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- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140019375
作品紹介・あらすじ
刑事事件で被疑者や証人から取られる供述調書。そこには時として、無実の人の虚偽自白や証人の記憶の錯誤など様々な「うそ」が忍び込み、冤罪事件を生みだしていく。これら「自分に不利なうそ」「無意識のうそ」をなぜ見抜けないのか?狭山事件、袴田事件、戦後最大の毒殺事件といわれる帝銀事件などの、供述調書の真偽を鑑定してきた心理学者が、調書上の「うその物語」が本当らしく見える理由を探りながら、従来の心理学の盲点だった、私たちが過去と向き合う際に陥りがちな錯誤を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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本書では、「臨場」と「逆行的構成」がキーワードである。
ストーリー調で語られることによって人はその物語に「臨場=まるで自分も体験したかのように」してしまう。また、供述する人は、報道や捜査機関から告げられた情報によってある程度その事件について知っており、その情報をもとに「逆行的構成」を行い、事件の前には知りえなかった、感じえなかったことまで語ってしまう。
取調べを「結果」ではなく「過程」としてみる姿勢が必要である。それによって、自白は無罪証拠になりうる。
そして、供述調書は捜査機関による完全なる「作文」であることを必ず認識していなければならない。たとえ直筆の署名があったとしても、取調べ中の空気の中で、署名を拒否することは無理だろう。
取調べには心理学を学んで臨むとおもしろいかもしれない。虚偽自白を見抜くためだけではなく、真実の自白を引き出すための追及にも使えるだろう。「法も人間の現象である限り、そこに心理学との重なりを見ないわけにはいかない(P270)」詳細をみるコメント0件をすべて表示
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