ノヴァセン: 〈超知能〉が地球を更新する

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140818152

作品紹介・あらすじ

100歳の大家が放つ、衝撃の未来像。大注目の「ポスト・ガイア理論」!

「ガイア理論」の提唱者として知られる世界的な科学者が、21世紀に人間の知能をはるかに凌駕する〈超知能〉が出現すると予測。地球は、人類を頂点とする時代(=「人新世」)から、〈超知能〉と人類が共存する時代(=「ノヴァセン」)へと移行するのだ。〈超知能〉は人類より1万倍速く思考や計算ができ、人間とは異なるコミュニケーション手段を持つという。他方で〈超知能〉にとっても地球という環境が生存の条件になるため、人類と共に地球を保護する方向に向かうだろうと断言する。科学的なベースを踏まえながら、地球と生命の未来を大胆に構想した知的興奮の書!

感想・レビュー・書評

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  • 「ガイア理論」を提唱したラヴロックが100歳になり、今後の未来像について語った本、ということで読んでみました。

    地球はひとつの生命体である。

    地球は誕生してから今日まで、地球上の様々な生命とやりとりをしながらひとつのシステムをつくってきている。

    その地球の進化と発展の中で、人類が生まれ、これからはその進化の必然として誕生するサイボーグ(ロボットやAIなど)がそのシステムを維持していくことになる。

    ガイア>サイボーグ(ロボット・AI)>人類
    とする構造の中で、
    超知能とされるサイボーグたちはガイアを壊すわけにはいかないから人類と共同生活を送るだろう。

    本書の展開には、正直、驚かされます。
    ガイア理論と技術至上主義的な考えがあわさった形で、それこそ地球の環境を維持し、発展させるために、人類は原発を使いこなす必要があることを明確に述べています。

    単純な科学を手放して、”自然に帰れ”、”昔にもどれ”の発想に未来がないことは僕も賛成ですが、ここまで楽観的というか、強気にはなれないなぁ、と思って読んでいました。

    地質の年代として、化石燃料を使い始めた現代をアントロポセン(人新世)として位置づけ、これからの超知能によって乗り越えられる年代を「ノヴァセン」と呼んで、地球が誕生してからの長い年月を位置付けていく視点は興味深いです。

    地球が誕生してからの長い年月、
    そして著者が100年間の人生で歩んできたそれこそ大きな変化を含めて展開しているパースペクティブに学ぶところは多いです。

    進化と人類の役割に関して、アーサー・C・クラークのSF小説『幼年期の終わり』を思わせるところもあります。

    うーん、しかし、どうも受け入れられないことが多いです。
    100歳のラヴロックよりも、僕の方が古い世代のおじいちゃんみたいな感覚にさせられます。

    ”これまでもそうだったように、未来はわたしたちにとって、知り得ないものだ。それは有機的世界においてさえもそうだ。サイボーグはサイボーグを身ごもるだろう。人間にとって都合がいい存在として下等生物であり続けるなどということは決してなく、そのまま進化を続け、高度な進化の産物として新しい強力な種となるだろう。しかしガイアという支配的で圧倒的な存在に尽くすため、それらはすぐに、わたしたちの主となるのだ。”(p.156)

  • 少し難しいですが考えさせられる。人間は新しい種を生み出そうとしている?

  • ラヴロックの最後の著作、人類へのラストメッセージとも言うべき本。

    地球を一つの生きたシステムとみなすガイア理論の提唱者ということで、ニューエージ的な環境保護派にみられがちであるが、基本的にはテクノロジーの人。

    なので、地球温暖化に対して、早くから警鐘を鳴らしつつも、どっちかというと技術的な問題解決にフォーカスはあると思う。その辺のバランス感がラヴロックの面白いところ。

    そのラヴロックは、この著書を書いていた頃、どう考えていたのかというと、普通の意味では悲観的なヴィジョン、つまり地球温暖化の進展による人類の大量死は避けられないと諦めている感じ。

    だけど、テクノロジストのラヴロックは、違うタイプの希望を見出す。つまり、アンドロイド、ロボット、AI的な存在による世界の継続に希望を託すのだ。

    つまり、彼らにとっても、地球の温暖化は問題なので、彼らがソリューションを考えつくであろうとのこと。

    これはマトリックス的なディストピアと考えるのか、あるいはある種のユートピアなのか?

    ラヴロックの議論は、上に紹介したように単純なものではなく、いろいろな視点をふくむものなので、興味を持った人は読む価値あり。

  • あっと言う間に読了できました。100歳になるガイア理論の大家が、人新世(アントロポーセン)の次に来る時代を予見した本です。結論から言えば本のタイトルにもなっている「ノヴァセン」が次にやってくる、ということで、この意味を一言でいうなら「超知能」が主役になる時代が来るということです。そう聞くとターミネータやマトリクスやらのディストピアを思い浮かべる人も多いかと思いますが、ラヴロックのトーンは暗くありません。むしろこれは地球(ガイア)が望んでいることであり、人類はこれを受け入れるべきだということ。

    ちなみに<超知能>の思考スピードは人間の1万倍以上に及びます。これは人間と植物の関係に似ていて、<超知能>から見た人間は、人間から見た植物のようであるだろうとのこと。この記述を読んだときに、あるSF短編小説を思い出しました。そのSF小説では、自動運転車があとゼロコンマ何秒かで衝突するというようシーンが描かれています。そのゼロコンマ何秒も、AIにとっては相当に長い時間なので、2台の自動運転車に搭載されているAI同士が、会話やら交渉やら、果てにはAI裁判所に事案を持ち込んで、どちらの車にのっている乗客を優先すべきかについて係争する、といった話でした。本書はいろいろな想像力をかきたてられる面白い本でした。

  • ガイア
    地球は一つの自己調整システムであり生命体。
    生物だけが生命ではない。
    AIと人間が共存するのがノヴァセン。

  • ノヴァセンにおいてサイボーグが地球を見捨てず人間と共存してくれることを望む

  • ◉アントロポセン(新人世)の総括。そして次の時代(ノヴァセン)へ

    <こんなことを言っていた気がする>
    ガイア仮説(地球は一つの生きた生命体である)を前提に
    ・人間だけが知性を持ち、情報を扱ってきたが、ここにサイボーグ(人工知能を持ち、自らを設計・製造する機械)が加わる。
    ・ダーウィンが唱えた自然選択は意図的選択にとって変わられる。
    ・地球を冷涼に保つことは有機的生命体、電子的生命体に共通して重要。
    ・人間を超越した知性は人間よりうまくガイアの環境を維持できるだろう。
    ・サイボーグはコラボレーションの相手として人間を必要とするだろう。
    ・サイボーグが人類に対して良い態度を取るべき理由があるかは、サイボーグ自身が考える。

    <気になった文章>
    「適応型コンピータシステムを軍事プラットフォームで進化させようという考えは、地球上の人間や他の有機的生命が一掃されるかもしれない最悪のアイデアであるように、わたしには思える」p143

    「アントロポセンが始まるやいなや、人類はスピード狂の若者のように加速の力に夢中になった。そのまま300年間、アクセルを踏み続けた私たちは、いまや電子的、機械的、生物学的に人間がつくりあげたものが、地球のシステムを動かす時代へと近づいているのだ」p61

  • アントロポセン(人新世)とは化石燃料の使用により地球環境規模での影響が出ている時期である。そして、情報を獲得した。
    サイボーグの外観は球体ではないか?p.123
    宇宙論の人間原理、セルボーンの博物誌 け、けあし、

  • 「ガイア理論」の提唱によって地球環境問題を包括する視点と概念を与えてくれた著者が語るラディカルな未来予測。
    AIによる新たな生命体を人類の後継者として位置づけ、温暖化という危機を乗り越えるために人間と共存する時代を「ノヴァセン」と呼ぶ。
    人間よりも知的な人工生命体の誕生は、宇宙が意識を持つに至るプロセスの始まりなのかもしれないという、まるでSFを読んでいるかのような論調に飛躍するが、決して荒唐無稽ではなく、最後まで興味をそそられる内容だった。人類の未来を思索する上での、新たな視点を示してくれたと思う。

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著者プロフィール

イギリス生まれ。「ガイア理論」の提唱者として知られる。プロスペクト誌で「100人の世界的知識人」に選ばれ(2005年)、英国地質学界により栄誉あるウォラストン・メダルを授与された(2006年)。「ダーウィン以来、最も影響力のある科学者」(アイリッシュ・タイムズ紙)、「われわれの地球の見方を変えた科学者」(インディペンデント紙)などとその功績は高く評価される。2019年7月に100歳の誕生日を迎えた。著書に『地球生命圏――ガイアの科学』(工作舎)など。

「2020年 『ノヴァセン 〈超知能〉が地球を更新する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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