- Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140815281
作品紹介・あらすじ
有名な序文「つれづれなるままに…」で始まる、誰もが一度は触れたことのある日本古典文学『徒然草』。隠遁者の説教じみた「無常観の書」と思われがちな本書であるが、その実体は、合理的な思考と鋭い洞察力に富んだ、確固たる「価値観の書」であった。名僧でも天才歌人でもない、"何者でもなかった人"の柔軟な精神が生んだ、人生を身軽に生きるヒントを探る。
感想・レビュー・書評
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これまでに読んだ新書2冊に関しては、やや学術書のような硬さが読んでいて感じられたのだが(それでも面白かったけど)、本書に関してはテレビ番組を元にしているだけあって、説明はとても丁寧で、分かりやすさを重視して書かれているようだ。
原典からは特定のテーマに偏らずにバランスよく選ばれている印象で、恐らく本書を読めば『徒然草』の大まかな雰囲気は感じられるだろうし、現代語版の教科書といってもよいのではないかと思う。
ちなみに本書の初版は前述の新書2冊よりも古いが、序段の「つれづれ」の解釈をこちらも単純に「退屈」としていない点は、やっぱりねという感じでなかなか興味深かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言わずと知れた有名な徒然草をやさしく解説してくれている本。
単に言葉の意味だけでなく、吉田兼好が生きた時代背景や兼好自身の簡単な生涯を交え、いかに当時が無常感に包まれていたかが分かり、作品に及ぼしている影響が理解しやすくなっている。
現代人の我々に置き換えて考えるに、本来は常ならぬ世の中であることを忘れ、もしくはその感覚すら鈍くなっているのは非常に危険なことなのではなかろうか。
また、「つれづれなるままに、日ぐらしすずりにむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ」や、「花はさかりに、月はくまなきをのま見るものかは」など心に残すべき名文であろう。 -
絶えず逆方向を意識しバランス感覚を維持する。両目から物事を見て自分を客観視する。簡単なようで案外難しいことのように思える。
古典は難しくて敬遠気味だったが、荻野さんの解説で楽しく読めた。もっと古典を読んでみたい。 -
徒然草、なかなか素晴らしい古典です。趣を感じました!
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「何事でも、珍しいことを求め、人と異なった説を好むのは、必ず知恵の浅い人がすることであるという」
私にはそれほど響かなかった。 -
おすすめ度:70点
「一人で静かに自分の心に向かい合うのは、とてもよいことだ」と兼好は言っている。「つれづれ」は自分の内面が果てしなく外の世界へ連ねっていくような感覚「無の境地」への入り口といえるのかもしれない。