NHKさかのぼり日本史 外交篇[2]昭和“外交敗戦"の教訓 なぜ、日米開戦は避けられなかったのか
- NHK出版 (2012年9月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140815625
作品紹介・あらすじ
情勢判断の甘さ、世論への迎合、交渉の早い見切り-"外交敗戦"の積み重ねが、戦前日本の命運を決した。軍部の独断専行だけでは解き明かせない、敗戦への道。
感想・レビュー・書評
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国内事情を重きに置いて外交を進めたため、選択肢が狭められ、身動きができなくなった。今もそのようなことが起きるのではないかと危惧する。
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感想未記入、引用省略。
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(2014.06.23読了)(2014.06.13借入)
「“外交敗戦"の教訓―なぜ、日米開戦は避けられなかったのか」
日清戦争から太平洋戦争までの外交は、大陸への権益をいかに確保するかということにあったのでしょうか?
武力を背景に推し進めるということでもあったのでしょうが、その軍隊が政治のコントロールがきかないものになっていったために、最後は殆ど軍事政権というところまで行ってしまったようです。
軍隊が勝手に動いてしまうのでは、政治による外交など無きに等しかったのではないでしょうか? そういう意味では、政府がどうやろうとしたかを探った書き方は、あまり意味がないような印象がありますが、いかがなものでしょうか?
【目次】
はじめに
第1章 挫折した日米交渉
第2章 日中戦争 熱狂の代償
第3章 国際連盟脱退 宣伝外交の敗北
第4章 崩れゆく国際協調
結びに代えて
参考文献
年表
第1章 [挫折した日米交渉]1941年 松岡洋右
日米諒解案の破綻によって交渉機会を逸した日本は真珠湾攻撃に向かう。なぜ、アメリカとの戦争回避に失敗したのか。
第2章 [日中戦争 熱狂の代償]1938年 近衛文麿
国民政府を対手とせず 声明により中国との和平の道を断った日本。なぜ、慎重となるべき政府が強硬論を貫いたのか。
第3章 [国際連盟脱退 宣伝外交の敗北]1933年 田中上奏文
国際連盟脱退という極端な選択、その背景には中国の巧みな宣伝外交があった。なぜ、日本は国際世論を敵に回してしまったか。
第4章 [崩れゆく国際協調]1928年
中国の再統一への対応に際し、満蒙権益にこだわる日本は米英と袂を分かつ。軍が危機感を深めた末に、満州事変が勃発する。
●「田中メモリアル」(93頁)
「田中メモリアル」とは、1927年に田中義一首相が世界征服を計画し、昭和天皇に上奏したとされる怪文書である。日本では「田中上奏文」として知られていた。
日本の世界征服は、満州地下資源の獲得、中国の人的資源の征服、インドなど南方の制圧、東進によるアメリカの壊滅という四段階からなっているという。
●国力(170頁)
モーゲンソーは、地理、天然資源、工業力、軍備、人口、国民性、国民の士気、外交の質、政府の質という九つの要素に国力を分類した。その上でモーゲンソーは、外交の質を最重要に位置づけたのである。
☆関連図書(既読)
「NHKさかのぼり日本史外交篇[1]戦後」井上寿一著、NHK出版、2012.09.25
「NHKさかのぼり日本史②昭和」加藤陽子著、NHK出版、2011.07.25
「回想の日本外交」西春彦著、岩波新書、1965.02.20
「日本の外交」入江昭著、中公新書、1966..
「アメリカ外交とは何か」西崎文子著、岩波新書、2004.07.21
(2014年6月24日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
情勢判断の甘さ、世論への迎合、交渉の早い見切り―“外交敗戦”の積み重ねが、戦前日本の命運を決した。軍部の独断専行だけでは解き明かせない、敗戦への道。 -
太平洋戦争直前から中国再統一までさかのぼります。もとがテレビ番組なので、平易で理解しやすいように思う。
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第一章では松岡洋右が推進した三国同盟の影響による開戦前夜の日米交渉頓挫を、第二章では近衛内閣が煽った世論の熱狂に縛られ国民党政府との交渉打ち切りに至るまで、第三章では田中上奏文をめぐる日中の宣伝と他国の反応、第四章では張学良の国民党政府との合流という新たな事態に対し満蒙権益を重視する日本は対応に遅れたこと、をそれぞれ描く。一定の世論や民意が根付いた社会でそれを無視した外交ができた/できるのか。中国という舞台では独自の権益が大きい日本は変化への対応に遅れたわけだが、どの国でも独自の権益や目的を持つ場面ではそうならざるを得ないのではないか(例えば米国のベトナム戦争)。この時期の日本外交は結果論としては失敗だったが、それが日本独自の要因か又は普遍的な要因かは考慮の余地があろう。ただし田中上奏文については、それ自体は偽書であってもその当時の日本の行動が図らずも内容の裏付けとなってしまったのは否めない。実際の自国の言動が他国にどう見られるか、は自国の主張自体の正しさと同じかそれ以上に重視する必要があろう。
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テレビを無理やり書籍にした感じで読みにくかった。
内容も偏っている部分が多少あった。