- Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140804452
作品紹介・あらすじ
偉大なる科学遺産発見の興奮が止まらない。「なんてリアルだ!」アポロ宇宙飛行士も驚嘆の声をあげた月世界探検の記録。NHKBS10周年記念大型海外ドラマ『人類、月に立つ』の原作。
感想・レビュー・書評
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アポロ計画といえばNASAが実施した人類歴史上唯一の地球以外の星に人類が足跡を残した宇宙開発計画だ。
この本はそのアポロ計画を丹念に追い、アポロ計画に携わった人々を描き出している。
アポロ計画といえば、やはり11号の月面に始めて降り立った偉業があるが、この本のクライマックスはそこではない。
実際、上下巻の上巻で11号の話はさらりと終わる。
この本のクライマックスは11号以降にあるように思える。
11号の成功によってアポロ計画は大きな危機を迎える。アポロ計画では20号まで打ち上げられるはずだった。しかし、月面着陸という目標を達成してしまったあと、「何故莫大な予算を投じて続ける必要があるのか?」という世論の方が大きくなったからだ。
では何のために?
それは月という衛星の歴史を知るための天文学的、地質学的な調査、つまり科学調査のために続ける必要があったのだ。
初めの頃、宇宙飛行士になる前の職は軍人やテストパイロットという人々ばかりだった。
しかしそれは徐々に変わり、科学的調査を行うために、地質学者、物理学者が宇宙飛行士になるケースも増えてきていた。
訓練の中に、外に出て地質学者について、フィールドワークを行い、地質学的資料、情報の収集方法を学ぶ時間も取られるようになった。
月には降りず、司令船に残って月を周回する司令船パイロットの予定者たちは、訓練の中で小型機に乗って空から地形を眺めて、情報を収集するスキルを身につけることも重要視されるようになった。
11号で月に到達する事が出来るようになった時点で、アポロのミッションは月に行くことから、月の上で何をするか?という事に変わっていったのだ。
下巻はそういうアポロの科学研究的目的の面に話の重きが置かれる一方で、それらが一時の熱狂が冷めたアメリカ国内で賛同を得られず、予算の削減、計画の縮小、変更という事に、アポロ計画の終焉について語られる。
アポロ計画はケネディのムーン・スピーチという有名な演説で命を得て、60年代の夢を語る歴史になったが、同じ時期、同じ国がヴェトナム戦争という暗い歴史にもう片方の足を突っ込んでいた。そんな中で、今の家庭用ゲーム機にも及ばない低性能のコンピューターと何万人という人の力が集まって月に行く事ができた。
16号で月に行った宇宙飛行士 ケン・マッティングリーが、アポロをあの時代にしかできなかった事、今のNASAやアメリカにはあんな大事業を行う力がない、と答えているのもなんだか象徴的だ。
ちなみに、「アポロ13」という映画でジム・ラヴェルを演じたトム・ハンクスは、映画のすぐあとにこの本をベースにテレビドラマを製作した。
日本でもNHKが「人類、月に立つ」というタイトルで放送した。
その中ではこの本の中でもあまり触れられていない話も取り上げてドラマ化している。
僕は特に月着陸船の考案と開発に携わった人々を描いた回が好きだ。(そのエピソードはこの本の中にはほとんど出てこない)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
配置場所:摂枚普通図書
請求記号:538.9||C||下
資料ID:59902356 -
アポロ17号の発見がクライマックスだが、それまでの記述が冗長に感じられた。
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『ぼくらの頭脳の鍛え方』
書斎の本棚から百冊(立花隆選)
二十世紀の歴史33
アポロ計画の全容。人類がはじめて地球生物の枠の外に。 -
月探査の主眼が地質学的なものにしぼられているのは当たり前と言えばそうだが、考えもしていなかった。月の成因など考えてしまうのは科学者のさがだろうが、自分は興味を持てない。
アポロ計画ののちの停滞期を経て、宇宙計画は民間会社が行う時代に入りつつある。その流れに日本は乗れるのだろうか。常に技術的フロンティアに立たなければこの国は生き残れない。日本が月を目指す。野心がこの国には必要だ。 -
月面にたどり着くまでが中心の上巻に比べて、下巻では月での科学探査に焦点をあてている。
アポロ17号までのミッションで、毎回どこに着陸し、月面に何時間滞在し、どこを調査して、どのような石を集めたのか。その科学探査のために宇宙飛行士たちが地質学のフィールドワークをしたり、科学者側から猛烈な働きかけがあったり。
ケネディ大統領の立てた目標である月着陸を達成してしまい、アポロ計画の予算が削られていく中で、計画の意義を科学探査に求めざるを得なかった状況はあるにしても、それぞれのミッションがそれぞれに意義を持っていたということ、更なる宇宙開発へのビジョンを持った宇宙飛行士たちがいたということ、、、
アポロのスケールの大きさと、計画にかかわる一人ひとりが自分のミスで計画が台無しになることがないように、と熱意と誇りを持って仕事に取り組む状況は素晴らしいと思った。