知の逆転 (NHK出版新書)

  • NHK出版
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感想 : 514
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140883952

感想・レビュー・書評

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  • ☆☆☆☆
    『知の逆転』(吉成真由美)
    ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソン
    上記6名の現代の叡智に吉成真由美が「平和」「資本主義」「人生」「インターネット」「宗教」「教育」という共通の質問をぶつけながら6名の奥深い洞察を引き出してゆく。

    同じ内容の質問であっても、6名の人物の中から読者がもっとも興味があるだろうものを引き出すために、吉成がする問いが素晴らしい。
    それぞれの人物の頭のなかの観念やら、風景やらが良く伝わってくる。イメージとしては、6名の偉人を横並びにして同時にCTスキャンを撮り、6つの検査項目の画像データを披露しているような感じだ。(さすがに、どの画像データも常人のものとは違い、問題アリだ)

    個人的にはチョムスキーの「自分から知りたいと思うように励ますのが教育だ」という姿勢と、専門分野である‘言葉に対する考察’に興味を惹かれたのと、
    ジェームズ・ワトソンの『生命とは、分裂・成長することを目的とした、選択され組織化された分子の集まりである』という凝縮された言葉や、『事実の上に立って独立して考える能力が、事実から意味を汲み取ることができる人間にする』という科学者を目指す学生へ向けたと思われる言葉がジェームズ・ワトソンという人物に興味を持たせた。

    如何にしても、インタヴュー集なのでどうしても尺が短く、伝わってきた熱は微かなものにとどまってしまっている。
    それぞれの偉人の頭の中を旅するには、それぞれの人物の著書を読むことになる。
    是非、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、ジェームズ・ワトソンの著書をトライしてみよう。
    2017/04/29

  • アメリカにもこんな立派な知識人がいるのかと感心した一冊。なかなか面白いw

  • 20世紀の世界を変えた英知
    常識を覆すもとは発想の逆転にあったのか?

  • 「人生は出会いが全てかもしれない」と語る筆者。世界の叡智にインタビューして、分かりやすく編集できる彼女もまた、叡知なのだろう。
    常に学び続けることの重要さ。
    世界の叡智の最先端に触れただけでも大きな刺激になった。

  • インタビューアーの吉成さんによると
    ジャレド・ダイアモンド
    人生に意味などなく生命は存在するというだけと言い
    楽観的に多様な価値観と美意識を受け入れる
    ノーム・チョムスキー
    普遍文法を提唱する言語学者にして政治経済あらゆることに深く客観的に通じている
    自由(市場)では第三者を考慮せず環境汚染などの損害を計算から度外視しているから
    資本主義体制のもとでは政府による規制と介入が必要に成らざるをえない
    オリバー・サックス
    教師と生徒の前向きな関係と中身に対する情熱が教育にあるべき姿だという
    音楽は言語より先に脳に入り長く残りダンスできるのは人間だけだと言う
    マービン・ミンスキー
    PCは入力された単語を拾い集めるだけで関係性を理解することは出来ない
    エンターテイメント的なロボットより日常生活に添えるロボットを目指さる社会であるべき
    トム・レイトン
    サイバー戦争を語りネットが世界をダイナミックに変えるか
    好奇心とやる気が人生をはなやかにする語る
    ジェームズ・ワトソン
    革新的なアイディアは個人から出るものだから組織は常識という気配りを持ち込み
    個々を縛ることに溺れず知識や理性よりも情熱が大事だと言い
    尊厳死が認められるのも時間の問題だと断言する

    それぞれに経験も違い視野の方向も巾も違う故にその見解も様々である
    それでも宗教については全員が否定することもなく
    無宗教であるか依存することのない生き方を選んでいる
    コレが彼ら現代最高峰の知性が語る未来へのテーマ

    知識から意識への返還こそが生命の大河だろう
    その中で今人間が直面しているのは
    核エネルギーとどう付き合うか
    資本主義からどう脱皮するか
    人生をどう消化するか
    インターネットによる情報の洪水をどう受け止めるか
    個性を尊重する尊厳死か組織を優先する利権にまみれうか
    拠り所とはけ口を何処に求めるのか・・・

    あとがきにダイジェストされている一人ひとりの姿を先に見れば
    インタビューを理解しやすいだろう

  • 元々続編の「知の英断」を買うつもりでついまとめて購入。
    感想は・・自分があまり興味や情熱が持てない分野が分かった。インタビューに答える歴々の関心がものすごく高い・ユニバーサルな真理を探究する人たちで、自分はそうしたものより身近な問題や小さいところから社会の仕組みを考えていくとか、そういうことが好きなんだと改めて実感したのが読後の感想。それから、各人への質問に必ず宗教についてが入るのが、日本人としてはしつこい気がするが恐らくアメリカの知識人という文脈では無視できないのだろう。そういう意味では日本人著者によるものだがアメリカ的本だなと思った。
    心に残ったのは、最後のインタビュー、ジェームズ・ワトソンが現代は思春期の時間が長すぎる、自分が何に向いているかは10代で分かる、というなことを断言していたところ。わが身を振り返って痛いところをつかれた気がするものの、ノーベル賞受賞者やNBAバスケットボール選手の話なのでやはりそれは一部の人の話もする。このように、インタビューアー(著者)も含めて一流による一流についての話。
    著者は元NHKの子供番組・教育テレビのディレクターだそうで、以前からなぜNHKの子供・教育番組はあんなにレベルが高いのだろう、と思っていたがこういう人が携わっていたんだ、と腑に落ちた。これが、私にとってこの本を読んで一番身近に一流の意味を感じたところだと思う。

  • 本書の内容そのものも面白いが
    6人の偉大な才能に触れた後の広がりが期待できる
    良書だと思います
    インタビューされた吉成さんも良いですね
    後日、著書を読んでみましたがなるほどと思いました

  • 『銃・病原菌・鉄』で知られるジャレド・ダイアモンドや、世界的な言語学者のノーム・チョムスキー、DNA構造の発見者であるジェームズ・ワトソンなど、世界を代表する6人の知識人に、それぞれの研究や今後の社会についてインタビューした一冊。

    非常に期待値が高かったのだが、実際のところ、そんなに面白いとは思えなかった。各個人はそれぞれの分野(人類学、言語学、コンピュータサイエンス等)での超一流の知識人であるが、質問内容は今後の社会に対する提言というような意味合いから、教育や宗教、政治など多岐に渡りすぎており、どうしても内容が薄いと感じる部分が多かった。

    とはいえ、この6人の殆どが宗教的なバックグラウンドを保有しているにも関わらず、無神論、もしくは不可知論の立場を貫いているのは興味深かった。

    あと、世界のインターネットのCDN(コンテンツ・デリバリ・ネットワーク)を一手に担うアカマイ・テクノロジーズの創業者でMIT教授であるトム・レイトンの話は、謎に満ちたこの会社の創業経緯などを聞ける点で貴重では。

  • インタビューに答えた6人の考えていることが深すぎて、凡人の私には、何が重要なのか、何に共感していいのかわからなかった。まぁ、自分の人生に直接役立つ言葉を見つけようと力を入れて読むより、たしなみとして読んでおこう、ぐらいでちょうど良いのだろう。

  • 知性の巨人たちのインタビュー。

    深く掘り下げての内容ではないが、
    こういう人がいるんだと、興味の対象が広がった。

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著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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