城』の読みやすさと面白さでファンになった、川添愛の「UP(東大出版のPR誌)」連載をまとめた書籍。
    専門の言語学を切り口とするものの、取り上げているテーマは、身近にある言葉の使われ方の変遷やそこで見つけた「ちょっと変な使われ方」であったり、筆者の趣味であるプロレスネタであったり、「UP」で連載している別の先生とのかかわりであったりと様々。
    筆者自身が度々(ときには「言い訳」という態を取りながら)言及しているように、言語学という学問を大上段に振り上げて種々のテーマについて学術的な主張をしている本では全くなく、むしろエッセイとして楽しむことが出来る本だと思います。

    「言語学」がどのような学問なのかということが見えてくる、ということはないものの、「なんとなく、面白そうなことを考えている/やっている人がいるみたいだぞ」と思わせてくれる、いわば言語学という未知の学問分野に対してポジティブな印象をもたせることができる本、と言えるかもしれません。

    現在も連載は続いているようですし、なによりタイトルに「Round 1」とありますから、続巻の発売をいまから心待ちにしたいと思います。

  • 久しぶりに真面目なふざけた本で面白かった!「『こんばんは事件』の謎に迫る」「AIは『絶対に押すなよ』を理解できるか」「恋人{は/が}サンタクロース?」など、まず問いの立て方自体、秀逸。そしてその考察も真面目だけど、ふざけてる。最高!

  • タイトルのインパクトに惹かれて手に取ったところ、とっても面白かった!言語学は全くの専門外だけれども、こういった奥深い世界があるんだなと楽しめました。広報誌に寄せたコラムということで、ひとつひとつも読みやすい長さでした。

    世の中にあふれることばの「なぜ?」や「しくみ」を面白おかしく(著者の謎で愉快なハイテンションギャグとともに)読みていく本です。プロレス愛も凄まじい(ちょっとだけ知っているのでクスクス笑わせていただきました)

    AIについての言及はほんの一部で、本書の主題ではありませんが、「意図と意味」の違いや「意図を推測するということは相当複雑なプロセスがある」という話は本全体を通して共通するテーマだなと。

    個人的なお気に入りの章は「新しい娯楽を考える」で、巷に溢れるコピー(キャッチコピー)を真面目に見ていく会です。マンションポエムが好きな私には良いお酒のつまみでした。w

  • なぜユーミンのあの名曲は「恋人はサンタクロース」ではなく「恋人がサンタクロース」なのか? をはじめとして,身の回りの「ちょっと気になった日本語にまつわる小ネタ」に関するエッセイ.面白かった.
    13章「ドラゴンという名の現象(フェノメノン)」は,なぜ藤波辰巳だけがその技,行為全てに自分のニックネーム(ドラゴン)が付けられているのか?についてのエッセイで,作者なりに考えた理由を考察している.作者より少し年上の自分にとっては簡単な問題で「ドラゴンが最も輝いていたその姿を実況していたのが,希代の言葉の魔術師,古舘伊知郎だったから」というのが,その答えである.藤波が何かするたびに,古館が「おーっと,これはまさにドラゴン〜〜」と勝手に名付けていたので,以後,とにかく藤波がやることなすこと全て「ドラゴン〜〜」と呼ぶ,というルールができたのではなかろうか.

  • 読売新聞「本よみうり堂」[空想書店]の広瀬友紀さんの紹介本。言語沼を読み終えたばかりだったので、言語学つながりで読んでみた。

    面白かった。読みやすい文章、内容で一気読み。
    読後残っているのはプロレス情報のほうが多い気が。

    カレー沢薫に似た文章だな、と思っていたら文中に名前が出てきて驚いた。
    好きなことを熱く語る感じは、三浦しをんっぽい感じも。

    カギカッコの多用と三点リーダについては、自分は当てはまりまくり。文中の
    「句の構造や書き手の意図を明確にする手段は他にもあるので、カギカッコばかり使うのは安易」
    「「感性の豊かさでマウンティングしてくる人の文章にカギ括弧が多用される」という手厳しい意見」
    がビシビシ心に刺さった。
    相手からそう思われていた(かもしれない)ことに愕然。

    言語学に、ますます興味を持った。

    ---
    ・自己卑下発言は、今の自分のあり方が「私の考える標準レベルより低い」ことを表明するものだ。この中には少なからず、「私は安易に何かを良いと思ったりしない人間だ。私が想定している標準は、そこら辺の奴らが考える標準とはレヴェェェェルが違うのだ」という「理想の高さ自慢」、さらには「私は自分自身に対しても、客観的で容赦のない評価ができる」という「客観性を失わないワタシ自慢」が含まれていたりするので注意が必要だ。p.90
    →なるほど確かに…。卑下しがちな自身の言動を振り返ってみると、だいぶこっ恥ずかしい。

    ・たとえ知識があったとしても、うまく使えるかどうかはまったく別の話だ。p.111

    ・語順の面で外角低めギリギリを狙うコピーp.134
    →こういう表現好き。

    ・なんというか、懐石料理の締めくくりにビッグマックが出るかのような、盆踊りの会場にサンバチームがなだれ込むかのような、恐山のイタコにジミ・ヘンドリックスの霊を呼び出してもらうかのようなタガの外れ具合だ。p.143
    →盆踊りのシチュを想像して笑ってしまった。

    ・「ミュージシャンとしてうまくやっていくにはどうすればいいのか」と質問したら「体に気をつけてー、仲間と仲良くー」とこれまた南部弁で答えてくれたという。p.145

    ・こんなふうに、スマホもねえ、ネットもねえ、毎日ダイヤルぐ~るぐるの時代における文字のコミュニケーションと言えば、主に「手書きの手紙」だろう。p.199

    ・それを聞いたときは、試合開始直後に顔面に飛びヒザを喰らったような思いがしたがp.208
    →わかりやすい表現。

  • 理論言語学と自然言語処理の研究に従事された後、フリーのライターとして活躍されている川添愛さん。彼女が東京大学出版会のPR誌「up」に寄稿した記事をまとめたもの。新井紀子さんのツイートで著者の存在を知り、本書を読んだらハマってしまいました。この本は、理論言語学に関する話題を面白く楽しく読むことができます。著者は、プロレス観戦が趣味とのことで、プロレスネタが多く取り上げられています。
    もしAIの自然言語処理に関する内容を期待していると、少し期待外れかもしれません(一部のみ)

  • 月報(東京大学出版会)に掲載されているエッセイをまとめた本。テーマはとっつきやすいライトなもので文章もギャグ要素盛り込んだタッチで非常に読み進めやすく興味を焚きたてる仕上がり。
    プロレス要素多めで理解に及ばない点多々あるがそこはニュアンスだけ汲み取って面白い。

    普段気になることを言語学の視点でその思考の導入まで手を引いて導いてくれるし、言語学の魅力を感じた。しかし、言語学者がオラオラ系だとは想像してなかった。

    意味論における「前提」を使った問いに対する危うさは、目から鱗でした。どうも押しが強い人の発言て否定しずらいなって思うことがあるけど、この戦法を使わている気がする。そうゆうときは、Yes,Noで答えたら前提は認めたことになるし、前提から否定をする必要があるのだろうけど、そんな反射神経ないな。二回目のデートの約束例も秀逸。「いつ今度会おうか?」というには、会うことを前提としているのだな。感覚的にはうすうす気づいていたけど言葉で解説できているとは、言語学恐ろしや。

    日常的なおやっと気になることの原因究明に真摯に取り組むのが言語学の姿勢かと。そこを曖昧にできない曲者が学問の道に進むのだろうなーと、尊敬ですね。

  • 脱線するとプロレスや音楽など果てしなくそれていくが、締めるところは締める内容で面白かった。
    プロレス等のエピソードから「なぜそれが面白いのか」を言語学の観点から詳しく説明してくれる。

    学者の横の繋がりも結構あるのだなあと思う。ライバルとか蹴落とすべき敵とかいう感じはない。

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著者プロフィール

川添 愛(かわぞえ・あい):1973年生まれ。九州大学文学部卒業、同大大学院にて博士号(文学)取得。2008年、津田塾大学女性研究者支援センター特任准教授、12年から16年まで国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授。専門は言語学、自然言語処理。現在は大学に所属せずに、言語学者、作家として活躍する。 実績 著書に『白と黒のとびら』『自動人形の城』『言語学バーリ・トゥード』(東京大学出版会)、『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』朝日出版社、『コンピュータ、どうやってつくったんですか?』(東京書籍)『ふだん使いの言語学』(新潮選書)など。

「2023年 『世にもあいまいなことばの秘密』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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