ダビデの星を見つめて: 体験的ユダヤ・ネットワーク論

著者 :
  • NHK出版
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本棚登録 : 60
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140819265

作品紹介・あらすじ

ロシアのウクライナ侵攻、米国のトランプ現象、激変の世界をネットワーク論から見通す

ユダヤ人が大切にする価値観は高付加価値主義とグローバリズムである。奇しくも21世紀の世界は、産業資本主義から情報を基軸とする金融資本主義、DX技術の進歩によるデジタル資本主義に分裂しようとしており、いわばユダヤ的思考様式や価値観が世界の潮流となりつつある。国際ビジネスの現場で、著者自身の眼で見てきた事実と、世界史的視野からユダヤ・ネットワークを立体視し、世界経済の深層に光を当てる。

はじめに――ロシアによるウクライナ侵攻の衝撃/序章 ユダヤ人への基本考察――ユダヤを考える知のプラットフォーム/第1章 ユダヤ人との出会いと衝撃的体験/第2章 アメリカとユダヤ人――キリスト教シオニズムへの視界/第3章 欧州のユダヤ人――ロスチャイルド、ホロコースト、そして日本との微妙な関係/第4章 ロシア、ウクライナと東方ユダヤ人――エカチェリーナ二世の定めた居住区/第5章 21世紀のイスラエル――したたかな同盟国として、技術先進国として/おわりに――「ユダヤ化」する世界

感想・レビュー・書評

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  • 『ダビデの星を見つめて:体験的ユダヤ・ネットワーク論』(寺島実郎著/NHK出版) | マガジン9
    https://maga9.jp/230201-5/

    ダビデの星を見つめて 体験的ユダヤ・ネットワーク論 | NHK出版
    https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000819262022.html

  • 以前、知人がフリーメーソンについて書かれた本をうずたかく積み上げて、ユダヤについてとうとうと話し出し、否定も同意も出来なくて、立ち往生したことがある。二次大戦のときにジェノサイドにあったことや、イスラエルのかつての大統領が軍閥出身(?)だったり、バーンスタインや、クレーメルがユダヤ系だったり、断片的なイメージと、ただ、おかしい、キリストを売った、などといったって、どうしてこんなことになる? というイメージである。そこからは、思考の連続として、フリーメーソンに無条件には飛べねえやなあ、と思うが、話す材料が決定的に不足していて、日本人にもフリーメーソンに入っている人がいて、みたいな本を一冊くれてやる、というのをもらってようやく解放された。こういう経験をする人は意外に多いのではないか。
     こうなってしまうのは、たぶん、客観的にみることのできる距離をとれていないからだ。まず、歴史がよくわからない。国がないというのは、その民俗のたどってきた歴史が積み重ねられるのにとても不利だ。
    この本は、この不利な状況を実は、ユダヤの視点は国にとどまらず、世界に向いていたととらえなおす。たしかに、理数系や音楽など国に縛られないある意味、全人類共通の文化に創造性を発揮した偉人がユダヤには多いのだ。本をまだ、全部読みきれていない。だが、現在全世界的な影響を及ぼす課題が大きくなって、この視点の重さを感じざるを得ない。

  • はじめに ウクライナ危機を考える視界としてのユダヤ・ネットワーク/序章 ユダヤへの基本考察ーユダヤを考える知のプラットフォーム/第1章 ユダヤとの出会いー1975年という年/第2章 アメリカとユダヤー分断をもたらしたキリスト教シオニズムへの視界/第3章 欧州のユダヤ人ーロスチャイルド、ホロコースト、そして日本との微妙な関係/第4章 ロシア・ウクライナと東方ユダヤ人ーキッシンジャー、ブレジンスキーに至るつながり/第5章 21世紀のイスラエルーしたたかな同盟国として、技術先進国として/終章 ユダヤ人と日本人、そして21世紀の資本主義とユダヤ

  • 2023/12/11

  •  イスラエルとユダヤ人の事を理解するのにはとても良い本だ。ユダヤ人のことを知らなければ、現代世界は理解できない。

  • 華僑、ユニオンジャック、ユダヤ。

    世界中にネットワークを張り巡らせる中華民族、大英帝国、ユダヤ民族。

    寺島さんの三部作の最後がこの本。



    ユダヤの歴史、イスラエルの歴史にページが割かれる。

    あまり頭に入らなかったが、ロスチャイルドの五本の矢の話は面白い。

    ユダヤの国際政治学者、キッシンジャーとブレジンスキー。

    そして21世紀の経済に影響を及ぼすイスラエル。沈む日本。

    ひところはJJ(ユダヤとジャパン)などと言われた経済発展国だったようだが、

    今の日本の体たらく、、、



    ユダヤの大河の話と思ったが、最後は自国の現状を思い知らされた

  •  『ユニオンジャックの矢』で英国流の世界戦略、『大中華圏』でアジアで力を持つ華僑パワーを記述し、続く本書が3部作の完結編という位置づけです。世界に広がるユダヤ・パワーに焦点を当てたもので、著者が三井物産時代の体験も踏まえており、大変興味深く読みました。

     いわゆる「ユダヤ陰謀論」とは全く異なり、帯にあるとおり、「体験的ユダヤ・ネットワーク論」。やはり、世界の要所要所にユダヤ・パワーありということがよくわかります。石油ショックの時に、富士重工業のみがアラブ市場を捨てて、イスラエルへと進出したことから、ユダヤ人には「スバルはベンツと並ぶ名車」と語られ、「スバルの星はダビデの星につながる」と、いまだにユダヤ系に強い人気を誇るそうです。また、エルサレムにある聖墳墓教会では、ローマ・カトリックの管理する領域は1割程度しかなく、9割は「正教系」などなど、「日本人の世界理解の限界になっていること」が多くの事例とともに語られています。

     ユダヤ人の価値観が「高付加価値主義」(知恵を重視)と「国際主義」(世界的視野で物事を考える)というのは、まさに「体験的ユダヤ論」から出た著者の視点ですが、正鵠を得たものと思います。

     かつて、寺島実郎氏の講演に参加した際、経済動向や地政学のデータ・グラフがぎっしり詰まった厚さ2㎝ほどの資料が配られ、「よくこれほどのファクトに目を通している」と感心しました。あくまでも冷徹に現実を見据えたもので、決して「ユダヤ陰謀論」ではなく、1ビジネスマン、1研究者が体験的に語った世界のなかのユダヤ・パワーを記述した内容です。プーチンのユダヤ嫌いも書かれており、いまのロシア、ウクライナを知る上でお薦めしたい1冊です。

  • 「ダビデの星を見つめて」by寺島実郎

    この度のロシアの侵攻を受けるウクライナに埋め込まれたユダヤファクターから始まり、ユダヤ民族の壮大かつしたたかな生き残り物語り。

    入り組むヨーロッパの民族の勃興、破滅が繰り返される歴史はややこしかったがなかなか面白かった。

    逆に言えばそのややこしい歴史を生き残ってきたのがユダヤ民族でもあり、

    現代においてもアメリカに従順なようで実はアメリカを翻弄し、操る「厄介な同盟国」。

    「高付加価値主義」と「国際主義」を軸に優れた軍需産業、IT技術を擁し、世界中に情報ネットワークを広げ、狡猾な外交戦略を展開する。

    日本の四国ほどの面積で人口は950万、一人当たりのGDPは2017年には日本を抜き、実質的な核保有国。

    アメリカのただただ「従順な同盟国」であり、内向きに生きる我が国との対比を考えてしまう。

    日本がグローバル化の荒波にもまれた幕末からまだ150年弱。あの複雑な歴史を生き抜いてきた諸外国と比べてまだまだ子供なのも当然か?

    PS
    ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」は帝政ロシア時代のウクライナ村で、周囲から迫害を受けるユダヤ人家族の物語

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著者プロフィール

1947年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究課程修了後、三井物産入社。調査部、業務部を経て、ブルッキングス研究所に出向。その後三井物産ワシントン事務所所長、三井物産常務執行役員等を歴任。現在は日本総合研究所会長、多摩大学学長。著書に『人間と宗教』『日本再生の基軸』(岩波書店)、『ユニオンジャックの矢~大英帝国のネットワーク戦略』『大中華圏~ネットワーク型世界観から中国の本質に迫る』(NHK出版)、『若き日本の肖像』『20世紀と格闘した先人たち』(新潮社)他多数。

「2022年 『ダビデの星を見つめて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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