- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140019870
作品紹介・あらすじ
市場での日常の買い物から朝廷の官位まで、中世を生きた人々の購買行動にまつわる諸相を読み解く。人々の価値観や秩序意識、信仰心の所在を明らかにし、中世という不安に満ちた茫漠たる世界の実体を浮き彫りにする。気鋭の中世史家が、博打をうちたかった侍、辞令を偽造した小役人、芋頭好きの僧都、作善好きの無名の地方土豪、大福長者と兼好法師たちの経済感覚を通して、中世社会の実像に挑む。
感想・レビュー・書評
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「お買い物」って、いわゆる日用品ではなくて、官位やら作善やら。
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お買い物の過去と未来◆市場へむかう道◆中世人の経済感覚とは◆中世人の秩序意識◆官位をどう買うか◆武士たちの秩序意識◆御家人成功の手続き◆寺社と金融◆官位の値うち◆大福長者と兼好法師◆ある地方土豪の勧進と作善◆説教師の肖像◆浄土の演出◆市の寓意
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[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
ほとんど知られていない中世日本の購買についてが解説されている。
この本を読むまでに自分が知っていたことといえば、市場は常時開催していたわけではなく、日時が決められて定期的に開催していたこと。通貨は中国から輸入していた銭が主に流通していたということぐらいだった。
この本の面白い部分は日本でも売官が実施されていたということで鎌倉幕府が成立した後でも武士が官位を求め、多大な支払いを行っていたということ、幕府も武士が直接的に朝廷から官位を買うことがないようにわざわざ仕組みが作られていたことだったな。
また、後半は裕福な人間がお金を預け、運用していたということや信仰のために寄進や作善をしていたという事も中々に面白かった。