- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140057148
作品紹介・あらすじ
96の季語から広がる、懐かしくて不思議で、ときに切ない俳句的日常。
俳人でもある著者による初の俳句にまつわるエッセー集。散歩道で出会った椿事、庭木に集う鳥や虫の生態、旬の食材でやる晩酌の楽しみ、ほろ苦い人づきあいの思い出、ちょっとホラーな幻想的体験……。川上弘美ワールドの多様性を満喫しながら季語の豊かな世界を追体験できる96篇。名句の紹介も。
「蛙の目借時」「小鳥網」「牛祭」「木の葉髪」「東コート」。それまで見たことも聞いたこともなかった奇妙な言葉がわんさか歳時記には載っていて、まるで宝箱を掘り出したトレジャーハンターの気分になったものでした。(中略)それまで、ガラスケースの中のアンティークのように眺めてきたいくつもの季語を、自分の俳句にはじめて使ってみた気持ちは、今でもよく覚えています。百年も二百年も前につくられた繊細な細工の首飾りを、そっと自分の首にかけてみたような、どきどきする心地でした(本文より)。
●春 日永/海苔/北窓開く/絵踏/田螺/雪間/春の風邪/ものの芽/わかめ/針供養/すかんぽ/目刺/朝寝/木蓮/飯蛸/馬刀/躑躅/落とし角/春菊/入学/花/春愁
●夏 薄暑/鯉幟/そらまめ/豆飯/競馬/アカシアの花/新茶/てんとう虫/更衣/鯖/黴/こうもり/ががんぼ/蚯蚓/業平忌/木耳/李/半夏生/団扇/雷鳥/夏館/漆掻/雷/青鬼灯
●秋 天の川/西瓜/枝豆/水引の花/生姜/残暑/つくつくぼうし/燈籠/墓参/瓢/月/良夜/朝顔の種/新米/案山子/鈴虫/夜長妻/濁酒/柿/ 秋の空/蟷螂/小鳥/きのこ狩/文化の日/花野
●冬 時雨/神の留守/落葉/大根/切干/沢庵/銀杏落葉/冬鷗/河豚/枯枝/ストーブ/炬燵/冬羽織/おでん/鳰/蠟梅/つらら/ 探梅/春隣
●新年 飾/去年今年/歌留多/福寿草 /初鴉/ 七草
感想・レビュー・書評
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川上弘美さんが季語というものの存在をはじめて知ったのは、大学生の頃だったそうです。
大学の図書館で『歳時記』を発見し狂喜したそうです。
それ以来、俳句をつくることはなくても、ずっと歳時記を愛読してきたそうで、数十年たった頃から俳句を作るようになったそうです。
私が『歳時記』を知ったのは、文学好きな伯母の家で見たものが最初でした。中身はちらっと見ただけなので、そのうち図書館で探してみようかと思います。
春、夏、秋、冬、新年の順で冒頭に季語が載っていて、川上さんのエッセイ、その季語を使った俳句が載っています。
今は五月になったばかりで、俳句の世界では夏、気分的にはまだ春なので、春、夏の季語、俳句に魅かれました。
春
ものの芽
物の芽のほぐれほぐるる朝寝かな 松本たかし
朝寝
あらうことか朝寝の妻を踏くづけぬ 脇屋善之
春菊
春菊や袋大きな見舞客 石田波郷
春愁
はるうれひ乳房はすこしお湯に浮く 弘美
夏
薄暑
朝すでにほろびみひかり湖薄暑 山上樹実雄
更衣(ころもがえ)
衣替えて居て見てもひとりかな 一茶
雷
雷が落ちてカレーの匂ひかな 山田耕司
秋
花野
花野みなゆれ初めたる通り雨 高木晴子 -
作家であり、俳人である川上さんの「季語」の紹介を含めたエッセイ。
まことさんご紹介ありがとうございました。
春夏秋冬に分けて、川上さんがお好きな季語が多彩に紹介されています。それぞれに対する想い出と共に綴られています。
驚いた事は、川上さんが元々理系の方であった事。私は虫が苦手なので、生き物についてもいきいきと語られていて羨ましい限りです。
季語の多彩さを再確認すると共に、自分が日常生活において四季を大切にしていない事に絶望感さえ持ちました。もしかして、俳句には向いていないかもしれない。
業平忌が取り上げられていましたが、私も文学忌が季語になると知った時、これを読み込めたらカッコ良いんじゃないか?と、文学忌には、できるだけ、その方の小説を読む様に心がけているのですが、皆さん大御所ですので作品も大御所的。なかなか、読みきれなかったりしております。
今年は、もう少し読めたら良いなと思っています。-
おびのりさん。こんにちは♪
まずは俳句にいかれたのですね!
やはり季語に惹かれたのでしょうか。
歳時記は読むだけでも楽しいですよね...おびのりさん。こんにちは♪
まずは俳句にいかれたのですね!
やはり季語に惹かれたのでしょうか。
歳時記は読むだけでも楽しいですよね。
でも、短歌もお薦めですよ!
何といってもブクログで今、秘かに流行中で、短歌読まれたり、詠まれている方、多いです。
仲間に入りませんか。2023/02/19 -
まことさん、こんにちは。
コメントありがとうございます♪
俳句というか、川柳は一時作っていたのですが、どうも上手くならなくて。やっぱり、俳句...まことさん、こんにちは。
コメントありがとうございます♪
俳句というか、川柳は一時作っていたのですが、どうも上手くならなくて。やっぱり、俳句かなぁと思ったり。
短歌のお仲間素敵ですね。
私は、全く素人ですけど、大丈夫でしょうか?
少し、お勉強したら、是非、お願いします。2023/02/19 -
2023/02/19
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本屋で、俳句のコーナーを歩いていると、優しい色使いのこの本を見つけた。偶然の出会いだったが、ページをパラパラめくると、興味のあまりなかった、季語というジャンルに惹きつけられて、購入。
なんだか、柔らかな太陽の光を浴びながら、コーヒーや紅茶を片手に読みたい本。
季語なんて、学生時代は暗記するものとしか思えなかった自分にとって、季語にまつわるエピソードは、全て新鮮。
言葉ひとつにも、思い出が結びついているように、季語にもそれがある。
『それぞれの持ち味を、差別せずにただありのままに良しとする。それが季語の精神』(P174)
曇り空のどんよりとした雰囲気や、無造作に生えた雑草。それら全てを、「良いもの」という視点から眺めてみる。まずは身の回りから。
そうすることで、なんのことのない日常も、喜びに満ちたものになるのかもしれない。
いつまでも読んでいたいエッセイでした。 -
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2022/01/19
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2022/01/19
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2022/01/19
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俳句って高尚、なんだか難しそう、でも季語には惹かれる。そこで手に取ったこの本。
川上弘美さんの好きな季語にまつわるエッセイは生活感溢れていて楽しい。
「ひろみさんもそうなの?わたしもおなじ~」まるでお友達気分です。
知らなかった美しい言葉も教えてもらった。
川上弘美さんに導かれて季語が身近に感じられた。
季語を意識することで、移ろう季節に心を留め日々の暮らしが豊かになりそうだ。
季語辞典、欲しいなぁ。 -
川上さんがリケジョで生物学科出身だったとは意外。そういわれてみれば「蛇を踏む」「真鶴」「水声」「大きな鳥にさらわれないように」とか、タイトルは小動物にちなんでいると改めて気付く。川上さんお気に入りの季語を取り上げて、その季語にまつわるエッセイのようなもの。本書を読み彼女に興味が湧き、積極的に読んでみようと、句集の「機嫌のいい犬」と「水声」を予約。読むスピードが速いので、上面をなでただけの読みにならないように自戒して、今回は春と夏の章のみを読了することにした。季節が進みその時期が来て秋と春を堪能しよう。
『黴』で、優曇華(うどんげ)を紹介してあり、幼い頃に両親が言ってたと懐かしい響きに検索した。マッチ棒のような白いひょろひょろした画像が懐かしい。梅雨時に笊に生えていたあ奴だった。クサカゲロウの卵だと初めて知る。 ※優曇華もつきて黴けり古今集
『鯉幟』の章にお雛様にはまったく興味を抱かなかった作者が楽しく書かれてある。彼女は、弟用に揚げられた鯉のぼりを率先して夕方に取り込む役目を担っていた。
※おろされて陽のほとぼりの五月鯉 を引いてある -
ブク友さんの本棚で拝見したのをきっかけに、本書を手に取りました。
本書で、「てんとう虫」が初夏の季語だと知りました。春のイメージが強かったので意外でした。下記のように、それぞれの章で俳句の記載があります。
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翅(はね)わつて てんたう虫の 飛びいづる
高野素十
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ちなみに、吉谷昭憲さんのエッセイのクイズが掲載されてありました。著者が面白いと感じ、本書でも紹介してくれています。読んだ後、私も誰かに話したくなったのでレビューに載せておきます。
【クイズ】
てんとう虫1匹の重さと釣り合うのは、次のうちどれでしょう?
1. 切手 2.つまようじ 3. 1円玉
(答えは本書で)
俳句や季語に疎い私でも、読みやすい本でした。
私も図書館から借りています。
しずくさんのレビュー、楽しみにしています(*^^*)
私も図書館から借りています。
しずくさんのレビュー、楽しみにしています(*^^*)
まことさんの本棚レビューから、短歌や俳句の詩を知れて、何だか、ほんわり和んでしまいました(*^^*)
この本に関し...
まことさんの本棚レビューから、短歌や俳句の詩を知れて、何だか、ほんわり和んでしまいました(*^^*)
この本に関しても素敵な俳句ありがとうございます。
俳句というと、5・7・5の17音。
俳句の基本的な形(定型詩)
私は、恥ずかしながら「俳句」について
ずぶの素人、殆ど無知(・_・;
しかし、たまたまテレビの番組(プレバト)で、夏井いつきさんの俳句添削を見て、とても興味を抱きました。言葉の表す意味や、響く言葉の大切さ、気にも留めてなかった世界の広がりを感じられて、まことさんのレビューに頷きました(^。^)
短い詩の中に、ギュと詰まった情景を感じ取り、瞬時に映像化出来てしまえる素晴らしさ
川上弘美さんが出会った時に狂喜したという
歳時記
四季の事物や年中行事などをまとめた書物に
ますます興味深々。
俳句といえば、多分、誰しも耳にしたことあるような…
「古池や蛙飛びこむ水の音」 松尾芭蕉
「柿くえば鐘がなるなり法隆寺」 正岡子規
私が特に好きな俳句は小林一茶さんの
「めでたさも ちうぐらいなり おらが春」
こんな短い詩を詠んだだけで、不思議と、
その情景が浮かんできて、クスッと笑えたり
しみじみ心に染み渡ってきたり、奥深いものを感じます。
しかし…いざ自分で作ってみるとなると、
なんと難しいことε-(´∀`; )
また、素敵な俳句教えて下さいね♪
私も何かしら、俳句の本読みたくなりました
しずくさんの図書館レビューも楽しみです。
嬉しいコメントありがとうございます。
でも、私もたまたま続けて短歌と俳句の本を載せましたが、レ...
嬉しいコメントありがとうございます。
でも、私もたまたま続けて短歌と俳句の本を載せましたが、レビューにも書いたとおり、本は結構持っていますが、全くの初心者です。
ましてや、自分で創作は考えてもいません(^^;
人に教えるなんて、もってのほかです。
でも、これからも、短歌、俳句の本は読んでみたいので、また駄文を載せてしまうかもしれません。
積読本を結構登録だけしてたりもします♪
小林一茶の「めでたさもちゅうぐらいなりおらが春」いいですよね♡
本当は詩集が一番読みたいのですが、めぼしいものは全部レビューしてしまったので…。
hiromida2さんのレビューも楽しみにしています。