漢詩をよむ王維100選: 「半官半隠」の自然派詩人王維の生涯と作品 (NHKライブラリー 221)

著者 : 石川忠久

• NHK出版 (2007年5月1日発売)

感想・レビュー・書評

[忍豚さんの感想 · 2009年8月18日]

詩聖・杜甫や詩仙・李白と並んで「詩仏」と讃えられた唐代の大詩人・王維の作品から厳選した100首。
NHK漢詩紀行の石川忠久による編集です。
唐の絶頂期であった玄宗皇帝の御世に官僚・詩人として活躍しながらも、安禄山の乱によって挫折した王維の生涯の節々を象徴する名作集。
役人仕事と、山中の別荘での休暇を交互に過ごした"半官半隠"の生活で、自然や、仏教への信仰を巧みに取り込んだ作品を数多く残しました。
視覚的イメージの湧く作品群は、北宋の大詩人・蘇東坡によって「詩中に画あり、画中に詩あり」と讃えられました。
李白と同様、日本の阿倍仲麻呂とも交友があり、送別の詩も残しています。

「元二の安西に使いするを送る」、「九月九日山中の兄弟を憶う」などの名作も収録。
王維と関わった他の詩人たちの作品もあります。

ニン、トン♪

著者プロフィール

1932年生まれ。東京大学文学部中国文学科卒業、同大学院修了。現在、二松學舍大学顧問・名誉教授、桜美林大学名誉教授。
㈶斯文会理事長・全国漢文教育学会会長・全日本漢詩連盟会長。文学博士。

〔著書〕　『詩経』（明德出版社）、『漢詩の世界』（大修館書店）、『陶淵明とその時代』（研文出版）、『春の詩100選』（NHK出版）他。

「2002年 『唐詩選のことば』 で使われていた紹介文から引用しています。」