ハイデガー 存在の謎について考える (シリーズ・哲学のエッセンス)
- NHK出版 (2002年10月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (110ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140093009
作品紹介・あらすじ
なぜ、いま私はここにこうしているのか。哲学と人生論が必然的に結びついた存在論。ハイデガーの存在論を徹底的にわかりやすく解説しながら「自分」という謎について考える。
感想・レビュー・書評
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前半は読みやすいが後半分からなくなったが、再度読み直したら分かってきた。
自分の存在について考えたくて読んだが、ハイデガーも存在論を完成させる「時間性」については途上のままであるよう。
ただ、「自分」は、固定的なものがあるのではなく、自分が投げかけた可能性によって、また「あたり一帯」から規定されるものであるという。そしてその不安定さから、「居られないほど不気味」な不安な気分に貫かれ、それを受け止める受容体であることだけが強く感じられるという。その「気分」はなんとなくわかる気がする。
ハイデガーの考えか筆者の考えか分からないが、その不安の感覚は、「自分」という存在が自分に見える層だけで形成されていないの暗示するといい、その到来する見えないものを回収することで「自分の存在」を完全に見極められるとを言っている。その辺がとても気になり、そこに手がかりがある気がするが、それ以上のことは読みとれなかったので、ほかにもいろいろ本を当ってみたいと思う。 -
斜め読みしましたが、よくわかりませんでした。じっくり読まないとわからないのでしょうね。
ハイデガーは、高校生の頃に、「存在と時間」という重厚な古い本がおいてあり、内容は全く理解できないがなにやら深遠そうなことが書いてあり、いつかはこんなことが理解できたら良いなあと思ったものです。 -
現代では珍しいが、あえて実存主義的なハイデガーを描いている。良書とは言えないが、安いので読んでもいいかも。
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難解と言われるハイデガー哲学の入門として、さまざまな文献からの引用に対してかみ砕いた解説を施している。
存在論の考え方は日常のさまざまな場面に応用できるし、最高峰の哲学にふれてみたいという興味のある人はまず手に取ってみると良い。 -
文章がわかりやすかった
ハイデガー小伝も面白かった
読書案内も助かった -
生活感、日常性から理解できる奇跡的なハイデガー解説。一つ一つ理解ができるとはなんと楽しい経験であるのか。だからと言って、ゲスや軟派ではない。切実であることは、哲学的でもあるのだ。
・意味的なものは、根源的に体験的である。意味とはある種の体験である。p26
・自分の存在をどう理解するかは、自分がどう存在していくかと深く関わっている。p31
・自分を失うことをなぜではなく、どこでという点を考える。世間並と没我。p50
・私が見るのが世界ではなくて、自分にとって現れるのが世界である。p74 -
「存在論」とか「存在論的」という言葉は、いくつもの解説本を読んでも今ひとつピンとこないのだが、本書はそこのところを丁寧に説明しようとしている。おかげで、何となくわかったような気がするが、自分の言葉で説明できるまでにはなっていない。もう1回読み返す必要がありそうだ。
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ハイデガーの『存在と時間』の実存哲学としてのおもしろさを、わかりやすいことばで語った本です。
「存在」の意味を問うことは、「存在」を理解している円環の中に入り込むことを意味しています。そして著者は、このようなしかたで「存在」の問いを立てるとき、われわれは「自分自身」に出会うことができる場に出ていると論じています。
こうして本書の議論は、自分自身をえらびとる自由に対して開かれている現存在のありかたへと進み、世界内存在の構造に関する議論が、「自分とは何か」という実存的な問題との密接なかかわりのもとで照明されていくことになります。
ハイデガー特有の術語をなるべく避けて、わかりやすく実存の問題に絡めてハイデガーの思想を紹介しようとしている著者の努力が伝わってきます。 -
「ある」という言葉の意味について。「存在」の理解。存在への問いかけ。「これでよいのか」という問いによって、存在と自分の問題に直面する。可能性を可能性「として」理解する。「として」という投げかけの言葉によって検証を試みる。ハイデカーの考え方のエッセンス。手頃な読み物として提示してもらえるのはありがたい。