中国の思想 新版: 伝統と現代 (NHKブックス 851)

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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140018514

作品紹介・あらすじ

徹底した思索と実証、入門書の決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 『易経』や老荘思想、陶淵明から、魯迅や郭沫若、毛沢東にいたるまで、二千年以上にわたる中国の文化を特徴づけているものはいったいなにかという問題にとりくんでいる本です。

    「〈中国の思想〉における大きな特色は、〈実在〉の重視にある」と語る著者は、同時に「実在」尊重の反動としての「超越」が、主として老荘思想などを求める中国の人びとの心性の根底にあると考えます。そのうえで、これら二つのテーマを中心に、中国のさまざまな文化の特徴を抽出し、「実在」にそくしつつ「実在」を越えようとする思想の諸相を明らかにしています。

    全体を通して、「中国の思想」の中心概念を明瞭に指し示すにはいたっていないように感じましたが、そのさまざまな側面に触れることができたという意味では、興味深く感じました。

  •  『論語』や『老子』といった個別の書を解説するのではなく、「知識人の思想」、「隠遁の思想」、「循環の思想」、「天の思想」、「革命の思想」といったテーマ別の、時間をまたいだ切り口で中国人の物の見方、考え方を考察している。「革命の思想」はともかくとして、その他の思想についての考察を読んでいると今の中国からは感じられない、ある種の純朴さや懐かしさを抱かせるような印象を受けた。それもそのはずで元となった原稿は文化大革命より前に書き終わっており、そして文化大革命後に「革命」の章が追加されたという。「革命の思想」のピリピリとした緊張感から文化大革命が中国の思想、歴史に与えた影響の大きさが計り知れないものということ、そして革命という断絶によって生じた歪みがどのようなものであるかが伝わってくる。

  • 中国の個々の思想家の解説ではなく、中国思想史には大きな2つの流れがあることを説いている。その2つの流れとは、「功業」を認める思想と、それをながめおろすようにして距離を置こうとする「隠逸」の思想、である。それらは単に知識人の間だけでなく民衆の間にも形をかえて広がった。特に隠逸の思想は、近代において中国民衆の忍耐・無関心・狡猾さとして表れ、魯迅に激しく批判された。中国の思想的な傾向・雰囲気を、古今の人物の言葉を引用しながらわかりやすく伝えようとする本書は、中国思想史をこれから学ぼうとする者にとって最適の入門書になると思う。

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    02/16

    ・コンピューターと易

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